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令和5年-問18 行政法 行政事件訴訟法

Lv3

問題 更新:2024-01-07 23:53:04

行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)の準用規定に関する次の会話の下線部(ア)~(ウ)について、その正誤を判定した組合せとして、正しいものはどれか。

学生A:今日は行訴法の準用に関する規定について学ぼう。

学生B:準用については主として行訴法38条に定められているけど、他の条文でも定められているよね。まずは出訴期間について定める行訴法14条から。

学生A:行訴法14条については、(ア)無効等確認訴訟にも、その他の抗告訴訟にも準用されていない。訴訟の性質を考えれば当然のことだよ。

学生B:よし、それでは、執行停止について定める行訴法25条はどうだろう。

学生A:行訴法25条は(イ)義務付け訴訟や差止訴訟には準用されていない。でも、当事者訴訟には準用されているのが特徴だね。

学生B:なるほど、当事者訴訟にも仮の救済が用意されているんだね。最後に、第三者効について定める行訴法32条はどうだろう。

学生A:「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」という規定だね。(ウ)これは義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている。義務付け判決や差止め判決の実効性を確保するために必要だからね。

1. 正しい誤り正しい
2. 正しい誤り誤り
3. 誤り正しい誤り
4. 誤り誤り正しい
5. 誤り誤り誤り
  解答&解説

正解 2

解説

ア:正しい、イ:誤り、ウ:誤り

行訴法14条については、(ア)無効等確認訴訟にも、その他の抗告訴訟にも準用されていない。 ア.正しい

無効等確認の訴えは取消訴訟の出訴期間に関する規定を準用しておらず、また、独自での規定もないため、無効等確認の訴えは出訴期間の制限をうけない(行政事件訴訟法14条1項、行政事件訴訟法38条)。

無効等確認の訴えは、行政行為の無効又は不存在を前提に提訴するものであり、無効又は不存在な行政行為には、その効力として公定力が生じず、不可争力も生じないため、出訴期間の制限を受けないが、あまりに長期間が経過している場合などでは、信義則に違反するとされることはありうる。

その他の抗告訴訟にも準用されていない(行政事件訴訟法38条)。詳細は以下のとおりである。

不作為違法確認訴訟は、取消訴訟の出訴期間関する規定は準用されておらず、独自の規定もないので、出訴期間の制限はうけない。行政庁の不作為が継続しているということは、換言すれば、違法な状態が継続している可能性があり、継続が長くなるほど違法性の度合いも強くなるので、その間はいつまででも提訴できるということになる。

義務付け訴訟は、行政庁の権限不行使や不作為に対してなされ、無効等確認の訴えと併合提起することもあり、出訴期間の規定はおかれていない。ただし、取消訴訟と併合提起する場合は、取消訴訟の出訴期間の制限を受ける。

差し止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り提起することができるとされており、出訴期間の規定はおかれていない(行政事件訴訟法38条)。

行訴法25条は(イ)義務付け訴訟や差止訴訟には準用されていない。でも、当事者訴訟には準用されているのが特徴だね。 イ.誤り

肢の前半は正しいが、後半は誤りである。

義務付け訴訟及び差し止めの訴えでは、独自の仮の救済規定、つまり、取消訴訟における執行停止に代わる仮の救済制度として、仮の義務付け及び仮の差し止めを設けている(行政事件訴訟法第37条の5)ので、執行停止の規定(行政事件訴訟法25条)は準用していない(行政事件訴訟法38条)。

当事者訴訟は、抗告訴訟と異なり、対等な当事者間の公法上の法律関係にかかわる紛争であるから、実質的には民事訴訟と同様の訴訟であり、抗告訴訟の規定は若干準用されているが、執行停止や第三者の参加の規定は準用されておらず(行政事件訴訟法41条)、基本は民事訴訟の場合と同様の手続により審理される(行政事件訴訟法7条)。

「処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する」という規定だね。(ウ)これは義務付け訴訟にも差止訴訟にも準用されている。 ウ.誤り

義務付け訴訟及び差し止めの訴えでは、判決の効力について、拘束力の規定(行政事件訴訟法33条)の規定は準用される一方、取消判決の第三者項を定めた規定(行政事件訴訟法32条)は準用されない(行政事件訴訟法第38条)。

義務付けの判決は、処分・裁決すべき行政庁その他関係行政庁を拘束するが、第三者に対しては効力を持たないということである。

差止めの訴訟は、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないのにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならないことを命ずる訴訟であり、その判決は、当該行政庁を拘束するが、第三者には効力をもたないということである。

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