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平成27年-問37 商法 会社法

Lv3

問題 更新:2023-01-30 19:38:26

株式会社の設立に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。

イ.複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。

ウ.発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

エ.設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。

オ.発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 1

解説

発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。 ア.妥当である。

発起人は、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる(会社法57条1項)。
そして、発起人は、当該募集をする旨を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない(会社法57条2項)。

なお、株式会社の設立においては、本肢以外にも、以下について「発起人全員の同意」が求められている。

発起人全員の同意が求められるもの
  • 設立時に発行する株式に関する事項の決定(会社法32条)
  • 現物出資を行う者がいる場合の対抗要件の具備(会社法34条)
  • 発行可能株式総数に関する定款の定めの設定(会社法37条)
  • 設立時募集株式に関する事項の決定(会社法58条)

複数の発起人がいる場合において、発起設立の各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならないが、募集設立の発起人は、そのうち少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよい。 イ.妥当でない。

募集設立の場合は、発起人の少なくとも1名が設立時発行株式を1株以上引き受ければよいとする本肢は妥当でない。

各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない(会社法25条2項)。
これは発起設立の場合だけでなく、募集設立の場合も同様である。

なお、発起設立と募集設立に共通して適用される条文は、本肢で問われている以外には、会社法26条、会社法30条、会社法32条などがある。これらの条文は一読しておきたい。

発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発行可能株式総数を定款で定めていないときには、株式会社の成立の時までに、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。 ウ.妥当である。

発起人は、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない(会社法37条1項)。

さらに、募集設立の場合は発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない(会社法98条)。

なお、発行可能株式総数は定款に記載しなければいけないという意味においては「絶対的記載事項」であるが「絶対的記載事項」は会社法27条にまとめられている。

発行可能株式総数と会社法27条の各事項の違いであるが、会社法27条の各事項は原始定款に記載し、公証人の認証を受けなればいけない。
一方で発行可能株式総数は公証人の認証を受けなくともよい。

設立時取締役その他の設立時役員等が選任されたときは、当該設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行う。 エ.妥当でない。

設立時役員等が会社設立の業務を執行し、またはその監査を行うとする本肢は妥当でない。

設立時取締役及び設立時監査役の仕事は、業務執行やその監督ではなく、「調査」であるとされている(会社法46条、会社法93条)。
調査対象は、
①現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であること
②現物出資財産についての弁護士等の証明が相当であること
③払込みが完了していること
④株式会社の設立の手続が法令又は定款に違反していないこと
の4つである。

設立時取締役や設立時監査役には、「設立時」とついているが、これは、設立後の株式会社の取締役や監査役と業務が違うためである(取締役は業務上の意思決定や業務執行、監査役はその監査を行う)。
行う仕事が違うのだから、設立中は「取締役」や「監査役」とは呼べないのである。

発起設立または募集設立のいずれの方法による場合であっても、発起人でない者が、会社設立の広告等において、自己の名または名称および会社設立を賛助する旨の記載を承諾したときには、当該発起人でない者は発起人とみなされ、発起人と同一の責任を負う。 オ.妥当でない。

条文によると、募集設立の場合において、発起人以外の者が当該募集の広告その他当該募集に関する書面又は電磁的記録に自己の氏名又は名称及び株式会社の設立を賛助する旨を記載し、又は記録することを承諾した者は発起人とみなされる(会社法103条4項、会社法57条1項)。

これは「疑似発起人の責任」と呼ばれるもので、発起設立の場面では適用のない条文である。

したがって発起設立の場面においても疑似発起人の責任についての規定が適用されるとする本肢は妥当でない。

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