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GH7-mutsurabosi様

こんばんは。
OBのりゅうと申します。
ご質問にお答えさせて頂きます。

通常、差押債権者に対しては登記なくして対抗する事は出来ません。
ですが、相続放棄をした相続人の債権者の場合そもそも対抗関係の話は出てこない形となります。

判例は『相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼつて相続開始がなかつたと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべき…』と書かれております。
つまり、相続放棄をした方は無権利者なのであって、その無権利者の権利を差し押さえても有効となる余地はないのだという見解となります。

稚拙な文章で申し訳ありませんが、私はこれで理解しておりました。

どうかご参考にして頂ければ幸いです。
補足等ございましたら宜しくお願い致します。

キーポイントはりゅうさんが述べているように相続放棄の遡及効にあります。
民法第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかった
ものとみなす。
となっており、相続放棄は将来効ではなく遡及効であることが示されています。
そのため債権者は債務者の財産に差押えしたのではなくなってしまうことになり、無効になって
しまいます。

例えば、被相続人Aの甲土地をB,Cの両名が共同相続したとします。そしてCの債権者であるDが
Cの持ち分を差押えした後、Cが相続放棄すると甲土地はBが最初から単独相続したことになります。
したがって、Dは債務者ではないBの財産を差押さえたことになり、差押えは無効になるということ
です。結果として、相続放棄した相続人の財産に差押えしても対抗関係にならない(権利を主張でき
ない)ということです。

さらに、相続放棄に対しては詐害行為取消権を行使することもできません。
りゅうさん
ありがとうございます。
去年も読んでて全然気がつかなくて、昨日ふとおかしいと思い質問させてもらいました。ありがとうございます。

Beginnerさん
ありがとうございます。
りゅうさんの説明に付加して例題までありがとうございます。
多分これで抜けることはないと思います。

お二方ありがとうございました。
また、よろしくお願いいたします。
みなさんの質問とご回答、いつも読んでいて私もすごく勉強になります。

相続放棄については相続開始時に遡って相続がなかった事になり、そもそも対抗要件とならず、また債権者による詐害行為取消権の行使もできない。

この場合、相続放棄がなぜこのような扱いになるのか?というのは以下の判例が参考になるかと思います。

最判昭和49年9月20日
「相続の放棄のような身分行為については、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいっても、また法律上の効果からいつても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によってこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。」
→すなわち、相続放棄は身分行為であり他人の意思で強制するものではなく、かつ財産を積極的に(増加や)減少させる財産行為ではなく、消極的に増加を妨げる行為にすぎないため。

この点に関連して、放棄ではなく遺産分割では
債務者が自己の取り分を減少させるような協議を行った場合は、それが「財産権を目的とする法律行為」であるため、債務者と(協議を行った)他の相続人が債権者を害する事を認識していたとき詐害行為取消権を行使できる。
というのを頭の片隅に入れておくといいかと思います。

相続の放棄については、以下の判例を参考として挙げておきます。

最判昭和49年9月20日
「相続の放棄のような身分行為については、民法424条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいっても、また法律上の効果からいつても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によってこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。」
ウルトラゾーンさん

こんばんわ。
返信ありがとうございます。

判例とその要約ありがとうございます。

独学者としては、本当に助かります。

また今後ともお願いいたします。
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