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令和元年-問37 商法 会社法

Lv3

問題 更新:2023-01-28 13:32:56

株式会社の設立における出資の履行等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。

イ.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。

ウ.発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。

エ.設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。

オ.設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ
  解答&解説

正解 5

解説

株式会社の定款には、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額を記載または記録しなければならない。 ア.正しい。

会社法27条の絶対的記載事項である。
絶対的記載事項とは、定款の記載事項のうち、必ず記載しなければならない事項で、これを欠く場合は、定款自体が無効となる。他に相対的記載事項(定款に記載しなければ効力を持たない事項)、任意的記載事項(会社の規則等で規定しても効力を有するが、明確にしておくという趣旨で法に違反しない限りで定款に記載される事項)がある。

それぞれの比較については会社法テキスト2を参照。

絶対的記載事項 ※⑥以外は会社法27条
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価格又はその最低額
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
⑥発行可能株式総数(会社法37条)

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、出資の履行をしなければならないが、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定または移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることができる。 イ.正しい。

発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない(会社法34条1項)。

発起人が出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない。 ウ.正しい。

設立時発行株式の株主となる権利の譲渡について条文は、「出資の履行をすることにより設立時発行株式の株主となる権利の譲渡は、成立後の株式会社に対抗することができない」と規定している(会社法35条)。

なお、譲渡を会社に対抗できないとされているのは、会社の事務処理の便宜を図る趣旨であり、譲渡の当事者間では有効である。

設立時募集株式の引受人のうち出資の履行をしていないものがある場合には、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知しなければならない。 エ.誤り。

設立時募集株式の払込金額の払込みについて条文は、「設立時募集株式の引受人は、第一項の規定による払込みをしないときは、当該払込みをすることにより設立時募集株式の株主となる権利を失う」と規定している(会社法63条3項)。
本肢の様な手続きを失権手続きというが、募集設立の場合は、出資しなければこの手続きを経ず、即失権する。
したがって、発起人は、出資の履行をしていない引受人に対して、期日を定め、その期日までに当該出資の履行をしなければならない旨を通知する必要はない。

設立時募集株式の引受人が金銭以外の財産により出資の履行をする場合には、発起人は、裁判所に対し検査役の選任の申立てをしなければならない。 オ.誤り。

出資の履行について条文は、「発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない」と規定している(会社法34条1項本文)。
それに対して、設立時募集株式の払込金額の払込みについて条文は、「設立時募集株式の引受人は、第58条第1項第3号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない」と規定している(会社法63条1項)。

比較すると、発起人は現物出資ができるが、募集株式の引受人は金銭の払込みを行うことしか規定されておらず、金銭以外の財産を給付することはない。
そのため、発起人が裁判所に対して検査役の選任の申立てをする必要はない。

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