令和3年度 行政書士試験 行政法択一全問題及び記述式民法問題 合格道場でカバー! その他多数の問題も適合

合格道場が取り扱っている問題・解説と同主旨の問題が本試験で出題されたものの表です。
なお、多数の問題・解説が適合していることから、本試験の全肢を掲載せず一部抜粋しております。

令和3年(2021年)本試験と合格道場掲載問題の比較一覧

行政法択一全問題・記述式民法問題 合格道場でカバー!

基礎法学

令和3年本試験 合格道場掲載
問2 基礎法学 練習問題 基礎法学 法令の構造等11 他
問題 肢1
法律の内容を一般国民に広く知らせるには、法律の公布から施行まで一定の期間を置くことが必要であるため、公布日から直ちに法律を施行することはできない。

問題 肢2
法律の効力発生日を明確にする必要があるため、公布日とは別に、必ず施行期日を定めなければならない。

問題 肢3
日本国の法令は、その領域内でのみ効力を有し、外国の領域内や公海上においては、日本国の船舶および航空機内であっても、その効力を有しない。

問題 肢4
一般法に優先する特別法が制定され、その後に一般法が改正されて当該特別法が適用される範囲について一般法の規定が改められた場合には、当該改正部分については、後法である一般法が優先して適用され、当該特別法は効力を失う。

問題 肢5 正解肢
法律の有効期間を当該法律の中で明確に定めている場合には、原則としてその時期の到来により当該法律の効力は失われる。
【本試験肢1】練習問題 基礎法学 法令の構造等11 肢4 解説
施行期日の定めがなければ、公布されてから20日(条例等は10日)だが、法律で施行期日を定めたときは、その定めた日から施行することもできるとされており、公布の日から施行することも可能である(通則法2条)。・・・(中略)・・・なお、実際に公布の日と施行の日が同日の法律としては「国旗及び国歌に関する法律」などがある。

【本試験肢2】練習問題 基礎法学 法令の構造等11 肢4 解説
施行期日の定めがなければ、公布されてから20日(条例等は10日)だが、法律で施行期日を定めたときは、その定めた日から施行することもできるとされており、公布の日から施行することも可能である(通則法2条)。

【本試験肢3】総合テストvol4 基礎法学問2 肢イ 解説
旗国主義とは、属地主義の一種ないし派生する概念で、自国の船舶又は航空機内は、自国(掲揚する国旗の属する国)の領土の一部と捉えて、行為地や当事者の国籍にかかわらず、自国の法を適用するという考え方。
・・・(中略)・・・なお、刑法1条2項は「日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。」とし、旗国主義を採用している。

【本試験肢4】練習問題 基礎法学 法令の構造等7 肢5 解説
新法優位の原則と特別法優位の原則の関係では、特別法優先の原則が優先される。換言すると旧法かつ特別法と新法かつ一般法を比較した場合は、旧法かつ特別法が優先されることになる。

【本試験肢5】練習問題 基礎法学 法令の構造等12 肢2 解説
限時法(時限法、時限立法とも呼ばれる)とは、有効期間を定めて立法された法令をいう。
特定の事態に対応するために制定されることが多いが、その事態の進捗状況によって効力が左右されるわけではなく、あくまでも効力は、原則として期間内であるかどうかにかかっている。参考になる例としては、・・・(中略)・・・なお、限時法に対して、有効期間を定めないで立法された法令は、恒久法と呼ばれる。
以下、適合多数のため省略

憲法

令和3年本試験 合格道場掲載
問4 憲法 練習問題 多肢選択式 憲法3-1 人身の自由
問題 肢2 正解肢
憲法は、住居、書類および所持品について侵入、捜索および押収を受けることのない権利を定めるが、その保障対象には、住居、書類および所持品に限らずこれらに準ずる私的領域に侵入されることのない権利が含まれる。
【本試験肢2】多肢選択式 憲法3-1 人身の自由 解説
憲法35条は、「住居、書類及び所持品について、[ア:侵入]、捜索及び押収を受けることのない権利」を規定しているところ、この規定の保障対象には、「住居、書類及び所持品」に限らずこれらに準ずる[イ:私的領域]に[ア:侵入]されることのない権利が含まれるものと解するのが相当である。(以下省略)
問6 憲法 練習問題 多肢選択式 憲法 国会 問1
憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例外を除き、[ ア ]、かつ、[ イ ]を意味すると解されている。

肢4 正解肢
4 国会が立法権を独占し(国会中心立法の原則)
法律は国会の議決のみで成立すること(国会単独立法の原則)
解説
憲法41条では・・・(中略)・・・また、同規定にいう「唯一の立法機関」の意義には[ウ:国会中心立法]の原則と[エ:国会単独立法]の原則があるとされている。まず、[ウ:国会中心立法]の原則とは憲法によって特別定められたものを除いて立法は全て国会を通し、国会を中心に行われなければならないということである。憲法によって特別定められた例外にあたるものとしては、議員規則、最高裁判所規則、条例、政令、委任立法などがある。次に[エ:国会単独立法]の原則とは、立法は他の機関の関与がなくとも国会の意思のみによって完結的に成立できるということである。
以下、適合多数のため省略

行政法

令和3年本試験 合格道場掲載
問8 行政法 練習問題 行政総論11-2 行政活動(総合) 他
問題 肢1
地方公共団体が、将来にわたって継続すべき一定内容の施策を決定した場合、その後社会情勢が変動したとしても、当該施策を変更することは住民や関係者の信頼保護の観点から許されないから、当該施策の変更は、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして、それにより損害を被る者との関係においては、違法となる。

問題 肢2
租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合する課税処分について、法の一般原則である信義則の法理の適用がなされることはなく、租税法規の適用における納税者の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合であっても、課税処分が信義則の法理に反するものとして違法となることはない。

問題 肢3
法の一般原則として権利濫用の禁止が行政上の法律関係において例外的に適用されることがあるとしても、その適用は慎重であるべきであるから、町からの申請に基づき知事がなした児童遊園設置認可処分が行政権の著しい濫用によるものであっても、それが、地域環境を守るという公益上の要請から生じたものである場合には、当該処分が違法とされることはない。

問題 肢4 正解肢
地方自治法により、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利につきその時効消滅については援用を要しないとされているのは、当該権利の性質上、法令に従い適正かつ画一的にこれを処理することが地方公共団体の事務処理上の便宜および住民の平等的取扱の理念に資するものであり、当該権利について時効援用の制度を適用する必要がないと判断されたことによるものと解されるから、普通地方公共団体に対する債権に関する消滅時効の主張が信義則に反し許されないとされる場合は、極めて限定されるものというべきである。

問題 肢5
国家公務員の雇傭関係は、私人間の関係とは異なる特別の法律関係において結ばれるものであり、国には、公務の管理にあたって公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮する義務が認められるとしても、それは一般的かつ抽象的なものにとどまるものであって、国家公務員の公務上の死亡について、国は、法律に規定された補償等の支給を行うことで足り、それ以上に、上記の配慮義務違反に基づく損害賠償義務を負うことはない。
【本試験肢1】練習問題 行政総論11-2 行政活動(総合) 肢1 解説
A会社へB村の村長が積極的に工場建設を促して工場誘致し、A会社は設備の発注等具体的な準備を進めたが、後に住民反対運動を経てB村の新村長が、その協力を拒否したためにA会社は工場建設を断念した事案について判例は、「勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめるものといわなければならない。」としている(最判昭和56年1月27日)。
したがって、行政計画の変更によって、私人が損害を被った場合、地方公共団体の不法行為責任が生じることもある。

【本試験肢2】練習問題 行政総論14-4 私法との関係 肢2 解説
「租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。」(最判昭和62年10月30日)

【本試験肢3】練習問題 国家賠償法1-11 1条1項 肢3 解説
児童遊園は、児童に健全な遊びを与えることなどを目的とするものであり、個室付浴場業の開業を阻止することを主たる目的としてされた知事の児童遊園設置認可処分は、たとえ児童遊園がその設置基準に適合しているものであるとしても、行政権の著しい濫用によるものとして、国家賠償法1条1項にいう公権力の違法な行使にあたる(最判昭和53年5月26日)。
また、国家賠償請求に関する判例ではないが、(以下省略)

【本試験肢4】練習問題 行政組織法3-9 権限 肢4 解説
未支給の被爆者の健康管理手当の支給義務について、行政側が消滅時効を主張した事案において、判例は「違法な通達を定めて受給権者の権利行使を困難にしていた国から事務の委任を受け、又は事務を受託し、自らも上記通達に従い違法な事務処理をしていた普通地方公共団体ないしその機関自身が、受給権者によるその権利の不行使を理由として支払義務を免れようとするに等しいものといわざるを得ない。そうすると、上告人の消滅時効の主張は、402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されないものと解するのが相当である」(最判平成19年2月6日)とした。

【本試験肢5】練習問題 行政組織法4-7 国家公務員 肢ウ 解説
最高裁は「安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方又は双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はな(い)」とした上で、(以下省略)
問9 行政法 練習問題 行政総論2-3 行政行為(裁量) 他
問題 肢イ
国家公務員に対する懲戒処分において、処分要件にかかる処分対象者の行為に関する事実は、平素から庁内の事情に通暁し、配下職員の指揮監督の衝にあたる者が最もよく把握しうるところであるから、懲戒処分の司法審査にあたり、裁判所は懲戒権者が当該処分に当たって行った事実認定に拘束される。

問題 肢エ
生活保護法に基づく保護基準が前提とする「最低限度の生活」は、専門的、技術的な見地から客観的に定まるものであるから、保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否かを判断するに当たって、厚生労働大臣に政策的な見地からの裁量権は認められない。

問題 肢オ
学校施設の目的外使用を許可するか否かについては、原則として、管理者の裁量に委ねられており、学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが、集会の開催を目的とする使用申請で、そのような支障がないものについては、集会の自由の保障の趣旨に鑑み、これを許可しなければならない。
【本試験肢イ】平成24年 問26 行政法 行政総論 肢3 解説
「国公法は、同法所定の懲戒事由がある場合に、懲戒権者が、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をするときにいかなる処分を選択すべきかを決するについては、・・・中略・・・具体的な基準を設けていない。したがって、懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきか、を決定することができるものと考えられる」(最判昭和52年12月20日)

【本試験肢エ】平成30年 問5 憲法 社会権 肢4 解説
生活保護法に基づく・・・(中略)・・・判例は、「保護基準中の老齢加算に係る部分を改定するに際し、最低限度の生活を維持する上で老齢であることに起因する特別な需要が存在するといえるか否か及び高齢者に係る改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるか否かを判断するに当たっては、厚生労働大臣に専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権が認められるものというべきである」とし(最判平成24年2月28日)(以下省略)

【本試験肢オ】練習問題 行政総論2-3 行政行為(裁量) 肢4 解説
公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられており、学校教育上支障がない場合であっても、行政財産である学校施設の目的及び用途と当該使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により許可をしないこともできる。しかし、・・・(中略)・・・(最判平成18年2月7日)。
問10 行政法 練習問題 行政総論12-3 行政活動(行政立法)
問題 肢2 正解肢
監獄法(当時)の委任を受けて定められた同法施行規則(省令)において、原則として被勾留者と幼年者との接見を許さないと定めていることは、事物を弁別する能力のない幼年者の心情を害することがないようにという配慮の下に設けられたものであるとしても、法律によらないで被勾留者の接見の自由を著しく制限するものであって、法の委任の範囲を超えるものといえ、当該施行規則の規定は無効である。
解説
憲法では、・・・(中略)・・・未決勾留により拘禁された者と14歳未満の者との接見を許さないとする監獄法施行規則120条及び124条(法規命令のうち委任命令)が監獄法50条(法律)の委任の範囲を超え、無効である(最判平成3年7月9日)
問11 行政法 過去問 平成30年-問13 意見公募等
問題 肢1 正解肢
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案およびこれに関連する資料をあらかじめ公示して、広く一般の意見を求めなければならない。
肢1 解説
命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見の提出先及び意見の提出のための期間を定めて広く一般の意見を求めなければならない(行政手続法39条1項)。
問12 行政法 練習問題 行政手続法7-5 不利益処分(総合)
問題 肢3 正解肢
行政庁は、理由を示さないで不利益処分をすべき差し迫った必要がある場合であれば、処分と同時にその理由を示す必要はなく、それが困難である場合を除き、当該処分後の相当の期間内にこれを示せば足りる。
肢1 解説
行政庁が、不利益処分の理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要があり当該理由を示さないで当該処分を行った場合、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、その理由を示さなければならない(行政手続法14条2項)。
問13 行政法 過去問 平成30年-問12 行政指導、練習問題 行政手続法4-7 申請に対する処分(総合)
問題 肢イ・ウ 正解肢
イ 行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、行政手続法が定める事項を示さなければならず、当該行政指導が口頭でされた場合において、これら各事項を記載した書面の交付をその相手方から求められたときは、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。

ウ 行政指導をすることを求める申出が、当該行政指導をする権限を有する行政機関に対して適法になされたものであったとしても、当該行政機関は、当該申出に対して諾否の応答をすべきものとされているわけではない。
【本試験肢イ】平成30年-問12 行政指導肢2 解説
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならず(行政手続法35条1項)、当該行政指導をする際に行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に当該権限を行使し得る根拠等を示さなければならない(行政手続法35条2項)。また、口頭で行政指導をする場合において、その相手方から上述の内容を記載した書面の交付を求められたときは、特別の支障がない限り交付しなければならない(行政手続法35条3項)。

【本試験肢ウ】行政手続法4-7 申請に対する処分(総合)肢1 解説
行政手続法における申請とは、法令に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分(許認可等)を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう(行政手続法2条3号)。
問14 行政法 過去問 平成29年-問16 審査請求
問題 肢3 正解肢
審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
肢3 解説
審理員から執行停止をすべき旨の意見書の提出を受けた審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない(行政不服審査法25条7項)。
問15 行政法 練習問題 行政不服審査法1-6 総則
問題 肢1 正解肢
行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合に審査請求を行ったときは、法律に再調査の請求ができる旨の規定がある場合でも、審査請求人は、当該処分について再調査の請求を行うことができない。
肢3 解説
不服申立類型の審査請求への一元化の例外として再調査の請求が定められている。
再調査の請求は、行政庁の処分につき処分庁以外の行政庁に対して審査請求をすることができる場合において、法律に再調査の請求をすることができる旨の定めがあるときは、当該処分に不服がある者は、処分庁に対して再調査の請求をすることができる。
つまり法律が特に再調査の請求を認めている場合には、不服申立人は審査請求と再調査の請求を選択でき、審査請求を選択した場合は原則として再調査の請求はできないとしている(行政不服審査法5条1項)。
問16 行政法 練習問題 行政不服審査法3-1 通則他
イ 審査請求は、他の法律または条例にこれを口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、審査請求書を提出してしなければならない。

ウ 処分についての審査請求に理由があり、当該処分を変更する裁決をすることができる場合であっても、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。

オ 処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止その他の措置をとるよう求める申立ては、当該処分についての審査請求をした者でなければすることができない。
【本試験肢イ】練習問題 行政不服審査法3-1 通則肢1 解説
審査請求は、他の法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合を除き、政令で定めるところにより、審査請求書を提出してしなければならない(行政不服審査法19条1項)。

【本試験肢ウ】一問一答 行政不服審査法20 解説
行政不服審査法では、処分における不服申立ての裁決又は決定での不利益変更を禁止している(行政不服審査法48条、59条3項)。不服申立てとは、いってみればお上に逆らうことであり、不利益変更を許せば、逆らった制裁目的で行使される恐れもあり、国民は萎縮してまともな権利利益の救済を図ることができなくなるからである。

【本試験肢オ】練習問題 行政不服審査法7-2 審査請求 解説
審査請求がされても執行不停止を原則とするが、執行停止をすることもできる。処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、一般的指揮監督権を有することから、審査請求人の申立てにより又は職権で執行停止をすることもできる。また、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止の他にその他の措置をすることができる(行政不服審査法25条2項)。
問17 行政法 練習問題 行政不服審査法12-5 対比問題(行政事件訴訟)
第25条第2項
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる[ ア ]を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止・・・(略)・・・をすることができる。(以下略)

第36条
無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により[ イ ]を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする[ ウ ]に関する訴えによって目的を達することができないものに限り、提起することができる。

第37条の2第1項
第3条第6項第1号に掲げる場合〔直接型ないし非申請型義務付け訴訟〕において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより[ エ ]を生ずるおそれがあり、かつ、その[ オ ]を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
【本試験ア】練習問題 行政不服審査法12-5 対比問題(行政事件訴訟)肢2 問題文・解説
取消訴訟において、執行停止の申立てがあった場合に裁判所が執行停止ができるのは、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる「 」を避けるため緊急の必要があるときである。

2.「重大な損害」が入る。
処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができる。
ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によって目的を達することができる場合には、することができない(行政事件訴訟法25条2項)。

【本試験イ、ウ】練習問題 行政事件訴訟法3-2 抗告訴訟(無効等確認訴訟)肢1 解説
無効確認訴訟は、「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者(①予防的無効確認)」「その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で【当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによって目的を達することができないもの】(②補充的無効確認)」に限り、提起することができる(行政事件訴訟法36条)。

【本試験エ、オ】練習問題 行政不服審査法12-5 対比問題(行政事件訴訟)肢3 問題文・解説
行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないときにおける義務付けの訴えが提起できるのは、一定の処分がされないことにより「 」を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときである。

3.「重大な損害」が入る。
行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないときにおける義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる(行政事件訴訟法37条の2)。
問18 行政法 練習問題 行政事件訴訟法2-17 抗告訴訟(取消訴訟)
問題 肢4 正解肢
裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、決定をもって、当該第三者を訴訟に参加させることができるが、この決定は、当該第三者の申立てがない場合であっても、職権で行うことができる。
肢3 解説
裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる(行政事件訴訟法22条1項)。
問19 行政法 練習問題 行政事件訴訟法2-27 抗告訴訟(取消訴訟)
問題 肢4 正解肢
航空機の騒音の防止は、航空機騒音防止法*の目的であるとともに、航空法の目的でもあるところ、定期航空運送事業免許の審査にあたっては、申請事業計画を騒音障害の有無および程度の点からも評価する必要があるから、航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受ける空港周辺の住民には、免許の取消しを求める原告適格が認められる。
肢ア 解説
「定期航空運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有する」(最判平成元年2月17日)。
問20 行政法 練習問題 国家賠償法1-15 1条1項
失火責任法は、・・・(中略)・・・したがって、公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が[ エ ]され、当該公務員に重大な過失のあることを[ オ ]ものといわなければならない。 肢1 解説
消防職員の消火ミスに係る火災の再燃について判例は「公権力の行使にあたる公務員の失火による国又は公共団体の損害賠償責任については、国家賠償法4条により失火責任法が適用され、当該公務員に重大な過失のあることを必要とするものといわなければならない。」としている(最判昭和53年7月17日)。
問21 行政法 練習問題 国家賠償法1-9 1条1項
問題 肢イ 正解肢
鉱山労働者が石炭等の粉じんを吸い込んでじん肺による健康被害を受けたことにつき、一定の時点以降、通商産業大臣(当時)が鉱山保安法に基づき粉じん発生防止策の権限を行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。

問題 肢ウ
宅地建物取引業法に基づき免許を更新された業者が不正行為により個々の取引関係者に対して被害を負わせたことにつき、免許権者である知事が事前に更新を拒否しなかったことは、当該被害者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法である。

問題 肢エ
いわゆる水俣病による健康被害につき、一定の時点以降、健康被害の拡大防止のために、水質規制に関する当時の法律に基づき指定水域の指定等の規制権限を国が行使しなかったことは、国家賠償法1条1項の適用上違法とはならない。
【本試験肢イ】練習問題 国家賠償法1-9 1条1項 肢1 解説
「通商産業大臣は、・・・(中略)・・・本件における以上の事情を総合すると、昭和35年4月以降、鉱山保安法に基づく上記の保安規制の権限を直ちに行使しなかったことは、その趣旨、目的に照らし、著しく合理性を欠くものであって、国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。」(三井鉱山じん肺訴訟:最判平成16年4月27日)

【本試験肢ウ】練習問題 国家賠償法1-7 1条1項 肢4 解説
「(宅建業者の免許制度は)究極的には取引関係者の利益の保護に資するものではあるが、・・・免許を付与した宅建業者の人格・資質等を一般的に保証し、ひいては当該業者の不正な行為により個々の取引関係者が被る具体的な損害の防止、救済を制度の直接的な目的とするものとはにわかに解し難く、かかる損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられているというべきであるから、知事等による免許の付与ないし更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法1条1項にいう違法な行為にあたるものではないというべきである。」(最判平成元年11月24日)

【本試験肢エ】練習問題 国家賠償法1-2 1条1項 肢4 解説
規制権限を行使するために必要な水質二法所定の手続を直ちに執ることが可能であり、・・・水俣病による健康被害の深刻さにかんがみると、直ちにこの権限を行使すべき状況にあった・・・水質二法に基づく上記規制権限を行使しなかったことは、上記規制権限を定めた水質二法の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、著しく合理性を欠くものであって、国家賠償法1条1項の適用上違法というべきである。」(関西水俣病訴訟:最判平成16年10月15日)
問22 行政法 練習問題 地方自治法18-1 公の施設 他
問題 正解肢ア
普通地方公共団体は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置に関する事項を、条例で定めなければならない。

問題 肢イ
普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、審査請求制度の客観性を確保する観点から、総務大臣に対してするものとされている。

問題 肢ウ
普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとしたりするときは、議会の議決に加えて総務大臣の承認が必要となる。

問題 正解肢エ
普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならないが、この原則は、住民に準ずる地位にある者にも適用される。
【本試験肢ア】練習問題 地方自治法18-1 公の施設 肢1 解説
普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない(地方自治法244条の2第1項)。また、使用料も条例で定めなければならない(地方自治法228条1項)。

【本試験肢イ】練習問題 地方自治法18-2 公の施設 肢5 解説
普通地方公共団体の長以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとすることとされている(地方自治法244条の4第1項)。

【本試験肢ウ】練習問題 地方自治法18-1 公の施設 肢5 解説
普通地方公共団体が公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて廃止したり、特定の者に長期の独占的な使用を認めようとするときは、議会において出席議員の2/3以上の者の同意が必要である(地方自治法244条の2第2項)。

【本試験肢エ】練習問題 地方自治法18-4 公の施設 肢3 解説
普通地方公共団体の住民ではないが、その区域内に事務所、事業所又は家屋敷等を有し、当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用については、当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは、公の施設の利用について不当な差別的取扱いの禁止を定めた地方自治法244条3項に違反する(最判平成18年7月14日)。
したがって、地方自治法244条3項は、一定の地方税の負担をしている等により住民に準ずる地位にある者にも、適用される。
問23 行政法 練習問題 地方自治法6-5 直接請求
問題 肢5 正解肢
普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権を有する者は、法定数の連署をもって、当該普通地方公共団体の長に対し、条例の制定または改廃の請求をすることができるが、地方税の賦課徴収等に関する事項はその対象から除外されている。
肢1 解説
地方税の賦課徴収や分担金、使用料、手数料の徴収に関する条例の制定又は改廃の請求は、直接請求の対象から除かれている(地方自治法74条1項)。
問24 行政法 練習問題 地方自治法11-14 議会
問題 肢ウ 正解肢
普通地方公共団体の議会の議長が、議会運営委員会の議決を経て、臨時会の招集を請求した場合において、長が法定の期間内に臨時会を招集しないときは、議長がこれを招集することができる。

問題 肢オ 正解肢
地方自治法には、普通地方公共団体の議会が長の決定によらずに、自ら解散することを可能とする規定はないが、それを認める特例法が存在する。
【本試験肢ウ】練習問題 地方自治法11-14 議会 肢1 解説
議会の招集権者は、普通地方公共団体の長であるが(地方自治法101条1項)、議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる(地方自治法101条2項)。
また、この請求があった場合、長は、請求のあった日から20日以内に臨時会を招集しなければならず(地方自治法101条4項)、長がこの招集をしないとき、議長は、臨時会を招集することができる(地方自治法101条5項)。

【本試験肢オ】練習問題 地方自治法11-9 議会 肢1 解説
普通地方公共団体の議会の解散には、①住民の直接請求による解散 ②議会の不信任の議決による解散 ③「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」による議会自らの解散 の3種類がある。よって、議会が自らの議決に基づき自主解散することはできる。
問25 行政法 練習問題 行政総論12-1 行政活動(行政立法)
問題 肢1
通達は、原則として、法規の性質をもつものであり、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであって、本件通達もこれに該当する。

問題 肢2
通達は、関係下級機関および職員に対する行政組織内部における命令であるが、その内容が、法令の解釈や取扱いに関するものであって、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、法規の性質を有することとなり、本件通達の場合もこれに該当する。

問題 肢3 正解肢
行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではなく、その点では本件通達の場合も同様である。
肢1 解説
元来、通達は、原則として、法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであり、このような通達は右機関および職員に対する行政組織内部における命令にすぎないから、これらのものがその通達に拘束されることはあっても、一般の国民は直接これに拘束されるものではなく、このことは、通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合においても別段異なるところはない。このように、通達は、元来、法規の性質をもつものではないから、行政機関が通達の趣旨に反する処分をした場合においても、そのことを理由として、その処分の効力が左右されるものではない。また、裁判所がこれらの通達に拘束されることのないことはもちろんで、裁判所は、法令の解釈適用にあたっては、通達に示された法令の解釈とは異なる独自の解釈をすることができ、通達に定める取扱いが法の趣旨に反するときは独自にその違法を判定することもできる筋合である」(前掲、最判昭和43年12月24日)。
問26 行政法 令和元年-問26 判例 他
問題 肢ア 正解肢
公立高等専門学校の校長が、必修科目を履修しない学生を原級留置処分または退学処分にするに際しては、その判断は校長の合理的な教育的裁量に委ねられる。

問題 肢エ 正解肢
市が設置する中学校の教員が起こした体罰事故について、当該教員の給与を負担する県が賠償金を被害者に支払った場合、県は国家賠償法に基づき、賠償金の全額を市に求償することができる。
【本試験肢ア】令和元年-問26 判例 肢1 解説
高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するにあたっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきものではなく、校長の裁量権の行使としての処分が、全く事実の基礎を欠くかまたは社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超えまたは裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである(最判平成8年3月8日)。

【本試験肢エ】平成26年-問19 国家賠償法 肢エ 解説
判例は、「法令上、損害を賠償するための費用をその事務を行うための経費として負担すべきものとされている者が、同項にいう内部関係でその損害を賠償する責任ある者にあたると解する」とし、公立中学校の教諭の体罰によって生徒が受けた損害を都道府県(教諭の給与負担者)が賠償した場合は、学校教育法及び地方財政法を根拠に当該中学校を設置する市町村(中学校の経費負担者)に対してその全額を求償することができるとした(最判平成21年10月23日)。
以下、適合多数のため省略

民法

令和3年本試験 合格道場掲載
問27 民法 一問一答 民法総則90 他
問題 肢1
意思表示の相手方が、正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされ、相手方が通知の受領を拒絶した場合には意思表示の到達が擬制される。

問題 肢3
契約の申込みの意思表示に対して承諾の意思表示が郵送でなされた場合、当該意思表示が相手方に到達しなければ意思表示が完成せず契約が成立しないとすると取引の迅速性が損なわれることになるから、当該承諾の意思表示が発信された時点で契約が成立する。

問題 肢4
意思表示は、表意者が通知を発した後に制限行為能力者となった場合でもその影響を受けないが、契約の申込者が契約の申込み後に制限行為能力者となった場合において、契約の相手方がその事実を知りつつ承諾の通知を発したときには、当該制限行為能力者は契約を取り消すことができる。

問題 肢5
意思表示の相手方が、その意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき、または制限行為能力者であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
【本試験肢1】一問一答 民法総則90 解説
相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす(民法97条2項)。

【本試験肢3】一問一答 民法債権Ⅰ16 問題及び解説
申込に対する承諾の通知により契約が成立するのは、承諾の通知が申込者に到着した時である。
答え 正しい
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる(民法97条1項)。

【本試験肢3】一問一答 民法債権Ⅰ10 解説
原則として意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない(民法97条3項)。ただし、申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、申込みは無効となる(民法526条)。

【本試験肢5】練習問題 総則6-11 時効 肢5 解説
意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することはできない(民法98条の2)。
問28 民法 練習問題 民法総則5-7 代理 他
問題 肢1
Aは自己の財産につき管理人を置いていたが、権限について定めていなかった場合であっても、管理人は、保存行為およびその財産の性質を変えない範囲内において利用または改良を行うことができる。

問題 肢4 正解肢
Aの生死が7年間明らかでないときは、利害関係人の請求により、家庭裁判所はAについて失踪の宣告をすることができ、これにより、Aは、失踪の宣告を受けた時に死亡したものとみなされる。

問題 肢5
Aについて失踪の宣告が行われた場合、Aは死亡したものとみなされるが、Aが生存しているときの権利能力自体は、これによって消滅するものではない。
【本試験肢1】練習問題 民法総則5-7 代理 肢4 解説
権限の定めのない代理人は、代理人の管理の対象になっている物又は権利について、修繕などの「保存行為」、性質を変えない範囲内で「利用行為」、「改良行為」をすることができる(民法103条)。

【本試験肢4】練習問題 民法相続1-14 相続 肢ウ 解説
不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができるが(民法30条1項)、この場合、失踪の宣告を受けた者は、7年の期間が満了した時に、死亡したものとみなされる(民法31条)。

【本試験肢5】練習問題 民法総則3-13 制限行為能力 肢2 解説
失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされるが(民法31条)、この効果は、失踪宣告された土地や従来の住所において有していた法律関係を終了させるだけで、失踪宣告を受けた者の権利能力や行為能力を奪うものではない。
問29 民法 平成29年-問31 民法 物権Ⅰ
問題 肢2
D所有の丙土地上に権原なくE所有の未登記の丁建物が存在し、Eが丁建物を未登記のままFに譲渡した場合、Eは、Dに対して丁建物の収去および丙土地の明渡しの義務を負わない。
【本試験肢2】平成29年-問31 民法 物権Ⅰ 肢1 解説
判例によると、「土地所有権に基づく物上請求権を行使して建物収去・土地明渡しを請求するには、現実に建物を所有することによってその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者を相手方とすべきである」とされている(最判昭和35年6月17日)。土地所有権を現に侵害している者こそが争いの当事者であることが一般的だからである。
問30 民法 練習問題 民法物権7-4 占有権(総合) 他
問題 肢1
留置権者は、善良な管理者の注意をもって留置物を占有すべきであるが、善良な管理者の注意とは、自己の財産に対するのと同一の注意より軽減されたものである。

問題 肢3 正解肢
建物賃借人が賃料不払いにより賃貸借契約を解除された後に当該建物につき有益費を支出した場合、賃貸人による建物明渡請求に対して、賃借人は、有益費償還請求権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。

問題 肢4
Aが自己所有建物をBに売却し登記をB名義にしたものの代金未払のためAが占有を継続していたところ、Bは、同建物をCに転売し、登記は、C名義となった。
Cが所有権に基づき同建物の明渡しを求めた場合、Aは、Bに対する売買代金債権を被担保債権として当該建物を留置することはできない。

問題 肢5
Dが自己所有建物をEに売却し引渡した後、Fにも同建物を売却しFが所有権移転登記を得た。FがEに対して当該建物の明渡しを求めた場合、Eは、Dに対する履行不能を理由とする損害賠償請求権を被担保債権として当該建物を留置することができる。
【本試験肢1】練習問題 民法物権7-4 占有権(総合) 肢3 解説
留置権者は、「自己の財産におけるのと同一の注意」ではなく「善良な管理者の注意(善管注意義務)をもって」、留置物を占有しなければならない(民法298条)。

【本試験肢3】練習問題 民法物権11-11 担保物件 肢2 解説
留置権は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない(民法295条2項)。このことについて判例は、債務不履行により解除されているのに、建物を返還しないのは不法に建物を占拠していることにあたり、不法占拠者が必要費・有益費を支出しても、留置権の行使はできない(最判昭和46年7月16日)としている。

【本試験肢4】練習問題 民法物権11-10 担保物件 肢1 解説
留置権者が留置物を占有している限りは、留置物が第三者に譲渡されたとしても留置権は消滅しないで譲受人に対抗することができる(最判昭和47年11月16日)。

【本試験肢5】平成27年-問30 民法 物権Ⅱ 肢2 解説
判例によると、不動産の二重譲渡において、登記を得られなかった者が取得した損害賠償請求債権を担保するために、留置権を行使することはできないとされている(最判昭和43年11月21日)。
したがって、第一譲受人が有する損害賠償請求権のために留置権を行使することができるとする本肢は妥当でない。
問31 民法 練習問題 民法債権Ⅰ6-3 債務不履行 他
問題 肢ア
残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは正当な理由なく残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。この場合、Aは、Bに対して、2ヵ月分の遅延損害金について損害の証明をしなくとも請求することができる。

問題 肢ウ
残代金の支払期限が令和3年10月1日と定められていたところ、Bは残代金500万円の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した。Bは支払いの準備をしていたが、同年9月30日に発生した大規模災害の影響で振込システムに障害が発生して振込ができなくなった場合、Aは、Bに対して残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

問題 肢エ 正解肢
Aの母の葬儀費用にあてられるため、残代金の支払期限が「母の死亡日」と定められていたところ、令和3年10月1日にAの母が死亡した。BがAの母の死亡の事実を知らないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。

問題 肢オ
残代金の支払期限について特段の定めがなかったところ、令和3年10月1日にAがBに対して残代金の支払いを請求した。Bが正当な理由なく残代金の支払いをしないまま2ヵ月が徒過した場合、Aは、Bに対して、残代金500万円に加えて2ヵ月分の遅延損害金を請求することができる。
【本試験肢ア】練習問題 民法債権Ⅰ6-3 債務不履行 肢3 解説
債権者は、この損害の証明をすることを要しない(民法419条2項)。
金銭債務の債務不履行では、肢2にあるように債務者の遅延した言い訳を認めず、また、債権者が損害の立証する必要もなく、容易に遅延損害金の請求を認められる。

【本試験肢ウ】練習問題 民法債権Ⅰ6-3 債務不履行 肢2 解説
金銭債務の債務不履行による損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない(民法419条3項)。

【本試験肢エ】練習問題 民法債権Ⅰ6-2 債務不履行 肢2 解説
債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う(民法412条2項)。

【本試験肢オ】練習問題 民法債権Ⅰ6-2 債務不履行 肢3 解説
債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(民法412条3項)。
問32 民法 一問一答 民法債権Ⅱ119 他
問題 肢1
債権者は、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)のうち、債務者の取消権については、債務者に代位して行使することはできない。

問題 肢2
債権者は、債務者の相手方に対する債権の期限が到来していれば、自己の債務者に対する債権の期限が到来していなくても、被代位権利を行使することができる。

問題 肢3
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が動産の引渡しを目的とするものであっても、債務者の相手方に対し、その引渡しを自己に対してすることを求めることはできない。

問題 肢4
債権者が、被代位権利の行使に係る訴えを提起し、遅滞なく債務者に対し訴訟告知をした場合には、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることはできない。

問題 肢5 正解肢
債権者が、被代位権利を行使した場合であっても、債務者の相手方は、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。
【本試験肢1】平成28年-問32 民法 債権Ⅰ 肢2 解説
判例によると、債務者に属する形成権(権利者の一方的な意思表示によって一定の法律関係を発生させることのできる権利)も代位の対象になり得るとされている(解除権につき大判大正8年2月8日、相殺権につき大判昭和8年5月30日)。なお、取消権の成立は解除権に近いため、取消権の代位行使も認められうる。

【本試験肢2】練習問題 民法債権Ⅰ8-2 債権者代位権 肢1 解説
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、債権者代位権を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない(民法423条2項)。

【本試験肢3】練習問題 民法債権Ⅰ8-4 債権者代位権 肢2 解説
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる(民法423条の3)。

【本試験肢4】一問一答 民法債権Ⅱ123 解説
債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない(民法423条の5)。

【本試験肢5】一問一答 民法債権Ⅱ119 解説
債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない(民法423条の5)。債権者代位権は、債務者が権利を行使しない場合に限って、債権者が代位行使できるのであって、債権者が行使したからといって、そのことを理由に債務者の代位権が制限されるわけではない。
問33 民法 練習問題 民法債権Ⅰ2-9 契約(総合) 他
問題 肢ア 正解肢
甲の引渡しの履行期の直前に震災によって甲が滅失した場合であっても、Bは、履行不能を理由として代金の支払いを拒むことができない。

問題 肢イ
Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、Bは、Aに対して、履行の追完または代金の減額を請求することができるが、これにより債務不履行を理由とする損害賠償の請求は妨げられない。

問題 肢ウ
Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、履行の追完が合理的に期待できるときであっても、Bは、その選択に従い、Aに対して、履行の追完の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

問題 肢オ
Bに引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合において、BがAに対して損害賠償を請求するためには、Bがその不適合を知った時から1年以内に、Aに対して請求権を行使しなければならない。
【本試験肢ア】練習問題 民法債権Ⅰ2-9 契約(総合) 肢5 解説
当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる(民法536条1項)。

【本試験肢イ】一問一答 民法債権Ⅳ224 問題文と解説
問題文:Aは食肉加工会社を経営している。事業が好調につき、新たに大型の業務用冷凍庫をメーカーBから購入した。ところが、当該冷凍庫にはモーターに欠陥があることが判明した。Aが要件を満たして代金減額請求権を行使した場合、併せて損害賠償請求をすることはできない。
解説:買主の追完請求権や代金減額請求権の規定は、損害賠償の請求及び解除権の行使を妨げない(民法564条)。したがって、Aが代金減額請求を行使したからといって、併せて損害賠償請求をすることはできる。

【本試験肢ウ】一問一答 民法債権Ⅱ144 問題文と解説
問題文:引渡された目的物が契約の内容に適合しないものであるとき買主は、履行の追完が可能でも、追完請求を行使せずに代金減額請求をすることができる。
解説:契約した内容が適合しない場合、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる(民法563条1項)。

【本試験肢オ】一問一答 民法債権Ⅳ253 解説
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない(民法566条)。当該問題は品質に関しての内容につき、Aは不適合を知った時から1年以内にBに通知をすれば責任を追及することができる。
なお、不適合の通知とは、損害賠償請求することまで要求するものではなく、不適合を通知することで足りるとされている。
問35 民法 一問一答 民法 親族 問03
問題 肢ア
Aが、Aの死後、甲建物をBに相続させる旨の遺言をしていたところ、Cが相続開始後、法定相続分を持分とする共同相続登記をしたうえで、自己の持分4分の1を第三者Eに譲渡して登記を了した。この場合、Bは、Eに対し、登記なくして甲建物の全部が自己の属することを対抗することができる。

問題 肢イ
Aの死後、遺産分割協議が調わない間に、Bが無償で甲建物の単独での居住を継続している場合、CおよびDは自己の持分権に基づき、Bに対して甲建物を明け渡すよう請求することができるとともに、Bの居住による使用利益等について、不当利得返還請求権を有する。

問題 肢ウ 正解肢
Aが遺言において、遺産分割協議の結果にかかわらずBには甲建物を無償で使用および収益させることを認めるとしていた場合、Bは、原則として終身にわたり甲建物に無償で居住することができるが、甲建物が相続開始時にAとAの兄Fとの共有であった場合には、Bは配偶者居住権を取得しない。

問題 肢エ 正解肢
家庭裁判所に遺産分割の請求がなされた場合において、Bが甲建物に従前通り無償で居住し続けることを望むときには、Bは、家庭裁判所に対し配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出ることができ、裁判所は甲建物の所有者となる者の不利益を考慮してもなおBの生活を維持するために特に必要があると認めるときには、審判によってBに配偶者居住権を与えることができる。
【本試験肢ア】一問一答 民法相続36 解説
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分及び代襲相続人の相続分により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない(民法899条の2第1項)。法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、権利を取得した第三者に対し、法定相続分を超える部分について、自己の権利を主張することができない。

【本試験肢イ】一問一答 民法相続62 解説
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物(居住建物)の所有権を相続又は遺贈により取得した者(居住建物取得者)に対し、居住建物について無償で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分について無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を有する(民法1037条1項本文)。

【本試験肢ウ】一問一答 民法相続49 解説
被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき②配偶者居住権が遺贈の目的とされたときは、居住建物の全部について無償で使用及び収益をする権利(配偶者居住権)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでない(民法1028条1項)。

【本試験肢エ】一問一答 民法相続51 問題文と解説
問題文:遺産分割の請求を受けた家庭裁判所が審判により配偶者に配偶者居住権を取得させることができる場合は、共同相続人全員の合意が成立しているときと、配偶者が配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認められるときである。
解説:遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。①共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。②配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)(民法1029条)。
以下、適合多数のため省略

商法・会社法

令和3年本試験 合格道場掲載
問36 商法 練習問題 商法 商行為2 他
問題 肢ア
利益を得て売却する意思で、時計を買い入れる行為

問題 肢ウ 正解肢
報酬を受ける意思で、結婚式のビデオ撮影を引き受ける行為

問題 肢エ 正解肢
賃貸して利益を得る意思で、レンタル用のDVDを買い入れる行為

問題 肢オ
利益を得て転売する意思で、取得予定の時計を売却する行為
【本試験肢ア】練習問題 商法 商行為2 肢1 解説
利益を得て譲渡する意思をもってする動産、不動産若しくは有価証券の有償取得又はその取得したものの譲渡を目的とする行為は、絶対的商行為である(商法501条1号)。簡単にいうなら安く買って高く売ることである。

【本試験肢ウ】練習問題 商法 商行為4 肢3 解説
出版、印刷又は撮影に関する行為は、営業としてするときは、商行為となる(商法502条6号)。

【本試験肢エ】練習問題 商法 商行為3 肢1 解説
投機賃借は、営業的商行為にあたるため、営業としてするときは、商行為となる(商法502条1号)。したがって、1度限りで動産を貸し付ける行為は、商行為にあたらない。投機賃借の例としては、レンタカー業やレンタルビデオ・DVD業がそうである。

【本試験肢オ】練習問題 商法 商行為2 肢3 解説
他人から取得する動産又は有価証券の供給契約及びその履行のためにする有償取得を目的とする行為は、絶対的商行為である(商法501条2項)。簡単にいうなら、売る約束をしてからそれより安く仕入れることである。
問37 商法 練習問題 商法 会社法Ⅰ2-7 他
問題 肢2
発起人は、その出資に係る金銭の払込みを仮装し、またはその出資に係る金銭以外の財産の給付を仮装した場合には、株式会社に対し、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額を支払い、または給付を仮装した出資に係る金銭以外の財産の全部を給付する義務を負う。

問題 肢3
発起人、設立時取締役または設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

問題 肢4 正解肢
発起人、設立時取締役または設立時監査役がその職務を行うについて過失があったときは、当該発起人、設立時取締役または設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
【本試験肢2】平成28年-問37 商法会社法Ⅰ 株式会社の設立等 肢ウ 解説
条文によると、発起人は、払込みを仮装した場合には、株式会社に対し、払込みを仮装した出資に係る金銭の全額の支払をする義務を負うとされている(会社法52条の2第1項1号)。

【本試験肢3】練習問題 商法 会社法Ⅰ2-7 肢1 問題文と解説 問題文:発起人は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、これによって生じた損害について、当該株式会社に対し、賠償する責任を負う。
解説:発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、株式会社の設立についてその任務を怠ったときは、当該株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(会社法53条1項)。

【本試験肢4】練習問題 商法 会社法Ⅰ2-8 肢2 問題文と解説
問題文:発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
解説:発起人、設立時取締役又は設立時監査役がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該発起人、設立時取締役又は設立時監査役は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(会社法53条2項)。
問39 商法 練習問題 商法 会社法Ⅱ2-21 他
問題 肢イ
監査役会設置会社においては、3人以上の監査役を置き、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない。

問題 肢ウ 正解肢
監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものにおいては、3人以上の取締役を置き、その過半数は、社外取締役でなければならない。

問題 肢オ
指名委員会等設置会社においては、指名委員会、監査委員会または報酬委員会の各委員会は、3人以上の取締役である委員で組織し、各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない。
【本試験肢イ】一問一答 会社法36 問題文と解説
問題文:監査役会設置会社においては、社外監査役は1人以上でなければならない。
解説:監査役会設置会社においては、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は、社外監査役でなければならない(会社法335条3項)。
したがって、仮に監査役3名であっても、最低2名は社外監査役が必要となる。

【本試験肢ウ】練習問題 商法 会社法Ⅱ2-21 肢5 問題文と解説
問題文:公開会社であり、かつ、大会社である監査役会設置会社であって、発行株式の有価証券報告書を内閣総理大臣に提出する義務のある会社は、社外取締役を置かなければならない。
解説:監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって金融商品取引法24条1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものは、社外取締役を置かなければならない(会社法327条の2)。

【本試験肢オ】練習問題 商法 会社法Ⅲ1-2 肢1 問題文と解説
問題文:指名委員会等設置会社における各委員会の委員は、3人以上で組織され、その過半数は、社外取締役でなければならない。
解説:各委員会は、委員3人以上で組織する(会社法400条1項)。また、各委員会の委員の過半数は、社外取締役でなければならない(会社法400条3項)。
以下、適合多数のため省略

多肢選択式

令和3年本試験 合格道場掲載
問43 行政法 平成25年-問13 行政手続法 不利益処分(総合)
問題文
行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の[ ア ]と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて[ イ ]に便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ ウ ]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。
この見地に立って建築士法・・・(略)・・・による建築士に対する懲戒処分について見ると、・・・(略)・・・処分要件はいずれも抽象的である上、これらに該当する場合に・・・(略)・・・所定の戒告、1年以内の業務停止又は免許取消しのいずれの処分を選択するかも処分行政庁の裁量に委ねられている。そして、建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ ウ ]が定められているところ、本件[ ウ ]は、[ エ ]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、・・・(略)・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。
そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ ウ ]の適用関係が示されなければ、処分の名宛人において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ ウ ]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。
(最三小判平成23年6月7日民集65巻4号2081頁)
解説
行政手続法14条1項本文が、[ア:不利益処分]をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしているのは、[イ:名宛人]に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を[イ:名宛人]に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る[ウ:処分基準]の存否及び内容並びに公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。(中略)
建築士に対する上記懲戒処分については、処分内容の決定に関し、本件[ウ:処分基準]が定められているところ、本件[ウ:処分基準]は、[エ:意見公募]の手続を経るなど適正を担保すべき手厚い手続を経た上で定められて公にされており、しかも、その内容は・・・多様な事例に対応すべくかなり複雑なものとなっている。そうすると、建築士に対する上記懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実及び処分の根拠法条に加えて、本件[ウ:処分基準]の適用関係が示されなければ、処分の[イ:名宛人]において、上記事実及び根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような[ウ:処分基準]の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例であると考えられる。」
以下、適合多数のため省略

記述式

令和3年本試験 合格道場掲載
問45 民法 練習問題 民法 債権Ⅰ7-2 債権譲渡
解答例:Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(42字) 肢2 解説
当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない(民法466条2項)が、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる(民法466条3項)。
記述式 問46 民法 [記述] 民法Ⅲ26 債権
問題文
Aが所有する甲家屋につき、Bが賃借入として居住していたところ、甲家屋の2階部分の外壁が突然崩落して、付近を通行していたCが負傷した。甲家屋の外壁の設置または管理に瑕疵があった場合、民法の規定に照らし、誰がCに対して損害賠償責任を負うことになるか。必要に応じて場合分けをしながら、40字程度で記述しなさい。

解答例:原則としてBが負うが、Bが損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、Aが負う。(42字)
解答例:占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合は、所有者がその損害賠償責任を負う。(44字)

解説
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
民法717条
土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
以下、適合多数のため省略

一般知識(政治経済社会・情報通信・個人情報保護)

令和3年本試験 合格道場掲載
問50 政治経済社会 一問一答 一般知識 社会19
問題 肢ア 正解肢
ふるさと納税とは、居住する自治体に住民税を納めずに、自分が納付したい自治体を選んで、その自治体に住民税を納めることができる制度である。

問題 肢イ 正解肢
ふるさと納税は、個人が納付する個人住民税および固定資産税を対象としている。
問題文
ふるさと納税とは、自分の選んだ地方自治体にふるさと納税を行った場合に、2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度である。
解説
例えば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除される。また、自分の生まれ故郷だけでなく、お世話になった地方自治体や応援したい地方自治体等、どの地方自治体でもふるさと納税の対象となる。
問52 政治経済社会 一問一答 一般知識 経済24
問題 肢ア 正解肢
2010年代後半の日本では、一次エネルギーの7割以上を化石エネルギーに依存しており、再生可能エネルギーは3割にも満たない。
解説
2017年度時点で、我が国の電源構成に占める再生可能エネルギー比率は約16%となっており、ドイツの33.6%やイギリスの29.7%、カナダの65.7%といった諸外国と比べて低い水準にある。なお、電源構成とは、電力を作るエネルギーの種類で分類した発電設備の割合を指し、日本の場合は、2019年度時点で約7割を火力が占めている。
以下、適合多数のため省略