行政書士の業務に関し必要な法令等
行政書士の試験科目のうち「行政書士の業務に関し必要な法令等」に関しては、憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題されています。
2025年度以降に改正施行される主な法令については、以下のとおりです。※随時更新
①行政事件訴訟法(被告を誤った訴えの救済)
>この法律は、公布の日から起算して4年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
公布日 2022年05月25日 施行日 未定
(改正前)
取消訴訟において、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤ったときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもって、被告を変更することを許すことができ(行政事件訴訟法15条1項)、
『この決定は、書面でするものとし、その正本を新たな被告に送達しなければならない(行政事件訴訟法15条2項)。』
(改正後)
取消訴訟において、原告が故意又は重大な過失によらないで被告とすべき者を誤つたときは、裁判所は、原告の申立てにより、決定をもつて、被告を変更することを許すことができ(行政事件訴訟法15条1項)、
『この決定は、電子決定書を作成してするものとし、その電子決定書を新たな被告に送達しなければならない(行政事件訴訟法15条2項)。』
②民法(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)
>この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
公布日 2024年05月17日 施行日 未定
【背景・課題】
・父母の離婚が子の養育に与える深刻な影響、子の養育の在り方の多様化
・現状では養育費・親子交流は取決率も履行率も低調
・離婚後も、父母双方が適切な形で子を養育する責任を果たすことが必要
①親の責務等に関する規律を新設
・婚姻関係の有無にかかわらず父母が子に対して負う責務を明確化(民法817条の12)
・親権が子の利益のために行使されなければならないものであることを明確化(民法818条等)
②親権・監護等に関する規律の見直し
・離婚後の親権者に関する規律を見直し(民法819条等)
→協議離婚の際は、父母の協議により父母双方又は一方を親権者と指定することができる。
→協議が調わない場合、裁判所は、子の利益の観点から、父母双方又は一方を親権者と指定する。
→親権者変更にあたって協議の経過を考慮することを明確化
・婚姻中を含めた親権行使に関する規律を整備(民法824条の2等)
→父母双方が親権者であるときは共同行使することとしつつ、親権の単独行使が可能な場合を明確化
→父母の意見対立を調整するための裁判手続を新設
・監護の分掌に関する規律や、監護者の権利義務に関する規律を整備(民法766条、民法824条の3等)
③養育費の履行確保に向けた見直し
・養育費債権に優先権(先取特権)を付与(債務名義がなくても差押え可能に)(民法306条、民法308条の2等)
・法定養育費制度を導入(父母の協議等による取決めがない場合にも、養育費請求が可能に)(民法766条の3等)
④安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
・婚姻中別居の場面における親子交流に関する規律を整備(民法817条の13等)
・父母以外の親族(祖父母等)と子との交流に関する規律を整備(民法766条の2等)
⑤その他の見直し
・養子縁組後の親権者に関する規律の明確化、養子縁組の代諾等に関する規律を整備(民法797条、民法818条等)
・財産分与の請求期間を2年から5年に伸長、考慮要素を明確化(民法768条等)
(婚姻中の財産取得・維持に対する寄与の割合を原則1/2ずつに)
・夫婦間契約の取消権、裁判離婚の原因等の見直し(民法754条、民法770条)
行政書士の業務に関し必要な基礎知識
一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護及び文章理解
①個人情報の保護に関する法律
2022年に刑法の一部が改正され、懲役と禁錮の両刑を一元化し、これらに代えて『拘禁刑』が創設されました。これに伴い、令和4年(2022年)6月17日に公布された「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」により個人情報保護法が一部改正されました。
>一部の規定を除き、刑法等の一部を改正する法律の施行の日(公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日)
公布日 2022年06月17日 施行日 2025年6月1日(令和8年度の試験から適用されます。)
個人情報の保護に関する法律の一部を次のように改正する。
・個人情報保護法48条3号イ、113条4号及び136条3号中「禁錮」を「拘禁刑」に改める。
・176条から181条までの規定中「懲役」を「拘禁刑」に改める。
上記の個人情報保護法以外にも、会社法・国家公務員法・地方自治法・行政不服審査法等で規程されている懲役及び禁錮は、拘禁刑に改正されます。