一般財団法人行政書士試験研究センターによると、行政書士の試験科目のうち「行政書士の業務に関し必要な法令等」に関しては、憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題されております。

2022年度以降に改正施行される主な法令については、以下のとおりです。※随時更新

行政書士の業務に関し必要な法令等

①行政不服審査法(口頭による審査請求)

>2021年9月1日施行

(改正前)
口頭で審査請求をする場合には、前条第二項から第五項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認し、陳述人に押印させなければならない(行政不服審査法20条)。

(改正後)
口頭で審査請求をする場合には、前条第二項から第五項までに規定する事項を陳述しなければならない。この場合において、陳述を受けた行政庁は、その陳述の内容を録取し、これを陳述人に読み聞かせて誤りのないことを確認しなければならない(行政不服審査法20条)。

したがって、陳述人の押印が不要となった点に注意すること。

②民法(受取証書の交付請求)

>2021年9月1日施行

令和3年(2021年)5月12日、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(令和3年法律第37号)が成立し(同月19日公布)1同法による民法486条2項の新設により、受取証書(いわゆる領収書)の交付の請求に代えて、その内容を記録した電子データ(電子的な受取証書)の提供を請求することができることとなりました。

民法486条
弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる。

2 弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない。


③民法(成年年齢関係)の一部を改正する法律

>2022年4月1日施行

【要点】

1 成年年齢の引下げ(民法第4条)
①一人で有効な契約をすることができる年齢
②親権に服することながなくなる年齢
いずれも20歳から18歳に引き下げ「成年」と規定する他の法律も18歳に変更

2 女性の婚姻開始年齢の引上げ(民法731条)
(現行法)男性18歳 女性16歳
(改正後)女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げ婚姻開始年齢は男女とも18歳に統一

④会社法の一部を改正する法律

株主総会資料を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載し、株主に対し、当該ウェブサイトのアドレス等を書面により通知することによって、株主総会資料を提供することができる制度(株主総会資料の電子提供制度)については、公布の日から3年6ヵ月以内の政令で定める日から施行されることが予定されています(令和4年(2022年)年度中に施行予定)。

⑤民法(相隣関係等)等の一部を改正する法律

>公布日:令和3年(2021年)4月28日
  施行日:公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日

行政書士の業務に関連する一般知識等

政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解

①個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律

項目 期日
全面施行の日 令和4年(2022年)4月1日
第23条第2項により個人データを第三者に提供しようとする際の経過措置
(第23条第2項)
令和3年(2021年)10月1日

なお、令和3年(2021年)5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」により個人情報保護法が改正されました。

  • (デジタル社会形成整備法50条による改正)については公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日(令和4年(2022年)5月19日以内)
  • (デジタル社会形成整備法51条による改正)については公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日(令和5年(2023年)5月19日以内)

【個人情報保護制度見直しの全体像】

①個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法の3本の法律を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても統合後の法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化

②医療分野・学術分野の規制を統一するため、国公立の病院、大学等には原則として民間の病院、大学等と同等の規律を適用

③学術研究分野を含めたGDPRの十分性認定への対応を目指し、学術研究に係る適用除外規定について、一律の適用除外ではなく、義務ごとの例外規定として精緻化

個人情報の定義等を国・民間・地方で統一するとともに、行政機関等での匿名加工情報の取扱いに関する規律を明確化