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平成28年-問8 行政法 行政総論

Lv3

問題 更新:2023-11-14 21:24:40

下記の〔設例〕に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

〔設例〕 Xは、旅館業法3条1項に基づく許可(以下「営業許可」という。)を得て、旅館業を営んでいたが同法によって義務付けられた営業者の講ずべき衛生措置を講じなかったことを理由に、所轄都道府県知事から、同法8条1項に基づく許可の取消処分(以下「取消処分」という。)を受けた。

(参照条文)
旅館業法
第3条第1項
旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事・・・の許可を受けなければならない。(以下略)

第8条第1項
都道府県知事は、営業者が、この法律若しくはこの法律に基づく処分に違反したとき・・・は、同条〔注:旅館業法第3条〕第1項の許可を取り消〔す〕・・・ことができる。(以下略)

ア.Xに対してなされた取消処分は、違法になされた営業許可を取り消し、法律による行政の原理に反する状態を是正することを目的とする行政行為である。

イ.Xに対してなされた取消処分は、いったんなされた営業許可を前提とするものであるから、独立の行政行為とはみなされず、行政手続法が規定する「処分」にも当たらない。

ウ.Xに対してなされた取消処分が取消判決によって取り消された場合に、Xは、営業許可がなされた状態に復し、従前どおり営業を行うことができる。

エ.Xに対してなされた取消処分によって、Xが有していた営業許可の効力は、それがなされたときにさかのぼって効力を失うことになる。

オ.Xに対してなされた取消処分は、営業許可がなされた時点では瑕疵がなかったが、その後においてそれによって成立した法律関係を存続させることが妥当ではない事情が生じたときに、当該法律関係を消滅させる行政行為である。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 5

解説

Xに対してなされた取消処分は、違法になされた営業許可を取り消し、法律による行政の原理に反する状態を是正することを目的とする行政行為である。 ア.誤り

本事例では適法になされた営業許可を取り消した(講学上の「撤回」)のであり、「違法になされた営業許可」としている本肢は誤りである。

Xに対してされた取消処分は、講学上の「撤回」に該当する。
講学上の「撤回」は、瑕疵のない適法な行政行為に対して、後発的事情により将来に向かってその行政行為の効力を失わせるものである。

そもそも、今回与えられた営業許可は、許可時点では違法事由は存在しなかった。

Xに対してなされた取消処分は、いったんなされた営業許可を前提とするものであるから、独立の行政行為とはみなされず、行政手続法が規定する「処分」にも当たらない。 イ.誤り

行政手続法の定める「処分」には、「申請に対する処分」と「不利益処分」がある。
不利益処分とは、「行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分(行政手続法2条4号)をいう」とある。
いったんなされた営業許可を取り消す処分も不利益処分に該当する。

Xに対してなされた取消処分が取消判決によって取り消された場合に、Xは、営業許可がなされた状態に復し、従前どおり営業を行うことができる。 ウ.正しい

取消判決によって処分が取り消された場合には、Xは従前どおりの営業をすることが可能である。

取消訴訟において、処分が違法であるとして取り消された場合、判決と同時に処分の効力は遡及的に消滅する(取消判決の形成力)。

Xに対してなされた取消処分によって、Xが有していた営業許可の効力は、それがなされたときにさかのぼって効力を失うことになる。 エ.誤り

本肢は、講学上の「取消し」の説明であり、誤りである。

肢ア解説参照。

講学上の「撤回」とは、将来に向かって行政行為の効力を失わせるものである。
それに対して、講学上の「取消し」は、成立当初から瑕疵のある行政行為を遡及的に消滅させるものである。

Xに対してなされた取消処分は、営業許可がなされた時点では瑕疵がなかったが、その後においてそれによって成立した法律関係を存続させることが妥当ではない事情が生じたときに、当該法律関係を消滅させる行政行為である。 オ.正しい

肢ア解説参照。

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