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合格道場が取り扱っている問題・解説と同主旨の問題が令和6年度行政書士試験で出題されたものの表です。

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令和6年本試験とサイト掲載問題の比較一覧

基礎法学・憲法

令和6年本試験 合格道場掲載
問1 練習問題>基礎法学>その他>10
次の文章の空欄[ ア ]~[ オ ]にあてはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
「[ ア ]」と「[ イ ]」とは基本的に共通な発想に立脚する概念であるが、前者が大陸的背景のもとで何よりも[ ウ ]の国政における優位を含意するのに対し、後者は、そのイギリス的伝統に対応して、[ エ ]としての[ オ ]をまず前提しているという点で、必ずしも同一の思想を表しているとは言い難い。
(出典 碧海純一「新版 法哲学概論〔全訂第2版〕」1989年から<原文の表記を一部改めた。>)
解説肢イ
大陸法と英米法の内容が逆である。
大陸法系の諸国では、ローマ法および教会法の影響を受けて、近代以降に民法典や刑法典等の成文法が整備され、それらの成文法が主要な法源となっており、それを補う形で判例法や慣習法が存在する。
これに対して、英米法系の諸国では、英国の古来の慣習から発展した判例が主要な法源となっており、過去の慣習や判例では対処できない場合などに、成文法でそれを補う形となっている。
なお、日本は、成文法が主要の法源であり、慣習法と判例法でそれを補う形であるため、この点は大陸法系の典型である。
問2 練習問題>憲法>人身の自由>4
肢3
非訟事件手続において、裁判所は、利害関係者の申出により非公開が相当と認められる場合を除き、その手続を公開しなければならない。
問題肢1
憲法上、公開・対審による手続を保障している以上、非公開でされる非訟事件は、裁判の公開を保障した憲法に違反する。
解説肢1
家事審判法(現:家事事件手続法)の規定に従ってされる非訟事件の裁判について、判例は、純然たる訴訟事件の裁判ではないことから、公開の法廷における対審及び判決によってなされる必要はなく、憲法の規定に反するものではないとしている(最大決昭和40年6月30日)。
問3 練習問題>憲法>法の下の平等11
肢3
家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位であるから、氏をその個人の属する集団を想起させるものとして一つに定めることにも合理性があり、また氏が身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることは、その性質上予定されている。
解説肢5
氏に、名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称としての意義があることからすれば、氏が、親子関係など一定の身分関係を反映し、婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることは、その性質上予定されているといえる。
以上のような現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると、婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。
民法750条は、憲法13条に違反するものではない。」(最大判平成27年12月16日)
問3 練習問題>憲法>法の下の平等11
肢4
現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると、婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。
解説肢5
「氏に、名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称としての意義があることからすれば、氏が、親子関係など一定の身分関係を反映し、婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることは、その性質上予定されているといえる。
以上のような現行の法制度の下における氏の性質等に鑑みると、婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない。
民法750条は、憲法13条に違反するものではない。」(最大判平成27年12月16日)
問4 練習問題>多肢選択式>憲法>9-1
肢4
当該事実を公表されない法的利益と、当該情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量した結果、前者が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対してURL等の情報を当該検索結果から削除することを求めることができる。
解説
検索事業者が、ある者に関する条件による検索の求めに応じ、その者のプライバシーに属する事実を含む記事等が掲載されたウェブサイトのURL等情報を検索結果の一部として提供する行為が違法となるか否かは、当該事実の[ア:性質]及び内容、当該URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る[イ:具体的]被害の程度、その者の社会的地位や影響力、・・・記事等の目的や意義、・・・記事等が掲載された時の社会的状況とその後の変化、・・・記事等において当該事実を記載する[ウ:必要性]など、当該事実を公表されない[エ:法的利益]と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので、その結果、当該事実を公表されない[エ:法的利益]が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し、当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である。
問5 練習問題>憲法>精神的自由29
肢1
義務教育は無償とするとの憲法の規定は、授業料不徴収を意味しており、それ以外に、教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用を無償としなければならないことまでも定めたものと解することはできない。
問題肢4
憲法26条2項では「義務教育は、これを無償とする。」と規定しているが、これは、教科書、学用品等を含めた義務教育に必要な費用全てを無償とする趣旨である。
解説肢4
憲法26条2項でいう「義務教育は、これを無償とする。」について判例は「教育提供に対する対価とは授業料を意味するものと認められるから、同条項の無償とは授業料不徴収の意味と解するのが相当である。・・・教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。」としている(教科書国家負担請求事件:最大判昭和39年2月26日)。
なお、現在は「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」等によって、義務教育用教科書は無償となっている。
問5 練習問題>憲法>精神的自由29
肢2
教科書は執筆者の学術研究の結果の発表を目的とするものではなく、また、教科書検定は検定基準に違反する場合に教科書の形態での研究結果の発表を制限するにすぎないので、教科書検定は学問の自由を保障した憲法の規定には違反しない。
問題肢2
最高裁判所の判例によれば、教科書を執筆し出版することは、学術研究結果の発表をする目的もあるから、教科書検定によって、その発表の場を妨げることは、学問の自由を保障する憲法23条に違反する。
解説肢2
教科書は、教科課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、普通教育の場において使用される児童、生徒用の図書であって、学術研究の結果の発表を目的とするものではなく・・・本件検定が学問の自由を保障した憲法23条の規定に違反しない」(家永教科書訴訟:最判平成5年3月16日)
問5 練習問題>憲法>精神的自由29
肢3
公教育に関する国民全体の教育意思は、法律を通じて具体化されるべきものであるから、公教育の内容・方法は専ら法律により定められ、教育行政機関も、法律の授権に基づき、広くこれらについて決定権限を有する。
問題肢1
最高裁判所の判例において、教育権の帰属は、国家と国民のどちらか一方にあるのではなく国と国民の両者にあるとする「折衷説」を採用している。
解説肢1
教育権の帰属における国家教育権説と国民教育権説について、判例は「2つの見解はいずれも極端かつ一方的であり、そのいずれをも全面的に採用することはできないと考える。」として、どちらか一方にあるのではなく国と国民の両者にあるとする「折衷説」を採用している(旭川学力テスト事件:最大判昭和51年5月21日)。
問5 練習問題>多肢選択式>憲法>2-5
肢5
普通教育では、児童生徒に十分な判断能力がなく、また、全国的に一定の教育水準を確保すべき強い要請があること等からすれば、教師に完全な教授の自由を認めることはとうてい許されない。
解説
しかし、大学教育の場合には、学生が一応教授内容を批判する能力を備えていると考えられるのに対し、普通教育においては、児童生徒にこのような能力がなく、教師が児童生徒に対して強い影響力、支配力を有することを考え、また、普通教育においては、子どもの側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等をはかる上からも全国的に一定の水準を確保すべき強い要請があること等に思いをいたすときは、普通教育における教師に完全な[ア:教授の自由]を認めることは、とうてい許されないところといわなければならない。」(最大判昭和51年5月21日刑集第30巻5号615頁)としている。
問6 単元テスト>憲法Ⅰ>問4
肢1
都道府県が歴史的にも政治的、経済的、社会的にも独自の意義と実体を有する単位である以上、参議院の選挙区選出議員に都道府県代表的な意義を付与し、その枠内で投票価値の平等の実現を図ることは、憲法上許容される。
問題肢5
参議院議員の選挙区選挙については、地域代表として選出されるという特殊性により、投票価値の平等が直接的には要求されないため、衆議院議員選挙の場合とは異なり選挙区間における投票価値の格差が5倍を超えるような場合であっても、憲法違反とはならない。
解説肢5
憲法43条は両議院の議員は全国民の代表としており、判例はあくまでも参議院の選挙区選挙について、事実上、地域代表としての要素が加味されていると認めているだけで、本肢のように「地域代表として選出される」とまではいっていない。・・・
問6 練習問題>憲法>法の下の平等12
肢2
小選挙区制は、死票を多く生む可能性があることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、結局のところ選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法ということができる。
問題肢4
小選挙区制は、死票を多く生む可能性のある制度であることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、特定の政党のみを優遇する制度とはいえないのであって、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法といい得る。
解説肢4
小選挙区制の下においては死票を多く生む可能性があることは否定し難いが、死票はいかなる制度でも生ずるものであり、・・・小選挙区制は、選挙を通じて国民の総意を議席に反映させる一つの合理的方法ということができる(最大判平成11年11月10日参照)。
問6 過去問>令和元年>問5
肢5
参議院の比例代表選出議員について、政党が優先的に当選者となるべき候補者を定めることができる特定枠制度は、選挙人の総意によって当選人が決定される点で、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、憲法に違反しない。
問題肢5
比例代表選挙において、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて、政党等があらかじめ定めた当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果、すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点で選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異ならず、直接選挙といい得る。
解説肢5
政党等にあらかじめ候補者の氏名及び当選人となるべき順位を定めた名簿を届け出させた上、選挙人が政党等を選択して投票し、各政党等の得票数の多寡に応じて当該名簿の順位に従って当選人を決定する方式は、投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において、選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない(最大判平成11年11月10日参照)。
問7 練習問題>憲法>内閣16
肢1
両議院の議員には国庫から相当額の歳費を受ける権利が保障されており、議員全員を対象とした一律の措置としてであっても、議員の任期の途中に歳費の減額を行うことはできない。
問題肢3
両議院の議員は、すべて定期に相当額の報酬を受けることができるが、この報酬は、在任中、これを減額することができない。
解説肢3
本肢は、歳費特権についてであるが、憲法49条は「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」としているだけで、在任中減額されないことまでは保障されていない。
なお、裁判官の報酬については、在任中減額されないことまで保障されている(憲法79条6項)。
問7 練習問題>憲法>国会10
肢2
両議院の議員は、国会の会期中は、法律の定める場合を除いては逮捕されることがなく、また所属する議院の同意がなければ訴追されない。
問題肢オ
衆議院及び参議院の議員は、原則として、国会の会期中逮捕されないことになっているが、この特権は、院外における現行犯罪の場合やその院の許諾がある場合は除外されている。
解説肢オ
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない(憲法50条)。
また、国会法33条において、各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されないとしている。
問7 練習問題>憲法>国会10
肢3
両議院の議員には、議院で行った演説、討論、表決について免責特権が認められているが、議場外の行為については、議員の職務として行ったものであっても、免責の対象とならない。
問題肢ウ
国会議員は、議院で行った演説、討論、表決につき、院外で責任を問われない。
解説肢ウ
両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない(憲法51条)。
なお、本条でいう「議院で行った」という意味については議員活動の一環として行った職務を指すと解されており、国会議事堂の中で行った行為に限定されない。・・・
問7 練習問題>憲法>国会11
肢4
参議院の緊急集会は、衆議院の解散中に開催されるものであるが、その際にも、議員に不逮捕特権や免責特権の保障が及ぶ。
問題肢3
参議院の緊急集会中は、議員は不逮捕特権を有しない。
解説肢3
緊急集会中でも、議員は不逮捕特権を有する(国会法100条)。
問7 練習問題>憲法>司法13
肢5
議院が所属議員に科した懲罰には、議院自律権の趣旨から司法審査は及ばないのが原則であるが、除名に関しては、手続の適正さについて審査が及ぶとするのが最高裁判所の判例である。
問題肢1
政党が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題について、党の規律違反としてAを除名処分とした場合において、当該規範自体に特段、公序良俗に反することもなく、また、適正な手続によってなされたものだったがAは当該除名処分の無効を主張して司法審査を求めた際の無効の判断
解説肢1
政党の内部的な問題であるから対象とならない(共産党袴田事件:最判昭和63年12月20日)。

行政法

令和6年本試験 合格道場掲載
問8 練習問題>行政法>行政総論>1-4
肢1
処分に瑕疵があることを理由とする処分の取消しは、行政事件訴訟法上の取消訴訟における判決のほか、行政不服審査法上の不服申立てにおける裁決または決定によってのみすることができる。
解説肢3
処分庁が職権で当該行政行為を取り消すことはできる。

行政法テキスト1を参照
問8 練習問題>行政法>行政総論>1-4
肢2
金銭納付義務を課す処分の違法を理由として国家賠償請求をするためには、事前に当該処分が取り消されていなければならない。
問題肢2
違法な行政行為により損害を受けた者が、国家賠償を請求するには、当該行政行為の取消し又は無効確認の判決を得なければ、当該行政行為の違法性を主張することはできない。
解説肢2
「当該行政行為の取消し又は無効確認の判決を」得る必要はないので誤り。
判例は「行政処分が違法であることを理由として国家賠償の請求をするについては、あらかじめ処分の救済又は無効確認の判決を得る必要はない。」(最判昭和36年4月21日)としている。
問8 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>3-3
肢3
処分取消訴訟の出訴期間が経過した後に当該処分の無効を争うための訴訟としては、行政事件訴訟法が法定する無効確認の訴えのみが許されている。
問題肢2
処分が無効であることは、無効等確認訴訟によってのみ主張ができるとされており、民事訴訟などにおいて、これを主張することはできない。
解説肢2
処分が無効であることは無効等確認訴訟以外でも主張はできる。
具体的には、まず、取消訴訟で主張する事が可能であり、他に争点訴訟又は当事者訴訟でも主張することも可能である。
問8 練習問題>記述式>行政法Ⅰ>1-10
肢4
処分Aの違法がこれに後続する処分Bに承継されることが認められる場合であっても、処分Aの取消訴訟の出訴期間が経過している場合には、処分Bの取消訴訟において処分Aの違法を主張することは許されない。
解説
本問は、いわゆる「違法性の承継(の問題)」と呼ばれるものである・・・
そして、判例は、建築確認と安全認定は、避難又は通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるもので、結合して初めて建築主に一定の地位を付与するという効果を発揮する点や安全認定についてその適否を争うための手続的保障が十分ではなく、その段階では判断が難しいことを理由に先行する安全認定の違法を主張することは許されるとした。
これらを踏まえて本問を検討すると、先行の行政行為であるA処分の出訴期間が過ぎていても、後行の行政行為であるB処分の取消訴訟を提起して、先行の行政行為であるA処分の違法性を主張することができるということになる。
そして、この論点(法的問題点)は、違法性の承継(の問題)と呼ばれる。
問8 過去問>令和2年>問9
肢5
瑕疵が重大であるとされた処分は、当該瑕疵の存在が明白なものであるとまでは認められなくても、無効とされる場合がある。
問題肢3
課税処分における内容の過誤が課税要件の根幹にかかわる重大なものである場合であっても、当該瑕疵に明白性が認められなければ、当該課税処分が当然に無効となることはない。
解説肢3
判例は、「課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであって、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である」(最一小判昭和48年4月26日)としている。
問9 練習問題>行政法>行政手続法>3-7
肢1
行政手続法が定める意見公募手続の対象となるのは、法規命令のみであり、行政規則はその対象とはされていない。
解説肢5
意見公募手続の適用があるのは「命令等」であるが(行政手続法38条)、ここにいう「命令等」には、法律に基づく命令や規則の他に処分基準、審査基準、行政指導指針が含まれる(行政手続法2条8号)。
したがって、意見公募手続の規定が適用される。
なお、公にされない処分基準、審査基準、行政指導指針については適用除外となっている点に注意(行政手続法3条2項6号)。
問9 練習問題>行政法>行政総論>12-1
肢2
法律の規定を実施するために政令を定めるのは内閣の事務であるが、その法律による委任がある場合には、政令に罰則を設けることもできる。
問題肢2
罪刑法定主義の原則により、行政立法で罰則を設けることは、法律で個別・具体的な委任がなされている場合でも、許されない。
解説肢2
法律の委任がある場合は、行政立法で罰則を設けることはできる(憲法73条6号)。
問9 練習問題>行政法>行政総論>12-3
肢3
法律による委任の範囲を逸脱して定められた委任命令は違法となるが、権限を有する機関が取り消すまでは有効なものとして取り扱われる。
問題肢5
法規命令の制定にあたっては、法律の授権が必要であり、その授権の範囲を超える法規命令は無効となりえる。
解説肢5
憲法では、唯一の立法機関である国会のみが、法規を定立することができるとしているため(憲法41条)、国民の権利を制限したり、義務を課すといった国民を拘束する法規たる性質を有する「法規命令」は、法律による授権が必要とされる。
また、授権がされていてもその範囲を超えている場合は、無効となりえる
問9 練習問題>行政法>行政組織法>3-9
肢4
通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合には、当該通達に対して取消訴訟を提起することができる。
問題肢3
通達の発令・改廃行為は、それが国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合は、行政事件訴訟法3条1項の「公権力の行使」にあたるため、取消訴訟の対象となる。
解説肢3
法令の解釈適用に関する通達の性質について、判例は「元来、通達は、原則として、法規の性質をもつものではなく、上級行政機関が関係下級行政機関および職員に対してその職務権限の行使を指揮し、職務に関して命令するために発するものであり、このような通達は右機関および職員に対する行政組織内部における命令にすぎないから、これらのものがその通達に拘束されることはあっても、一般の国民は直接これに拘束されるものではなく、このことは、通達の内容が、法令の解釈や取扱いに関するもので、国民の権利義務に重大なかかわりをもつようなものである場合においても別段異なるところはない。」として、取消を求める訴を提起することはできないとしている(最判昭和43年12月24日)。
問9 過去問>令和元年>問42
肢5
行政手続法が適用される不利益処分の処分基準において、過去に処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定が加重される旨の定めがある場合には、当該処分基準の定めに反する後行の処分は当然に無効となる。
解説
行政手続法は、・・・
以上に鑑みると、行政手続法12条1項の規定により定められ公にされている[ウ:処分基準]において、先行の処分を受けたことを理由として後行の処分に係る量定を加重する旨の[イ:不利益]な取扱いの定めがある場合に、上記先行の処分に当たる処分を受けた者は、将来において上記後行の処分に当たる処分の対象となり得るときは、上記先行の処分に当たる処分の効果が期間の経過によりなくなった後においても、当該[ウ:処分基準]の定めにより上記の[イ:不利益]な取扱いを受けるべき期間内はなお当該処分の取消しによって回復すべき法律上の利益を有するものと解するのが相当である。
問10 練習問題>行政法>行政総論>2-2
肢1
特定の事業者の個室付浴場営業を阻止する目的で町が行った児童福祉法に基づく児童福祉施設の認可申請に対し、県知事が行った認可処分は、仮にそれが営業の阻止を主たる目的としてなされたものであったとしても、当該処分の根拠法令たる児童福祉法所定の要件を満たすものであれば、当該認可処分を違法ということはできないから、当該個室付浴場営業は当然に違法となる。
問題肢3
風俗営業業者の規制を主たる動機、目的として児童遊園設置認可処分をすることは、行政権の濫用に相当する違法性があるといえる。
解説肢3
児童遊園の一定範囲内での風俗浴場営業は規制されているが、児童遊園は、児童に健全な遊びの場を与えることなどを目的とするものであり、風俗浴場の規制を主たる動機、目的とする児童遊園設置認可処分は、行政権の濫用に相当する違法性があり、風俗浴場営業を規制しうる効力を有しない(最判昭和53年6月16日)。
問10 練習問題>行政法>行政総論>14-4
肢3
法の一般原則である信義則の法理は、行政法関係においても一般に適用されるものであるとはいえ、租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、租税法規に適合する課税処分について信義則の法理の適用により当該課税処分を違法なものとして取り消すことは、争われた事案の個別の状況や特段の事情の有無にかかわらず、租税法律主義に反するものとして認められない。
問題肢2
信義則の法理は、法の一般原理であるから、租税法規に適合する課税処分についても当然に適用されるものである。
解説肢2
租税法規に適合する課税処分について、法の一般原理である信義則の法理の適用により、右課税処分を違法なものとして取り消すことができる場合があるとしても、法律による行政の原理なかんずく租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係においては、右法理の適用については慎重でなければならず、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に、初めて右法理の適用の是非を考えるべきものである。」(最判昭和62年10月30日)
問10 練習問題>行政法>行政総論>11-2
肢4
地方公共団体が将来にわたって継続すべき施策を決定した場合でも、当該施策が社会情勢の変動等に伴って変更されることがあることは当然であるが、当該地方公共団体の勧告ないし勧誘に動機付けられて施策の継続を前提とした活動に入った者が社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合において、地方公共団体が当該損害を補償するなどの措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法となる。
問題肢1
行政計画の変更によって、私人が損害を被ったとしても、国民の権利義務に具体的、直接的に影響を与えるものではないから、地方公共団体の不法行為責任は生じない。
解説肢1
行政計画の変更によって、私人が損害を被った場合、地方公共団体の不法行為責任が生じることもある。
A会社へB村の村長が積極的に工場建設を促して工場誘致し、A会社は設備の発注等具体的な準備を進めたが、後に住民反対運動を経てB村の新村長が、その協力を拒否したためにA会社は工場建設を断念した事案について、判例は「勧告等に動機づけられて前記のような活動に入った者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめるものといわなければならない。」としている(最判昭和56年1月27日)。
問10 練習問題>行政法>行政組織法>3-9
肢5
国の通達に基づいて、地方公共団体が被爆者援護法 * 等に基づく健康管理手当の支給を打ち切った後、当該通達が法律の解釈を誤ったものであるとして廃止された場合であっても、行政機関は通達に従い法律を執行する義務があることからすれば、廃止前の通達に基づいて打ち切られていた手当の支払いを求める訴訟において、地方公共団体が消滅時効を主張することは信義則に反しない。
問題肢4
金銭の給付を目的とする普通地方公共団体に対する権利は、5年間で時効により消滅するため、違法な通達に沿った違法な事務処理によって、普通地方公共団体及びその機関自らが権利行使の阻害をしていたとしても、普通地方公共団体及びその機関は当該期間の経過による消滅時効の主張ができる。
解説肢4
「消滅時効の主張ができる。」とはいえない。
未支給の被爆者の健康管理手当の支給義務について、行政側が消滅時効を主張した事案において、判例は「違法な通達を定めて受給権者の権利行使を困難にしていた国から事務の委任を受け、又は事務を受託し、自らも上記通達に従い違法な事務処理をしていた普通地方公共団体ないしその機関自身が、受給権者によるその権利の不行使を理由として支払義務を免れようとするに等しいものといわざるを得ない。
そうすると、上告人の消滅時効の主張は、402号通達が発出されているにもかかわらず、当該被爆者については同通達に基づく失権の取扱いに対し訴訟を提起するなどして自己の権利を行使することが合理的に期待できる事情があったなどの特段の事情のない限り、信義則に反し許されないものと解するのが相当である
」(最判平成19年2月6日)とした。
問11 練習問題>行政法>行政手続法>7-4
肢1
本件処分は、許認可等の効力を失わせる処分であるが、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出に対する応答としてなされるものであるから、行政手続法のいう「不利益処分」にはあたらない。
解説肢1
行政手続法上、不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいうが(行政手続法2条4号本文)、許認可等の効力を失わせる処分であって、当該許認可等の基礎となった事実が消滅した旨の届出があったことを理由としてされるものは除かれる(行政手続法2条4号ただし書き二)。
例えば廃業届などでは、その届出によって、許認可等の効力を失わせるものであるが、あらためてその主張等を聞く必要もないものであるから不利益処分に含まれないことになる。
問11 練習問題>行政法>行政手続法>3-4
肢2
本件処分は、刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官または司法警察職員がする処分を契機とするものであるので、行政手続法の規定は適用されない。
問題肢1
刑事事件に関する法令に基づいて検察官、検察事務官又は司法警察職員がする処分
解説肢1
行政手続法の適用除外については、頻出問題なのでしっかり把握しておきたい。
以下は行政手続法3条1項の適用除外を簡潔にしたものである。
⑤刑事事件に関する処分及び行政指導
1.適用除外。
行政手続法3条5号。
問11 練習問題>行政法>行政手続法>3-1
肢3
本件処分は、その根拠となる規定が法律に置かれているが、地方公共団体の機関がする処分であることから、行政手続法の規定は適用されない。
解説
地方公共団体の機関に関する適用除外は、混同しやすいところだが、頻出の条文なのでしっかり覚えておきたい。
地方公共団体の機関の「行政指導」「命令等を定める行為」については、第2章~第6章は適用除外。
一方、地方公共団体の「処分」「届出」については、根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものは第2章~第6章が適用除外である(行政手続法3条3項)。
換言すれば、地方公共団体の「処分」「届出」については、国の法律に基づくものは、行政手続法が適用される。憲法で要求されている地方自治を尊重する趣旨から、このように規定されている。
ただし、行政手続法46条では、各地方自治体が、行政手続条例を制定するなどの措置をとり、行政手続法の目的を達するよう努めることを要求している。
問11 練習問題>行政法>行政手続法>2-4
肢4
本件処分は、申請に対する処分を取り消すものであるので、本件処分をするに際して、行政庁は許認可等の性質に照らしてできる限り具体的な審査基準を定めなければならない。
問題肢2
不利益処分・・・行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又は申請を拒否する処分。
解説肢2
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいうが(行政手続法2条4号本文)、申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分は除かれる(行政手続法2条4号ただし書き、ロ)。
問11 練習問題>行政法>行政手続法>7-1
肢5
本件処分は、法令上必要とされる資格が失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている処分であり、その喪失の事実が客観的な資料により直接証明されるものであるので、行政庁は聴聞の手続をとる必要はない。
行政庁が、以下の事案の不利益処分をしようとする場合において、意見陳述のための手続として聴聞又は弁明の機会の付与を省略できないものはどれか。
問題肢2
法令上必要とされる資格がなかった場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在が裁判所の判決書により直接証明されたものをしようとするとき。
解説肢2
法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするときは、聴聞又は弁明の機会の付与の手続の規定は適用しない(行政手続法13条2項2号)。
問12 練習問題>行政法>行政手続法>10-9
肢ア
行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項等、行政手続法が定める事項を示さなければならない。
解説肢2
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならず(行政手続法35条1項)、当該行政指導をする際に行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に当該権限を行使し得る根拠等を示さなければならない(行政手続法35条2項)。
問12 練習問題>行政法>行政手続法>10-2
肢イ
地方公共団体の機関がする行政指導については、その根拠となる規定が法律で定められている場合に限り、行政指導に関する行政手続法の規定が適用される。
問題肢4
地方公共団体の機関が行う行政指導については、行政手続法における行政指導に関する規定は適用されない。
解説肢4
地方公共団体の機関の「行政指導」「命令等を定める行為」については、第2章~第6章は適用除外。
一方、地方公共団体の「処分」「届出」については、根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものは第2章~第6章が適用除外である(行政手続法3条3項)。
憲法で要求されている地方自治を尊重する趣旨から、このように規定されている。
問12 練習問題>行政法>行政手続法>10-8
肢ウ
法令に違反する行為の是正を求める行政指導で、その根拠となる規定が法律に置かれているものを受けた相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思科するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。
解説肢3
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる(行政手続法36条の2第1項)。
問12 練習問題>行政法>行政手続法>2-4
肢エ
意見公募手続の対象である命令等には、審査基準や処分基準など、処分をするかどうかを判断するための基準は含まれるが、行政指導に関する指針は含まれない。
問題肢3
命令等・・・内閣又は行政機関が定める法律に基づく命令及び規則並びに審査基準、処分基準及び行政指導指針をいう。
解説肢3
命令等とは、内閣又は行政機関が定める法律に基づく命令及び規則並びに審査基準、処分基準及び行政指導指針をいう(行政手続法2条8号)。
問13 練習問題>行政法>行政手続法>4-3
肢1
審査基準を公にすることによって行政上特別の支障が生じる場合、行政庁が当該審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。
問題肢2
行政庁は、審査基準を定めなければならず、行政上特別の支障があるときを除き、これを公にしておかなければならない。
解説肢2
行政庁は、審査基準を定めなければならず(行政手続法5条1項)、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない(行政手続法5条3項)。
問13 練習問題>行政法>行政手続法>13-2
肢2
処分基準は、不利益処分を行うに際して、その名あて人からの求めに応じ、当該名あて人に対してこれを示せば足りるものとされている。
問題肢4
行政機関は、不利益処分について処分基準を定め、かつ、これを公にしておかなければならない。
解説肢4
「公にしておかなければならない」と、義務としている点が誤り。正しくは努力義務である。
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない(行政手続法12条1項)。
問13 練習問題>行政法>行政手続法>4-3
肢3
行政庁が審査基準を作成し、それを公にすることは努力義務にすぎないことから、行政庁が審査基準を公にしなかったとしても違法とはならない。
問題肢2
行政庁は、審査基準を定めなければならず、行政上特別の支障があるときを除き、これを公にしておかなければならない。
解説肢2
行政庁は、審査基準を定めなければならず(行政手続法5条1項)、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない(行政手続法5条3項)。
問13 練習問題>行政法>行政手続法>5-1
肢4
審査基準を公にする方法としては、法令により申請の提出先とされている機関の事務所において備え付けることのみが認められており、その他の方法は許容されていない。
問題肢3
申請に対する処分についての審査基準を公にする方法としては、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付け、又はその他の適当な方法によってされる。
解説肢3
行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない(行政手続法5条3項)。
問13 練習問題>行政法>行政手続法>7-4
肢5
行政庁が処分基準を定めることは努力義務に過ぎないが、処分基準を定めた場合には、これを公にする法的義務を負う。
問題肢5
行政庁は、処分基準を定める努力義務があるが、これを定めたときに公にすることは義務である。
解説肢5
行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない(行政手続法12条1項)。処分基準の設定も設定したときに公にすることも努力義務である。
なお、設定は努力義務だが、設定したときに公にする義務が生じるのは、申請に対する処分における標準処理期間である。
問14 練習問題>行政法>行政不服審査法>3-2
肢1
審査請求は、審査請求人本人がこれをしなければならず、代理人によってすることはできない。
問題肢3
審査請求は、代理人によってすることができるが、代理人によってするには、審査請求人が民法上の制限行為能力者である場合など、正当な理由を要する。
解説肢3
審査請求人が民法上の制限行為能力者である場合などの正当な理由は必要ない。
審査請求は、代理人によってすることができるとされており(行政不服審査法12条1項)、代理人によってする場合についての制限は特にない。
問14 練習問題>行政法>行政不服審査法>5-1
肢2
審査請求人以外の利害関係人は、審査請求に参加することは許されないが、書面によって意見の提出をすることができる。
問題肢ア
処分における審査請求を審査する審理員は、利害関係人が、参加人として当該審査請求の審理へ参加することについて、許可する権限を有する。
解説肢ア
利害関係人は、審理員の許可を得て、当該審査請求に参加することができる(行政不服審査法13条1項、行政不服審査法61条)。
問14 練習問題>行政法>行政不服審査法>3-3
肢3
多数人が共同して審査請求をしようとする場合、1人の総代を選ばなければならない。
問題肢3
多数人が共同して審査請求をしようとするときは、3人を超えない総代を選任しなければならない。
解説肢3
選任するかしないかは、審査請求人側の任意である。
多数人が共同して審査請求をしようとするときは、3人を超えない総代を互選することができる
(行政不服審査法11条1項)。
もっとも、共同審査請求人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、審理員は総代の互選を命ずることができる(行政不服審査法11条2項)。
問14 練習問題>行政法>行政不服審査法>5-3
肢4
審査請求人本人が死亡した場合、当該審査請求人の地位は消滅することから、当該審査請求の目的である処分に係る権利が承継されるか否かにかかわらず、当該審査請求は当然に終了する。
問題肢4
審査請求によるその地位は、一身専属権に属するものであり、審査請求人が死亡したとしても、相続人等に承継されない。
解説肢4
審査請求人が死亡したときは、相続人等にその地位は承継される(行政不服審査法15条1項、行政不服審査法61条、行政不服審査法66条)。
問14 練習問題>行政法>行政不服審査法>3-2
肢5
法人でない社団または財団であっても、代表者または管理人の定めがあるものは、当該社団または財団の名で審査請求をすることができる。
問題肢5
法人でない社団または財団において、代表者または管理人の定めがない場合、その名で審査請求をすることができる。
解説肢5
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる(行政不服審査法10条)。
問15 練習問題>行政法>行政不服審査法>1-6
肢2
行審法が審査請求の対象とする「行政庁の不作為」には、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がされていない場合も含まれる。
問題肢4
行政不服審査法における行政庁の不作為については、法令に基づき行政庁に対して処分についての申請した者は、審査請求をすることができる。
解説肢4
行政不服審査法における行政庁の不作為については、法令に基づき行政庁に対して処分についての申請した者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為(法令に基づく申請に対して何らの処分をもしないことをいう)がある場合には、審査請求をすることができる(行政不服審査法3条)。
問15 練習問題>行政法>行政不服審査法>2-1
肢4
地方公共団体またはその機関に対する処分で、当該団体または機関がその固有の資格において処分の相手方となるものについては、行審法の規定は適用されない。
解説
行政不服審査法7条の除外事項

① 国会の議決によってなされる処分
② 裁判所の裁判に関する処分
・・・
国の機関又は地方公共団体その他の公共団体もしくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為
⑭ 他の法律に特別の定めがある場合
問15 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>1-5
肢5
行審法は、国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める審査請求で、自己の法律上の利益にかかわらない資格でするものについても規定している。
問題肢3
民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
解説肢3
行政事件訴訟法において民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう(行政事件訴訟法5条)。
問16 練習問題>行政法>行政不服審査法>4-3
肢ア
行訴法は、処分取消訴訟につき、出訴期間の制限を規定するとともに、「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」という規定(以下「ただし書き」という)を置いているが、行審法は、処分についての審査請求につき、審査請求期間の制限を規定しているものの、行訴法のようなただし書きは置いていない。
解説
第18条 処分についての審査請求は、処分が[ア:あったことを知った日の翌日]から起算して[イ:3ヵ月]以内(再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定が[ア:あったことを知った日の翌日]から起算して[ウ:1ヵ月]以内)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
2 処分についての審査請求は、処分(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定)が[エ:あった日の翌日]から起算して[オ:1年]を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
問16 練習問題>行政法>行政不服審査法>7-18
肢イ
行審法は、行政庁が不服申立てをすることができる処分をする場合には、原則として、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすべき行政庁や不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならないと規定しているが、行訴法は、取消訴訟を提起することができる処分をする場合につき、被告とすべき者や出訴期間を教示すべき旨を定めた明文の規定は置いていない。
問題肢3
行政庁は、不服申立てをすることができる処分を口頭でする場合、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨、不服申立てをすべき行政庁および不服申立期間を教示しなければならないが、これを書面でする必要はない。
解説肢3
行政庁は、審査請求・再調査の請求などの不服申立てをすることができる処分をする場合は、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨、不服申立てをすべき行政庁および不服申立期間を書面で教示しなければならないが、処分を口頭でする場合は教示義務自体がない(行政不服審査法82条1項)。

行政法テキスト6
問16 練習問題>行政法>行政不服審査法>12-4
肢ウ
行訴法は、判決の拘束力について、「処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する。」と定めているのに対し、行審法は、裁決の拘束力について、「裁決は、関係行政庁を拘束する。」と定めている。
問題肢5
行政不服審査法の審査請求における裁決では、行政事件訴訟法における取消判決の拘束力に相当する効力が否定されている。
解説肢5
行政不服審査法52条1項は「裁決は、関係行政庁を拘束する。」としており、同2項では「申請に基づいてした処分が手続の違法若しくは不当を理由として裁決で取り消され、又は申請を却下し、若しくは棄却した処分が裁決で取り消された場合には、処分庁は、裁決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分をしなければならない。」としている。
したがって、否定されていない。
問16 練習問題>行政法>行政不服審査法>12-3
肢エ
行審法は、行訴法における取消訴訟と同様、審査請求について執行停止の規定を置くとともに、執行停止の申立てまたは決定があった場合、内閣総理大臣は、審査庁に対し、異議を述べることができる旨を定めている。
問題肢2
取消訴訟においても処分についての審査請求においても、執行停止制度が設けられているが、内閣総理大臣は執行停止について、異議を述べることができるとされており、異議があったときは、裁判所又は審査庁は、すでに執行停止の決定をしているときであっても、これを取り消さなければならない。
解説肢2
取消訴訟においても処分についての審査請求においても、執行不停止を原則としているが、重大な損害を避けるため緊急の必要があるときなどのために執行停止制度が設けられている(取消訴訟につき、行政事件訴訟法25条。審査請求につき、行政不服審査法25条)。
執行停止の内容の違いとしては、行政事件訴訟法では内閣総理大臣の異議の規定はあるが(行政事件訴訟法27条)、行政不服審査法には当該規定はない。
問17 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>2-13
肢1
公務員に対する免職処分の取消訴訟における訴えの利益は、免職処分を受けた公務員が公職の選挙に立候補した後は、給料請求権等の回復可能性があるか否かにかかわらず、消滅する。
問題肢4
免職処分を受けた公務員が当該処分の取消訴訟を提起し、その係属中に公職に立候補した場合には、公職選挙法の規定により公務員を辞職したものとみなされるから、それによって訴えの利益も失われる。
解説肢4
公職への立候補によって、公務員を辞職したものとみなされたとしても、免職処分でなければ有するはずであった給料債権等の利益の回復を求める事ができるので、訴えの利益は失われない。

当該公務員は、違法な免職処分さえなければ公務員として有するはずであった給料請求権その他の権利、利益につき裁判所に救済を求めることができなくなるのであるから、本件免職処分の効力を排除する判決を求めることは、右の権利、利益を回復するための必要な手段であると認められる。
そして、・・・権利、利益が害されたままになっているという不利益状態の存在する余地がある以上、上告人(原告)は、なおかつ、本件訴訟を追行する利益を有するものと認めるのが相当である。
」(最大判昭和40年4月28日)
問17 過去問>令和2年度>問17
肢2
保安林指定解除処分の取消訴訟における訴えの利益は、原告適格の基礎とされた個別具体的な利益侵害状況が代替施設の設置によって解消するに至った場合には、消滅する。
問題肢ア
森林法に基づく保安林指定解除処分の取消しが求められた場合において、水資源確保等のための代替施設の設置によって洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは当該保安林の存続の必要性がなくなったと認められるとしても、当該処分の取消しを求める訴えの利益は失われない。
解説肢ア
代替施設の設置により、洪水・渇水の危険が解消されれば、訴えの利益は失われる。

保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を害された場合には、右解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格を有する者ということができるけれども・・・本件におけるいわゆる代替施設の設置によって右の洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは本件保安林の存続の必要性がなくなったと認められるに至ったときは、もはやAと表示のある上告人らにおいて右指定解除処分の取消しを求める訴えの利益は失われるに至ったものといわざるをえない」(長沼ナイキ基地訴訟:最判昭和57年9月9日)
問17 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>2-15
肢3
公文書非公開決定処分の取消訴訟における訴えの利益は、公開請求の対象である公文書が当該取消訴訟において書証として提出された場合には、消滅する。
問題肢1
公文書の非公開決定の取消訴訟において、当該行政文書が書証として提出された場合、非公開決定の取消を求める訴えの利益は消滅する。
解説肢1
公開請求権者は、本件条例に基づき公文書の公開を請求して、所定の手続により請求に係る公文書を閲覧し、又は写しの交付を受けることを求める法律上の利益を有するというべきであるから、請求に係る公文書の非公開決定の取消訴訟において当該公文書が書証として提出されたとしても、当該公文書の非公開決定の取消しを求める訴えの利益は消滅するものではないと解するのが相当である。」(最判平成14年2月28日)。
問17 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>2-14
肢4
運転免許停止処分の取消訴訟における訴えの利益は、免許停止期間が経過した場合であっても、取消判決により原告の名誉・感情・信用等の回復可能性がある場合には、消滅しない。
問題肢5
道路交通法違反行為をしたことを理由として、公安委員会から運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて出訴している間に免許停止期間が終了し、また、累積する違反点数も消えた場合。
解説肢5
免停の期間及び期間の経過により違反点数が消滅した場合は、道路交通法上の不利益を受ける恐れがなくなったことになり、取消の訴えによって回復すべき法律上の利益は有しない(最判昭和55年11月25日)。
なお、違反点数が残っている場合は、訴えの利益を有するといえる。
問17 過去問>平成26年度>問18
肢5
市立保育所廃止条例を制定する行為の取消訴訟における訴えの利益は、当該保育所で保育を受けていた原告ら児童の保育の実施期間が満了した場合であっても、当該条例が廃止されない限り、消滅しない。
問題肢2
市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益は、原告らに係る保育の実施期間がすべて満了したとしても失われない。
解説肢2
原告らにかかる保育の実施期間が全て満了すれば訴えの利益は消滅する。
市立保育所の廃止条例の制定行為の取消しを求める利益について判例は「上告人らに係る保育の実施期間がすべて満了していることが明らかであるから、本件改正条例の制定行為の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。」
としている(最判平成21年11月26日)。
問18 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>2-18
肢ア
裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、判決をもって、処分が違法であることを宣言することができる。
問題肢1
事情判決は、いわゆる中間判決をもって、処分又は裁決が違法であることを宣言することも可能である。
解説肢1
事情判決は裁判所は、相当と認めるときは、終局判決前に、中間判決ですることができる(行政事件訴訟法31条2項)。
問18 過去問>平成30年>問17
肢イ
申請を拒否した処分が判決により取り消されたときは、その処分をした行政庁は、速やかに申請を認める処分をしなければならない。
問題肢3
申請を拒否する処分が判決により取り消された場合、その処分をした行政庁は、当然に申請を認める処分をしなければならない。
解説肢3
本肢のように、当然に申請を認める処分をしなければならないわけではない。 行政事件訴訟法33条2項は「申請を却下し若しくは棄却した処分又は審査請求を却下し若しくは棄却した裁決が判決により取り消されたときは、その処分又は裁決をした行政庁は、判決の趣旨に従い、改めて申請に対する処分又は審査請求に対する裁決をしなければならない。」と規定している。
問18 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>2-11
肢ウ
処分または裁決を取り消す判決により権利を害された第三者で、自己の責めに帰することができない理由により訴訟に参加することができなかったため判決に影響を及ぼすべき攻撃または防御の方法を提出することができなかったものは、これを理由として、確定の終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服の申立てをすることができる。
問題肢5
取消訴訟において、取消判決は、第三者に対しても効力を有するため、訴訟の結果により権利を害される第三者については、訴訟参加の制度が設けられている。
解説肢5
処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有するため(行政事件訴訟法32条1項)、裁判所は、訴訟の結果により権利を害される第三者があるときは、当事者若しくはその第三者の申立てにより又は職権で、決定をもって、その第三者を訴訟に参加させることができる(行政事件訴訟法22条)。
また、参加することができずに権利を害される第三者のために第三者の再審の訴えという制度も設けられている(行政事件訴訟法34条)。
なお、取消判決の主な効力としては、既判力、形成力、対世的効果(第三者効)、拘束力などがあり、本肢は対世的効果(第三者効)についてである。
問18 過去問>令和2年度>問19
肢エ
直接型(非申請型)義務付け訴訟において、その訴訟要件がすべて満たされ、かつ当該訴えに係る処分について行政庁がこれをしないことが違法である場合には、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命じる判決をする。
問題肢1
行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合には、裁判所は、行政庁に代わって当該処分を行うことができる。
解説肢2
処分を行うのは行政機関である当該行政庁となる。
その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする(行政事件訴訟法37条の2第5項)。
裁判所は、行政庁が処分をすべき旨を命ずる判決を下す司法機関である。
行政庁が義務付け判決に従った処分をしない場合でも、裁判所は行政庁に代わって当該処分を行うことはできない。
問19 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>8-1
肢1
機関訴訟は、国または公共団体の機関相互間における権限の存否またはその行使に関する紛争についての訴訟であり、そのような紛争の一方の当事者たる機関は、特に個別の法律の定めがなくとも、機関たる資格に基づいて訴えを提起することができる。
問題肢2
民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める者に限り、提起することができる。
解説肢2
民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる(行政事件訴訟法42条)。
問題肢3
機関訴訟とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。
解説肢3
機関訴訟とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう(行政事件訴訟法6条)。
問19 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>8-1
肢2
民衆訴訟とは、特に法律が定める場合に国または公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、自己の法律上の利益にかかわらない資格で何人も提起することができるものをいう。
問題肢2
民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める者に限り、提起することができる。
解説肢2
民衆訴訟及び機関訴訟は、法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる(行政事件訴訟法42条)。
練習問題>行政法>行政事件訴訟法>1-5
問題肢3
民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう。
解説肢3
行政事件訴訟法において民衆訴訟とは、国又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものをいう(行政事件訴訟法5条)。
問19 総合テスト>VOL1>問18
肢3
機関訴訟で、処分の取消しを求めるものについては、行訴法所定の規定を除き、取消訴訟に関する規定が準用される。
解説肢3
民衆訴訟及び機関訴訟のうち、処分又は裁決の取消しを求めるものについては、取消訴訟の規定のほとんどを準用しているが(行政事件訴訟法43条1項)、肢1でも解説のとおり、客観訴訟は個人の権利利益の保護を目的とするものではないため、取消訴訟における原告適格・訴えの利益に関する規定は準用しておらず、法律上の利益を有する事は提起する要件ではない。
問19 練習問題>憲法>法の下の平等>8
肢4
公職選挙法が定める地方公共団体の議会の議員の選挙の効力に関する訴訟は、地方公共団体の機関たる議会の構成に関する訴訟であるから、機関訴訟の一例である。
問題肢4
本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる民衆訴訟の一形態と位置づけられるものである。
解説肢4
公職選挙法における選挙の効力の無効を求める訴訟は(本問の議員定数不均衡訴訟もその一つ)、民衆訴訟に分類される(行政事件訴訟法5条)。
なお、民衆訴訟には、選挙人たる資格で提起するものと、その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものがあり、前者の典型例が議員定数不均衡訴訟であり、後者の典型例が地方自治法の住民訴訟である。
問19 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>1-6
肢5
行訴法においては、行政事件訴訟に関し、同法に定めがない事項については、「民事訴訟の例による」との規定がなされているが、当該規定には、民衆訴訟および機関訴訟を除くとする限定が付されている。
問題肢1
行政事件訴訟において、行政事件訴訟法に定めがない事項については、「行政手続法の例による」とされている。
解説肢1
行政事件訴訟法において、行政事件訴訟法に定めがない事項については民事訴訟の例による(行政事件訴訟法7条)。
問20 練習問題>行政法>国家賠償法>1-16
肢イ
政府が物価の安定等の政策目標を実現するためにとるべき具体的な措置についての判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため当該政策目標を達成できなかった場合、法律上の義務違反ないし違法行為として、国家賠償法上の損害賠償責任の問題が生ずる。
問題肢1
経済政策の決定の当否は裁判所の司法的判断には本質的に適しないから、経済政策ないし経済見通しの過誤を理由とする国家賠償法1条に基づく請求は、法律上の争訟にはあたるが、棄却される。
解説肢1
インフレーションのため郵便貯金が目減りした原因は、政府が政策目標達成への対応を誤ったことにあるとして国家賠償請求した事案について、判例は「目標を調和的に実現するために政府においてその時々における内外の情勢のもとで具体的にいかなる措置をとるべきかは、事の性質上専ら政府の裁量的な政策判断に委ねられている事柄とみるべきものであって、仮に政府においてその判断を誤り、ないしはその措置に適切を欠いたため右目標を達成することができず、又はこれに反する結果を招いたとしても、これについて政府の政治的責任が問われることがあるのは格別、法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題を生ずるものとすることはできない。」(最判昭和57年7月15日)とし、主文にて棄却されている。
問20 練習問題>行政法>国家賠償法>1-15
肢ウ
町立中学校の生徒が、放課後に課外のクラブ活動中の運動部員から顔面を殴打されたことにより失明した場合において、当該事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情のない限り、顧問の教諭が当該クラブ活動に立ち会っていなかったとしても、当該事故の発生につき当該教諭に過失があるとはいえない。
解説肢1
課外クラブ活動における生徒同士の喧嘩によって失明した事案において判例は、国家賠償請求の対象であることを前提にして、「課外のクラブ活動であっても、それが学校の教育活動の一環として行われるものである以上、その実施について、顧問の教諭を始め学校側に、生徒を指導監督し事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務のあることを否定することはできない。
しかしながら、課外のクラブ活動が本来生徒の自主性を尊重すべきものであることに鑑みれば、何らかの事故の発生する危険性を具体的に予見することが可能であるような特段の事情のある場合は格別、そうでない限り、顧問の教諭としては、個々の活動に常時立会い、監視指導すべき義務までを負うものではない」とした(最判昭和58年2月18日)。
問20 単元テスト>行政法2>問9
肢エ
市内の河川について市が法律上の管理権をもたない場合でも、当該市が地域住民の要望にこたえて都市排水路の機能の維持および都市水害の防止など地方公共の目的を達成するために河川の改修工事をして、これを事実上管理することになったときは、当該市は、当該河川の管理につき、国家賠償法2条1項の責任を負う公共団体にあたる。
問題肢4
営造物の管理責任は、公物として正式に管理されている行政財産について及ぶものであって、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地の管理責任については、国家賠償法2条1項の適用を受けない。
解説肢4
国家賠償法2条にいう公の営造物の管理者は、必ずしも当該営造物について法律上の管理権ないしは所有権、賃借権等の権原を有している者に限られるものではなく、事実上の管理をしているにすぎない国又は公共団体も同条にいう管理者に含まれるものと解する」(最判昭和59年11月29日)
したがって、事実上私人によって道路として利用されているに過ぎない公有地だからといって、それだけをもって国家賠償法2条の適用を受けないとはいえない。
問21 練習問題>行政法>国家賠償法>1-14
肢1
指定確認検査機関による建築確認に係る建築物について、確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、指定確認検査機関が行った当該確認について、国家賠償法1条1項の国または公共団体としての責任を負うことはない。
問題肢ア
指定確認検査機関の建築確認処分に起因する私人の損害について、当該事務の帰属する地方公共団体は、国家賠償責任を負うことはない。
解説肢ア
指定確認検査機関の建築確認処分に起因して私人が損害を被った場合、当該事務の帰属する地方公共団体は、国家賠償責任を負うことになる(最決平成17年6月24日参照)。
問21 練習問題>行政法>国家賠償法>1-4
肢2
公権力の行使にあたる国または公共団体の公務員が、その職務を行うについて、過失によって違法に他人に損害を加えた場合には、国または公共団体がその被害者に対して賠償責任を負うが、故意または重過失の場合には、公務員個人が被害者に対して直接に賠償責任を負う。
問題肢5
国家賠償法において、国または公共団体がその責任を負担する以上、公務員個人は、被害者に対し直接に賠償責任を負うことはない。
解説肢5
民法の使用者責任では、使用者と不法行為をした被用者の両方が責任を負うが(不真正連帯債務の関係)、国家賠償請求においては、最高裁判例・通説共に、公務員個人が直接責任を負うものではないとしている。
損害賠償等を請求する訴について考えてみるに、・・・、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであって、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではない。」(最判昭和30年4月19日)
問21 練習問題>行政法>国家賠償法>1-1
肢4
国家賠償法1条1項が定める「公務員が、その職務を行うについて」という要件につき、公務員が主観的に権限行使の意思をもってするものではなく、専ら自己の利をはかる意図をもってするような場合には、たとえ客観的に職務執行の外形をそなえる行為をした場合であったとしても、この要件には該当しない。
問題肢3
国家賠償法1条1項に規定する「職務を行うについて」には、職務行為そのものだけでなく、客観的に職務執行の外形を備える行為も含まれる。
解説肢3
客観的に職務執行の外形を備える行為であれば、「公務員が、その職務を行うについて」に含まれ、国又は公共団体は、賠償の責任を負うとされている。
判例は非番の警察官が、制服着用の上、職務質問を装って金品を持ち去ろうとしたところ、被害者に騒がれたのでピストルで射殺した場合も、「職務を行うについて」に該当するとして、いわゆる外形標準説をとっている。
「同条(国家賠償法1条)は公務員が主観的に権限行使の意思をもってする場合にかぎらず自己の利をはかる意図をもってする場合でも、客観的に職務執行の外形をそなえる行為をしてこれによって、他人に損害を加えた場合には、国又は公共団体に損害賠償の責を負わしめて、ひろく国民の権益を擁護することをもって、その立法の趣旨とするものと解すべきであるからである。」(最判昭和31年11月30日)
問21 練習問題>行政法>国家賠償法>1-14
肢5
都道府県警察の警察官が、交通犯罪の捜査を行うにつき故意または過失によって違法に他人に損害を加えた場合において、国家賠償法1条1項により当該損害につき賠償責任を負うのは国であり、当該都道府県が賠償責任を負うことはない。
解説肢イ
都道府県警察の警察官がいわゆる交通犯罪の捜査を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を加えた場合において国家賠償法1条1項によりその損害の賠償の責めに任ずるのは、原則として当該都道府県であり、国は原則としてその責めを負うものではないが、検察官が自ら行う犯罪の捜査の補助に係るものであるとき(刑訴法193条3項参照)のような例外的な場合は、国が国家賠償責任を負うこともある(最判昭和54年7月10日)。
問22 練習問題>行政法>地方自治法>5-7
肢1
普通地方公共団体が処理する事務には、地域における事務と、その他の事務で法律またはこれに基づく政令により処理することとされるものとがある。
解説肢5
普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされる事務に関し、条例を制定することができる(地方自治法14条1項、地方自治法2条2項)。
問22 練習問題>行政法>地方自治法>4-5
肢2
都道府県の法定受託事務とは、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものであり、都道府県知事が国の機関として処理することとされている。
問題肢4
法定受託事務については第一号法定受託事務、第二号法定受託事務に分けられるが、第一号法定受託事務は、国が本来果たすべき役割に係る事務の一部を都道府県、市町村又は特別区が処理することとされたもので、第二号法定受託事務とは、都道府県が本来果たすべき役割に係る事務の一部を市町村又は特別区が処理することとされた事務である。
解説肢4
法定受託事務については第一号法定受託事務、第二号法定受託事務に分けられるが、第一号法定受託事務は、法令により国が本来果たすべき役割に係る事務の一部を都道府県、市町村又は特別区が処理することとされたものである(地方自治法2条9項1号)。
一方、第二号法定受託事務とは、法令により都道府県が本来果たすべき役割に係る事務の一部を市町村又は特別区が処理することとされた事務である(地方自治法2条9項2号)。
問22 練習問題>行政法>地方自治法>4-3
肢3
市町村の法定受託事務とは、国または都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものであるから、これにつき市町村が条例を定めることはできない。
問題肢2
普通地方公共団体は、自治事務においては、国の法令に違反しなければ条例を制定できるが、法定受託事務については、国の法令の特別の委任がなければ条例を制定できない。
解説肢2
普通地方公共団体は、事務に関して条例を制定できるが、条例の制定については法定受託事務と自治事務は区別されていないため、普通地方公共団体の議会は法定受託事務についても条例を制定できる(地方自治法2条2項、地方自治法14条1項)。
問22 過去問>令和4年>問24
肢4
法定受託事務は、普通地方公共団体が当該団体自身の事務として処理するものであるから、地方自治法上の自治事務に含まれる。
解説肢2
「当該事務について都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り自治事務となる」というわけではない。
地方公共団体の事務は、自治事務と法定受託事務に区分され、地方自治法において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう(地方自治法2条8項)。
したがって、都道府県の事務の根拠となる法律が、都道府県の自治事務とする旨を定めていなくとも、当該事務は自治事務になる。
問22 練習問題>行政法>地方自治法>4-1
肢5
地方自治法は、かつての同法が定めていた機関委任事務制度のような仕組みを定めていないため、現行法の下で普通地方公共団体が処理する事務は、その全てが自治事務である。
問題肢2
地方公共団体は、自治事務及び法定受託事務を処理することとされている。
解説肢2
普通地方公共団体は、自治事務及び法定受託事務を処理する(地方自治法2条8項、9項)。
問23 練習問題>行政法>地方自治法>21-1
肢1
住民監査請求は、普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の監査委員に対して行う。
解説肢3
普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担があると認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる(地方自治法242条1項)。
問23 練習問題>行政法>地方自治法>21-3
肢2
住民訴訟は、あらかじめ、地方自治法に基づく住民監査請求をしていなければ、適法に提起することができない。
問題肢2
住民訴訟を提起するには、その前提となる要件として住民監査請求を経ていることが原則として必要であり、これを住民監査請求前置(主義)という。
解説肢2
住民訴訟は住民監査請求前置(主義)を採り、住民監査請求を経ていることが原則として必要である。

なお、住民監査請求をしたのに、監査または勧告が行われるべき期間内(請求があった日から60日以内)になされない場合は、監査の結果が出る前でも住民訴訟を提起できる(地方自治法242条の2第1項)。
問23 練習問題>行政法>地方自治法>21-5
肢3
住民訴訟で争うことができる事項は、住民監査請求の対象となるものに限定される。
全問題肢参照
問23 練習問題>行政法>地方自治法>21-5
肢4
住民訴訟において原告住民がすることができる請求は、地方自治法が列挙するものに限定される。
解説肢5
住民訴訟は、以下の4つの類型が法定されている(地方自治法242条の2第1項)。
①差止めの請求
②取消し又は無効確認の請求
③怠る事実の違法確認の請求
④相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める請求
問23 練習問題>行政法>地方自治法>21-6
肢5
損害賠償の請求をすることを普通地方公共団体の執行機関に対して求める住民訴訟において、原告住民の請求を認容する判決が確定した場合は、当該原告住民に対して、当該損害賠償請求に係る賠償金が支払わられることになる。
問題肢ウ
地方公共団体に代位して、公金の支出の相手方に対して直接に損害賠償を求める請求
解説肢ウ
「地方公共団体に代位して、相手方に対して直接」まではできない。

地方公共団体の職員等に損害賠償、不当利得返還の請求することを求めるにとどまる
(地方自治法242条の2第1項4号)。
問24 練習問題>行政法>地方自治法>5-3
肢1
普通地方公共団体の長が規則を定めるのは、法律または条例による個別の委任がある場合に限られる。
問題肢2
地方公共団体の長が規則を定めるにあたっては、原則として条例の授権が必要である。
解説肢2
長が規則を制定するにあたって条例の授権は必要としない。
普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる(地方自治法15条1項)。
問24 練習問題>行政法>地方自治法>5-4
肢2
普通地方公共団体は法令に違反しない限りにおいて条例を定めることができるが、条例において罰則を定めるためには、その旨を委任する個別の法令の定めが必要である。
問題肢2
地方公共団体は、条例に、罰則を定めることはできるが、死刑や懲役刑を規定することはできない。
解説肢2
罰則として死刑は規定できないが、懲役(2年以下)は規定できる。
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(地方自治法14条3項)。
問24 練習問題>行政法>地方自治法>5-3
肢3
普通地方公共団体は、特定の者のためにする事務につき手数料を徴収することができるが、この手数料については、法律またはこれに基づく政令に定めるものを除いて、長の定める規則によらなければならない。
問題肢4
普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収するときは、条例又は規則で当該手数料に関する事項を定めなければならない。
解説肢4
普通地方公共団体は、当該普通地方公共団体の事務で特定の者のためにするものにつき、手数料を徴収することができるが、これは「条例」で定めなければならない(地方自治法227条、地方自治法228条1項)。
問24 練習問題>行政法>地方自治法>5-4
肢4
普通地方公共団体の委員会は、個別の法律の定めるところにより、法令等に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を定めることができる。
問題肢3
普通地方公共団体の委員会は、その権限に属する事務であっても、規則等を定めることはできない。
解説肢3
普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる(地方自治法138条の4第2項)。
問24 練習問題>行政法>地方自治法>5-4
肢5
普通地方公共団体は条例で罰則を設けることができるが、その内容は禁錮、罰金、科料などの行政刑罰に限られ、行政上の秩序罰である過料については、長が定める規則によらなければならない。
問題肢2
地方公共団体は、条例に、罰則を定めることはできるが、死刑や懲役刑を規定することはできない。
解説肢2
罰則として死刑は規定できないが、懲役(2年以下)は規定できる。
普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる(地方自治法14条3項)。
問25 過去問>令和元年>問26
肢ア
公立高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行った場合、裁判所がその処分の適否を審査するにあたっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきである。
問題肢ア
公立高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するに当たっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきである。
解説肢ア
高等専門学校の校長が学生に対し原級留置処分または退学処分を行うかどうかの判断は、校長の合理的な教育的裁量にゆだねられるべきものであり、裁判所がその処分の適否を審査するにあたっては、校長と同一の立場に立って当該処分をすべきであったかどうか等について判断し、その結果と当該処分とを比較してその適否、軽重等を論ずべきものではなく、校長の裁量権の行使としての処分が、全く事実の基礎を欠くかまたは社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超えまたは裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである(最判平成8年3月8日)。
問25 過去問>平成20年>問24
肢イ
教育委員会が、公立学校の教頭で勧奨退職に応じた者を校長に任命した上で同日退職を承認する処分をした場合において、当該処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものといえないときは、校長としての退職手当の支給決定は財務会計法規上の義務に違反する違法なものにはあたらない。
解説肢1
教育委員会が教頭を退職前の1日だけ校長に任命した行為を前提に、地方公共団体の長が行った退職手当の支給は、任命行為が違法であっても退職手当の支給行為自体が財務会計法規上の義務に違反するものでなければ当然に違法とはならない

「当該職員の財務会計上の行為をとらえて右の規定に基づく損害賠償責任を問うことができるのは、たといこれに先行する原因行為に違法事由が存する場合であっても、右原因行為を前提としてされた当該職員の行為自体が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるときに限られると解するのが相当である。・・・中略・・・東京都教育委員会は、東京都内の公立学校において教頭職にある者のうち勧奨退職に応じた29名について、昭和58年3月31日付けで校長に任命した上、・・・中略・・・さらに、同日右29名につき退職承認処分(以下「本件退職承認処分」という。)をした、(2)東京都教育委員会の所掌に係る事項に関する予算の執行権限を有する東京都知事である被上告人は、本件昇格処分及び本件退職承認処分に応じて、右昇給後の号給を基礎として算定した退職手当につき本件支出決定をし、右29名は右退職手当の支給を受けた、というのである。そして、以上の事実関係並びに原審の適法に確定した本件昇格処分及び本件退職承認処分の経緯等に関するその余の事実関係の下において、本件昇格処分及び本件退職承認処分が著しく合理性を欠きそのためこれに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存するものとは解し得ないから、被上告人としては、東京都教育委員会が行った本件昇格処分及び本件退職承認処分を前提として、これに伴う所要の財務会計上の措置を採るべき義務があるものというべきであり、したがって、被上告人のした本件支出決定が、その職務上負担する財務会計法規上の義務に違反してされた違法なものということはできない。」(最判平成4年12月15日)
問25 練習問題>行政法>行政総論>2-3
肢ウ
公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、当該施設の管理者の裁量に委ねられており、学校教育上支障がない場合であっても、学校施設の目的および用途と当該使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により許可をしないこともできる。
問題肢4
公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられているが、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には、裁量権の逸脱又は濫用として違法となる。
解説肢4
公立学校の学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量にゆだねられており、学校教育上支障がない場合であっても、行政財産である学校施設の目的及び用途と当該使用の目的、態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により許可をしないこともできる。
しかし、その判断が、重要な事実の基礎を欠くか、又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合には、裁量権の逸脱又は濫用として違法となる。
妨害行動のおそれが具体的なものではなかったにもかかわらずそれを主な理由として行われた不許可処分は、重視すべきでない考慮要素を重視するなど、考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮していない事は、社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたもので裁量権を逸脱したものである(最判平成18年2月7日)。
問25 過去問>令和元年>問26
肢オ
市立学校教諭が同一市内の他の中学校教諭に転任される処分を受けた場合において、当該処分が客観的、事実的見地からみて勤務場所、勤務内容等に不利益を伴うものであるとしても、当該教諭には転任処分の取消しを求める訴えの利益が認められる余地はない。
問題肢イ
公立中学校教員を同一市内の他の中学校に転任させる処分は、仮にそれが被処分者の法律上の地位に何ら不利益な変更を及ぼすものではないとしても、その名誉につき重大な損害が生じるおそれがある場合は、そのことを理由に当該処分の取消しを求める法律上の利益が認められる。
解説肢イ
原判決のいう名誉の侵害は、事実上の不利益ではあるが、転任処分による直接的なものではないとされた。

本件転任処分は、A中教諭として勤務していた被上告人らを同一市内の他の中学校数諭(*判決原文ママ)に補する旨配置換えを命じたものにすぎず、被上告人らの身分、俸給等に異動を生ぜしめるものでないことはもとより、客観的また実際的見地からみても、被上告人らの勤務場所、勤務内容等においてなんらの不利益を伴うものでないことは、原判決の判示するとおりであると認められる。
したがって、他に特段の事情の認められない本件においては、被上告人らについて本件転任処分の取消しを求める法律上の利益を肯認することはできないものといわなければならない(最判昭和61年10月23日)。

民法

令和6年本試験 合格道場掲載
問27 練習問題>民法>相続>1-14
肢1
不在者の生死が7年間明らかでない場合において、利害関係人の請求により家庭裁判所が失踪の宣告をしたときは、失踪の宣告を受けた者は、7年間の期間が満了した時に、死亡したものとみなされる。
問題肢イ
Aの遺言が存在した場合に、その遺言の効力は、Aの生死が不明になった時から10年の期間が満了した時からその効力を生ずる。
解説肢イ
Aの遺言の効力は、Aの生死が不明になった時から7年の期間が満了した時からその効力を生ずる。
不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができるが(民法30条1項)、この場合、失踪の宣告を受けた者は、7年の期間が満了した時に、死亡したものとみなされる(民法31条)。
また、遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる(民法985条)。
問27 練習問題>民法>総則>3-13
肢2
失踪の宣告を受けた者が実際には生存しており、不法行為により身体的被害を受けていたとしても、失踪の宣告が取り消されなければ、損害賠償請求権は発生しない。
解説肢2
生存することの証明がなされ失踪の宣告が取り消されたとしても、失踪宣告後その取消前になされた失踪宣告を受けた者の行為の効力には、原則として影響を与えず、その効力は存続する。
失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされるが(民法31条)、この効果は、失踪宣告された土地や従来の住所において有していた法律関係を終了させるだけで、失踪宣告を受けた者の権利能力や行為能力を奪うものではない。
問27 練習問題>記述式>民法Ⅰ>14
肢4
失踪の宣告によって失踪者の財産を得た者は、失踪の宣告が取り消されたときは、その受けた利益の全部を返還しなければならない。
解説
民法32条2項
失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。
失踪の宣告の取消しにおける善意者の返還義務は現存利益の範囲にとどまり・・・
問27 練習問題>民法>総則>3-13
肢5
失踪の宣告によって失踪者の所有する甲土地を相続した者が、甲土地を第三者に売却した後に、失踪者の生存が判明し、この者の失踪の宣告が取り消された。この場合において、相続人が失踪者の生存について善意であったときは、第三者が悪意であっても、甲土地の売買契約による所有権移転の効果に影響しない。
解説肢2
生存することの証明がなされ失踪の宣告が取り消されたとしても、失踪宣告後その取消前になされた失踪宣告を受けた者の行為の効力には、原則として影響を与えず、その効力は存続する。
失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされるが(民法31条)、この効果は、失踪宣告された土地や従来の住所において有していた法律関係を終了させるだけで、失踪宣告を受けた者の権利能力や行為能力を奪うものではない。
なお、失踪宣告に基づいてその取消前になされた法律関係については(例えば、相続人が相続した土地を第三者に売却)、行為者双方が善意の場合(大判昭和13年2月7日)、その効力に影響を与えない(民法32条1項)。
問28 練習問題>民法>総則>4-14
肢2
売買契約が無効であるにもかからわらず、既に当事者双方の債務の履行が完了している場合、売主は受け取った金銭を善意で費消していたとしても、その全額を返還しなければならない。
解説肢3
詐欺により取消された行為は、初めから無効であったものとみなされ、無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う(民法121条、民法121条の2第1項)。
問28 練習問題>民法>総則>3-13
肢4
未成年者が親権者の同意を得ずに締結した契約について、未成年者本人が、制限行為能力を理由としてこれを取り消す場合、親権者の同意を得る必要はない。
問題肢エ
未成年者Aが、法定代理人Bの同意を得ないでした売買契約について、Aが行為能力の制限を理由として当該売買契約を取り消す場合は、Bの同意を要しない。
解説肢エ
未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができるが、この取消権は法定代理人だけではなく、未成年者本人も有する(民法5条2項、民法120条1項)。
したがって、未成年者が取り消す場合に法定代理人の同意は不要である。
問28 練習問題>民法>総則>3-8
肢5
取り消すことができる契約につき、取消権を有する当事者が、追認をすることができる時以後に、異議をとどめずにその履行を請求した場合、これにより同人は取消権を失う。
問題肢5
未成年者Aがその法定代理人Bの同意を得ずにした買主Cとの売買契約について、法定代理人Bが買主Cに対し売買代金を請求したときは、当該契約を追認したものとみなされる。
解説肢5
法定代理人が代金を請求することは、履行の請求にあたり、法定追認とみなされる(民法125条2号)。
問29 単元テスト>民法2>問4
肢1
遺産分割が終了していないにもかかわらず、甲につきBが虚偽の登記申請に基づいて単独所有名義で相続登記手続を行った上で、これをDに売却して所有権移転登記手続が行われた場合、Cは、Dに対して、Cの法定相続分に基づく持分権を登記なくして主張することができる。
問題肢3
AとBが土地を共同相続した場合において、遺産分割前にAがその土地を自己の単独所有であるとしてA単独名義で登記し、Cに譲渡して所有権移転登記したとき、Bは、登記なしにCに対して自己の相続分を主張できない。
解説肢3
共同相続した不動産について、その一人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに第三取得者が移転登記をうけた場合、各共同相続人には共有持分を超えた権利はないため、他の共同相続人は、自己の持分については、登記なくして第三取得者に対抗できる(最判昭和38年2月22日)。
したがって、Bは、登記なしにCに対して自己の相続分を主張できる。
問29 一問一答>民法>相続36
肢2
遺産分割により甲をCが単独で相続することとなったが、Cが相続登記手続をしないうちに、Bが甲に関する自己の法定相続分に基づく持分権につき相続登記手続を行った上で、これをEに売却して持分権移転登記手続が行われた場合、Cは、Eに対して、Eの持分権が自己に帰属する旨を主張することができない。
解説
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分及び代襲相続人の相続分により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない(民法899条の2第1項)。
問29 練習問題>民法>物権>2-7
肢3
Aが甲をCに遺贈していたが、Cが所有権移転登記手続をしないうちに、Bが甲に関する自己の法定相続分に基づく持分権につき相続登記手続きを行った上で、これをFに売却して持分権移転登記手続が行われた場合、Cは、Fに対して、Fの持分権が自己に帰属する旨を主張することができない。
問題肢1
Aの所有する甲地につきAがBに対して遺贈する旨の遺言をして死亡した後、Aの唯一の相続人Cの債権者DがCを代位してC名義の所有権取得登記を行い、甲地を差し押さえた場合に、Bは、Dに対して登記をしていなければ遺贈による所有権の取得を対抗できない。
解説肢1
遺贈による物権変動は、第三者に対抗するのに登記を要する。
民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもって対抗要件としているところから見れば、遺贈をもってその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもって物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」(最判昭和39年3月6日)
問29 練習問題>民法>物権>2-5
肢4
Bが相続を放棄したため、甲はCが単独で相続することとなったが、Cが相続登記手続をしないうちに、Bの債権者であるGが甲に関するBの法定相続分に基づく持分権につき差押えを申し立てた場合、Cは、当該差押えの無効を主張することができない。
問題肢5
共同相続人の一人Aが相続を放棄し、他の共同相続人Bが特定の相続不動産の所有権を単独で承継したが、Bが当該不動産の登記を備えないうちに、Aが相続を放棄しなければ得たであろうAの持分に対し、Aの債権者Cが仮差押えをし、登記を備えた。この場合、Bは、当該不動産の所有権をCに対抗できない。
解説肢5
Aの相続放棄は有効であり、Bは当該不動産の所有権を登記なくしてCに対抗できる。
相続の放棄をした相続人は相続開始時に遡って相続関係がなかったのと同じ地位におかれることとなり、これは絶対的効力で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を主張できるとされている(最判昭和42年1月20日)
問29 一問一答>民法>相続36
肢5
Aが「甲をCに相続させる」旨の特定財産承継遺言を行っていたが、Cが相続登記手続をしないうちに、Bが甲に関するBの法定相続分に基づく持分権につき相続登記手続を行った上で、これをHに売却して持分権移転登記手続が行われた場合、民法の規定によれば、Cは、Hに対して、Hの持分権が自己に帰属する旨を主張することができない。
解説
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分及び代襲相続人の相続分により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない(民法899条の2第1項)。
問30 練習問題>民法>物権>13-2
肢2
Bの抵当権が実行された場合において、買受人Dは、Cに対して、直ちに所有権に基づく妨害排除請求として甲の明渡しを求めることができる。
問題肢1
Aは甲建物を抵当権の実行による競売により買い受けたが、甲建物には、抵当権設定後に従前の所有者より賃借したBが居住している。AはBに対し、相当の期間を定めて甲建物の賃料1ヵ月分以上の支払いを催告したが、期間経過後もBが賃料を支払わない場合には、Aは買受け後6ヵ月を経過していなくても、Bに対して建物の明け渡しを求めることができる。
解説肢1
抵当権者に対抗することができない競売手続の開始前からの賃借人は、その建物の競売における買受人の買受けの時から6ヵ月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない(民法395条1項1号)。
ただし、当該規定は買受人の買受けの時より後にその建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその1ヵ月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用されない(民法395条2項)。
問30 練習問題>民法>物権>13-10
肢3
AがCに対して有する賃料債権をEに譲渡し、その旨の債権譲渡通知が内容証明郵便によって行われた後、Bが抵当権に基づく物上代位権の行使として当該賃料債権に対して差押えを行った場合、当該賃料債権につきCがいまだEに弁済していないときは、Cは、Bの賃料支払請求を拒むことができない。
問題肢1
Bが、BのCに対する将来にわたる賃料債権を第三者に譲渡し、対抗要件を備えた後は、Cが当該第三者に弁済する前であっても、Aは、物上代位権を行使して当該賃料債権を差し押さえることはできない。
解説肢1
賃料(法定果実)に物上代位することは弁済する前に、差押をすれば可能である(民法372条、民法304条、最判平成元年10月27日)。
また、抵当権設定者のもつ賃料債権が第三者に譲渡された場合についても判例は「抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。」(最判平成10年1月30日)としている。
問30 過去問>令和3年>問29
肢4
Cのための賃借権の設定においてBの抵当権の実行を妨害する目的が認められ、Cの占有により甲の交換価値の実現が妨げられてBの優先弁済権の行使が困難となるような状態がある場合、Aにおいて抵当権に対する侵害が生じないように甲を適切に維持管理することが期待できるときであっても、Bは、Cに対して、抵当権に基づく妨害排除請求として甲の直接自己への明渡しを求めることができる。
問題肢4
抵当権設定登記後に設定者が抵当不動産を他人に賃貸した場合において、その賃借権の設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、賃借人の占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、賃借人に対して、抵当権に基づく妨害排除請求をすることができる。
解説肢4
抵当不動産の所有者から占有権原の設定を受けてこれを占有する者であっても、抵当権設定登記後に占有権原の設定を受けたものであり、その設定に抵当権の実行としての競売手続を妨害する目的が認められ、その占有により抵当不動産の交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、当該占有者に対し、抵当権に基づく妨害排除請求として、上記状態の排除を求めることができる(最判平成17年3月10日)。」
問30 単元テスト>民法3>問5
肢5
CがAの承諾を得て甲をFに転貸借した場合、Bは、特段の事情がない限り、CがFに対して有する転貸賃料債権につき、物上代位権を行使することができる。
問題肢1
抵当権者には抵当不動産の賃料債権について物上代位が認められ、また賃借人が転貸借している場合は、その転貸賃料債権についても原則として物上代位が認められる。
解説肢1
抵当権者が賃料(法定果実)について物上代位することは、弁済する前に差押をすれば可能である(民法372条、民法304条、最判平成元年10月27日)。
他方、転貸賃料債権に物上代位することは、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除いてすることができない(最決平成12年4月14日)。
その理由として、所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからとされる。
問31 練習問題>民法>債権Ⅱ>14-2
肢1
AがBに対し保証人を立てる義務を負う場合において、BがCを指名したときは、Cが弁済をする資力を有しなくなったときでも、Bは、Aに対し、Cに代えて資力を有する保証人を立てることを請求することはできない。
問題肢5
Cが保証人となったのはAがCを保証人として指名したためであった場合、Cが破産しても、Aは、Bに対して保証人の変更を求めることはできない。
解説肢5
債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、弁済する資力を有する行為能力者でなければならず(民法450条)、弁済前に保証人の要件を欠くに至ったときは、債務者に対し要件を具備する保証人に代えるよう請求することができる(民法450条2項)。
しかし、債権者が保証人を指名したときは、弁済前に保証人の要件を欠いても、保証人の変更を求めることはできない(民法450条3項)。
問31 練習問題>民法>債権Ⅱ>13-4
肢2
AがBに対し保証人を立てる義務を負う場合において、BがCを指名するときは、Cは、行為能力者でなければならない。
解説肢3
債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、弁済する資力を有する行為能力者でなければならず(民法450条)、弁済前に保証人の要件を欠くに至ったときは、債権者は、保証人を代える請求をすることができる(民法450条2項)。
しかし、この規定は債権者が保証人を指名した場合には、適用されない(民法450条3項)。
問31 練習問題>民法>債権Ⅱ>12-2
肢3
BのAに対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予および更新は、Cに対しても、その効力を生ずる。
問題肢3
債権者が主たる債務者に対してした履行の請求その他の事由による時効の更新は、保証人にも及ぶ。
解説肢3
主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる(民法457条1項)。
問31 練習問題>民法>債権Ⅱ>13-4
肢4
Cの保証債務は、Aの債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
問題肢5
Cの保証債務は、Bが債務を履行しない場合にAに対して負う損害賠償にまでは及ばない。
解説肢5
保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する(民法447条)。
これは、連帯保証の場合でも同様である。
問31 練習問題>民法>債権Ⅱ>12-3
肢5
Cは、その保証債務についてのみ、違約金または損害賠償の額を約定することができる。
問題肢4
Cは、Aの債務額の一部についてのみを保証することはできるが、その保証債務についてのみ違約金又は損害賠償の額をBと約定することはできない。
解説肢4
保証人の負担を主たる債務より重くすることはできないが(民法448条)、一部についてのみの保証をするなど軽い分には問題ないため、Cは、Aの債務額の一部についてのみを保証することはできる。
また、保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる(民法447条2項)。
問32 一問一答>民法>債権Ⅳ271
肢1
Bが、B自身を売主、Cを買主として本件契約を締結した場合であっても、契約は原則として有効であり、Bは、Aから甲の所有権を取得してCに移転する義務を負うが、本件契約成立の当初からAには甲を他に譲渡する意思のないことが明確であり、甲の所有権をCに移転することができない場合には、本件契約は実現不能な契約として無効である。
建物の売買契約において、その建物が第三者の所有の場合、当該第三者に譲渡の意思がないときは、契約は無効となる。
解説
全部他人物の売買において売主がその権利の全部を移転しないときは、権利義務について無履行であり、債務不履行の一般規定を適用して対応することになる。また、目的物の所有者となる第三者が当初から目的物を譲渡する意思がなくても、契約は無効にならず、売主は担保責任を負う(最判昭和25年10月26日)。
よって、契約は無効とはならず、買主は売主に対して契約の解除及び損害賠償を請求することができる。
問32 練習問題>民法>債権Ⅱ>5-2
肢3
Bが、B自身をAの代理人と偽って、Aを売主、Cを買主とする本件契約を締結し、Cに対して甲を現実に引き渡した場合、Cは即時取得により甲の所有権を取得する。
問題肢2
Aが、Bから依頼を受けたBの代理人であると偽って絵画をCに売却し、現実の引渡しをした場合には、Cは、Aが所有者Bの代理人であると信じ、かつ、そう信じるにつき過失がなければ、即時取得によりCはこの絵画の所有権を取得する。
解説肢2
Cは表見代理によって保護されることはあっても、即時取得によって、絵画を取得することはできない。
即時取得が認められる要件の一つとして、前主は無権利者でなければならないが、ここにいう無権利者には、無権代理人は含まれないため、即時取得の適用はうけないことになる。
なぜなら、Cは表見代理によって保護される余地があり、表見代理が成立するかどうかの観点から判断しなければ、表見代理や無権代理に関する規定の存在意義がなくなってしまうからである。
同様に制限行為能力、錯誤、詐欺、強迫、の理由で無効又は取消された場合においても、これらの規定から判断するべきものであるから、即時取得の適用はうけないとされている。
問32 練習問題>民法>債権Ⅱ>5-5
肢4
Bが、B自身をAの代理人と偽って、Aを売主、Cを買主として本件契約を締結した場合、Bに本契約の代理権がないことを知らなかったが、そのことについて過失があるCは、本件契約が無効となった場合であっても、Bに対して履行または損害賠償の請求をすることができない。
問題肢4
他人の代理人として契約をなした者が、その代理権を証明することができず、かつ、本人の追認も得られない場合には、原則として履行又は損害賠償の責に任ずる。
解説肢4
無権代理行為について、無権代理人は、自己の代理権を証明したとき、又は、本人の追認を得たときを除き、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う(民法117条1項)。
ただし、相手方が無権代理について悪意または、有過失の場合(他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときを除く)、無権代理人が制限行為能力者の場合は適用しない(民法117条2項、3項)。
問33 一問一答>民法>債権Ⅳ>問282
肢1
組合の業務の決定は、組合契約の定めるところにより、一人または数人の組合員に委任することができるが、第三者に委任することはできない。
解説
まず、組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる(民法670条2項)。委任を受けた者(業務執行者)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する(民法670条3項)。
原則として、委任を受けたDが契約解除などの業務を決定執行し、業務執行者でない組合員には、決定権や執行権はない。もっとも、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない(民法670条4項)。
以上のことから、ABC全員の同意があれば、業務執行者に委任をしていても、契約を解除することができる。
問33 一問一答>民法>債権Ⅳ>問282
肢2
組合の業務の執行は、組合契約の定めるところにより、一人または数人の組合員に委任することができるが、第三者に委任することはできない。
解説
まず、組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる(民法670条2項)。委任を受けた者(業務執行者)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する(民法670条3項)。
原則として、委任を受けたDが契約解除などの業務を決定執行し、業務執行者でない組合員には、決定権や執行権はない。もっとも、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない(民法670条4項)。
以上のことから、ABC全員の同意があれば、業務執行者に委任をしていても、契約を解除することができる。
問33 練習問題>民法>債権Ⅱ>24α-1
肢3
各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属し、各組合員は、いつでも組合財産の分割を請求することができる。
問題肢5
組合員は、組合員の過半数の同意がある場合には、清算前に組合財産の分割を求めることができる。
解説肢5
組合員は、清算前に組合財産の分割を求めることができない(民法676条3項)。
組合財産は組合の目的を遂行するための経済的手段につき、自由に分割請求を認めてしまうと組合の目的遂行の支障になってしまうからである。
問33 練習問題>民法>債権Ⅱ>24α-1
肢4
組合契約で組合の存続期間を定めた場合であるか、これを定めなかった場合であるかを問わず、各組合員は、いつでも脱退することができる。
問題肢3
組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。
解説肢ウ
組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる(民法678条2項)。
なお、判例は「民法678条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。
けだし、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は、組合員の自由を著しく制限するものであり、公の秩序に反するものというべきだからである」(最判平成11年2月23日)とし、同条は、強行法規とし、任意脱退を許さない旨を定めた合意は無効である
問34 過去問>平成26年>問34
肢1
不法行為による生命侵害の場合において、被害者の相続人であれば、常に近親者固有の慰謝料請求権が認められる。
問題肢2
他人の不法行為により夫が死亡した場合には、その妻は、相続によって夫本人の慰謝料請求権を行使できるので、妻には固有の慰謝料請求権は認められていない。
解説肢2
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない(民法711条)。
つまり配偶者固有の慰謝料請求権が認められている。
また、被害者の配偶者が相続によって被害者本人の慰謝料請求権を行使できる場合に配偶者固有の慰謝料請求権が認められなくなるとする判例は見受けられない。
問35 一問一答>民法>相続36
肢2
被相続人が、相続財産中の特定の銀行預金を共同相続人中の特定の1人に相続させる旨の遺言をしていた場合、当該預金債権の価額が当該相続人の法定相続分の価額を超えるときには、当該預金債権の承継に関する債権譲渡の対抗要件を備えなければ、当該預金債権の承継を第三者に対抗できない。
解説
相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分及び代襲相続人の相続分により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない(民法899条の2第1項)。
法定相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、権利を取得した第三者に対し、法定相続分を超える部分について、自己の権利を主張することができない。
問35 一問一答>民法>相続39
肢3
共同相続人の1人が、相続開始後遺産分割の前に、被相続人が自宅に保管していた現金を自己のために費消した場合であっても、遺産分割の対象となる財産は、遺産分割時に現存する相続財産のみである。
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その過半数の同意により、処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
解説
遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる(民法906条の2第1項)。
相続開始後、遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合、当該財産を考慮せず残された財産を遺産として分割してしまうと、処分をした相続人が得をしてしまい不公平が生じるから、これを防ぐためである。
問35 練習問題>民法>相続>1-15
肢4
共同相続人は、原則としていつでも協議によって遺産の全部または一部の分割をすることができ、協議が調わないときは、家庭裁判所に調停または審判の申立てをすることができるが、相続開始から10年以上放置されていた遺産の分割については、家庭裁判所に対して調停または審判の申立てを行うことができない。
問題肢5
Aの死亡の時から5年以内にB、C、D、Eの協議により遺産分割がなされない場合には、B、C、D、Eは、全員で家庭裁判所に対し遺産分割を申し立てなければならない。
解説肢5
「死亡の時より5年以内」としている点、「共同相続人全員で」としている点が誤り。
共同相続人は、原則としていつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる(民法907条1項)。
そして、遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる(民法907条2項本文)。
問35 一問一答>民法>相続41
肢5
相続財産中に銀行預金が含まれる場合、当該預金は遺産分割の対象となるから、相続開始後遺産分割の前に、当該預金口座から預金の一部を引き出すためには共同相続人の全員の同意が必要であり、目的、金額のいかんを問わず相続人の1人が単独で行うことは許されない。
相続された預貯金債権について、遺産の分割前に生活費や葬儀費用の支払い、相続債務の弁済などに充てられるよう、相続開始時の債権額の3分の1に法定相続分と共同相続人の相続分を乗じた額を限度として、単独で払い戻しを受けることができる。
解説
各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の1/3に900条(法定相続分)及び901条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす(民法909条の2)。
例えば、遺産に属する預貯金債権が60万円あり、共同相続人が2人の場合、60万円×1/3×1/2で算出される10万円を上限に、遺産分割前に払い戻しを受けることができる。

商法-会社法

令和6年本試験 合格道場掲載
問37 過去問>令和5年>問38
肢ア
株主総会における議決権の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を生じない。
問題肢5
株式会社は、株主総会の決議事項の全部について議決権を有しないことを内容とする種類株式を発行することができる。
解説肢5
この種類の株式を無議決権株式という(会社法108条1項3号)。
経営にあまり関心がない株主や、法令によって議決権を持つことが制限されている株主に対するニーズがあり、このような種類株式の株主に対しては配当や残余財産の配当で優先される場合がある。
問37 練習問題>商法>会社法Ⅱ>1-12
肢イ
株式会社は、自己株式については、議決権を有しない。
問題肢3
株式会社が、自己の株式を所有していたとしても、その株式について、株主総会における議決権は有さない。
解説肢3
会社は、その有する自己の株式については、議決権を有しない(会社法308条)。
自己株式の取得については一定の制限があり、また、議決権は有さず、剰余金の配当を受けることも認められていない(会社法308条2項、会社法453条)。
問37 練習問題>商法>会社法Ⅱ>2-10
肢ウ
取締役候補者である株主は、自らの取締役選任決議について特別の利害関係を有する者として議決に加わることができない。
問題肢1
取締役会決議は、本来、議決に加わることができる取締役であっても、特別の利害関係を有する場合は、議決に加わることができない。
解説肢1
取締役会の決議について、特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない(会社法369条2項)。
なお、混同しやすい点として、株主総会等の決議については、特別の利害関係を有する者も議決権の行使は認められており、議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたときはその決議を取消し得るにすぎない(会社法831条1項3号)。
問37 練習問題>商法>会社法Ⅱ>1-3
肢エ
監査役を選任し、または解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
問題肢3
監査役の解任
解説肢3
3.特別決議。
会社法309条2項7号。

会社法テキスト1参照
問37 練習問題>商法>会社法Ⅱ>2-6
肢オ
役員等がその任務を怠ったために株式会社に生じた損害を賠償する責任を負うこととなった場合に、当該責任を免除するには、議決権のない株主を含めた総株主の同意がなければならない。
問題肢4
取締役がその任務を怠ったために、株式会社に対し、損害を与えた場合には、会社に対して損害の賠償をしなければならないが、株主総会における特別決議によって、当該責任の全部を免除することができる。
解説肢4
役員等は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(会社法423条1項)。また、この責任は、総株主の同意がなければ、その全部についてを免除することはできない(会社法424条)。
なお、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、賠償の責任を負う額から受け取る対価を基準にした一定の算出額を限度として、株主総会の特別決議によって免除することができる(会社法425条1項)。
問38 練習問題>商法>会社法Ⅱ>2-16
肢5
監査等委員である取締役を除く取締役の個人別の報酬等の内容が定款または株主総会の決議により定められている場合を除き、当該取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を取締役会で決定しなければならない。
問題肢5
取締役の報酬の額は、全取締役の総額を定款又は株主総会で定めている場合は、個々の取締役の報酬額については、取締役会で定める事ができる。
解説肢5
取締役の報酬等については、定款又は株主総会で定めることになっているが(会社法361条)、個々の取締役の報酬額については、取締役会で定める事ができる(最判昭和60年3月26日)。
なお、監査役会設置会社(公開会社、かつ、大会社であるものに限る)であって、有価証券報告書の提出義務がある株式会社又は監査等委員会設置会社の株式会社の取締役会は、定款又は株主総会の決議により取締役(監査等委員である取締役を除く)の個人別報酬等の定めがあるが内容が具体的に定められていない場合には、その内容についての決定に関する方針を決定することが義務付けられている(会社法361条7項)。
問39 練習問題>商法>会社法Ⅲ>3-1
肢4
株式交換完全親会社の反対株主は、当該株式交換完全親会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することはできない。
問題肢3
合併決議前に反対の意思表示をした株主は、合併承認決議が成立した場合、実際に合併承認決議で反対していなくとも、株式買取請求権を行使することができる。
解説肢3
吸収合併等をするために株主総会の決議を要する場合、当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅(存続)株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主は当該消滅(存続)株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる(会社法785条1項・2項1号イ、会社法797条1項・2項1号イ)。
問39 総合テスト>VOL3>問40
肢5
株式交換契約新株予約権が付された、株式交換完全子会社の新株予約権付社債の社債権者は、当該株式交換完全子会社に対し、株式交換について異議を述べることはできない。
解説肢3
株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることであり(会社法2条31号)、両会社は、それによって完全親子会社関係となる。この場合、当事会社の株主は変動するが、財産関係は変動しないため、債権者一般に異議を述べる権利は認められておらず、例外的に新株予約権付社債における社債権者などに認められているに過ぎない(会社法789条1項3号、799条1項3号、810条1項3号)。
問40 練習問題>商法>会社法Ⅱ>1-6
肢1
株主総会の決議の内容が法令に違反するときは、当該株主総会決議の日から3ヵ月以内に、訴えをもってのみ当該決議の取消しを請求することができる。
問題肢3
株主総会等の決議の内容が法令に違反するとき
解説肢3 株主総会等の決議について、決議の内容が法令に違反することを理由とするのは、株主総会等の決議の無効確認の訴えである(会社法830条2項)。
問40 練習問題>商法>会社法Ⅰ>2-3
肢2
会社の設立無効は、会社の成立の日から2年以内に、訴えをもってのみ主張できる。
問題肢1
会社設立の無効の訴えには、出訴期間の制限はなく、無効となる瑕疵が存在すれば、いつでも訴えることができる。
解説肢1
民法など、一般法の「無効」の原則に従えば、最初から効力をもたない以上、いつでも訴えをできることになるが(例えば行政事件訴訟法の無効確認訴訟など)、会社法では会社の設立の無効の訴えは、会社の成立の日から2年以内にしかできないとしている(会社法828条1項1号)。
仮に会社の設立についても一般法の「無効」の原則に従いつまでも設立の無効を認めた場合、長期間に渡って積み上げた会社実績までも無効になってしまい、不都合が生じるからである。
問40 練習問題>商法>会社法Ⅲ>3-1
肢3
新株発行無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされた行為は、将来に向かってその効力を失う。
解説肢5
会社の合併の無効は、会社の合併の効力が生じた日から6ヵ月以内に合併無効の訴えをもってのみ主張することができる(会社法828条1項7号・8号)。
また、提起できるものは当該行為の効力が生じた日において吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者である(会社法828条2項7号・8号)。
そして、合併無効の判決が確定した場合には、将来に向かってその合併は無効となる(会社法839条)。
問40 練習問題>商法>会社法Ⅰ>4-2
肢4
6ヵ月前から引き続き株式を有する株主は、公開会社に対し、役員等の責任を追及する訴えの提起を請求することができる。
問題肢5
株式会社に対し、取締役の責任を追及する訴えの提起を請求することができるのは、6ヵ月前から引き続き株式を有する株主である。
解説肢5
6ヵ月前から引き続き株式を有する株主は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等若しくは清算人の責任を追及する訴え・・・の提起を請求することができる(会社法847条1項)。
これは少数株主権ではなく、単独株主権である。
非公開会社においては「6ヵ月」の保有要件は不要であることから(会社法847条2項参照)、本肢は誤りであると判断した方もいるであろう。
しかし、会社法においては株式譲渡は「原則として自由」であり、断りがないなら、原則どおり

多肢選択式

令和6年本試験 合格道場掲載
問42 過去問>平成26年>問20
土地収用法は、土地収用の手続および補償について定めるが、補償の要否および範囲をめぐって訴訟が提起されることがある。同法88条は、他の条文で規定する損失に加えて、その他土地を収用し、または使用することによって発生する土地所有者または関係人の「[ イ ]損失」を補償する旨定めているが、この規定をめぐって、いわゆる輪中堤の文化財的価値が損失補償の対象となるか否かが争われた事案がある。 問題肢4
土地収用に伴う土地所有者に対する補償は、その土地の市場価格に相当する額に限られ、移転に伴う営業利益の損失などは、補償の対象とされることはない。
解説肢4
土地収用法88条は、「土地の収用に対する補償のほか、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することによって土地所有者又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。」旨を規定している。
問43 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>6-4
本件各確認の訴えは、上告人が、個々の国会議員が臨時会召集要求に係る権利を有するという憲法53条後段の解釈を前提に、[ ア ]に関する確認の訴えとして、上告人を含む参議院議員が同条後段の規定により上記権利を行使した場合に被上告人が上告人に対して負う法的義務または上告人が被上告人との間で有する法律上の地位の確認を求める訴えであると解されるから、 解説
行政事件訴訟法4条
当事者訴訟とは、「当事者間の法律関係を確認し又は形成する処分又は裁決に関する訴訟で法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」(形式的当事者訴訟)及び「公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟」(実質的当事者訴訟)をいう。
■当事者訴訟の具体例
実質的当事者訴訟 公務員の地位確認、公務員の俸給請求、国籍確認、公営住宅に関する訴訟など
問43 練習問題>憲法>地方自治法>4
当事者間の具体的な権利義務または法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決することができるものであるということができる。
そうすると、本件各確認の訴えは、[ イ ]にあたるというべきであり、これと異なる原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるといわざるを得ない。
問題肢ア
出席停止の懲罰を科された議員がその取消しを求める訴えは、法令の規定に基づく処分の取消しを求めるものであって、その性質上、法令の適用によって終局的に解決し得るものというべきであるとし、法律上の争訟になるとした。
解説肢ア
判例は「普通地方公共団体の議会は、地方自治法並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる(地方自治法134条1項)ところ、懲罰の種類及び手続は法定されている(地方自治法135条)。 これらの規定等に照らすと、出席停止の懲罰を科された議員がその取消しを求める訴えは、法令の規定に基づく処分の取消しを求めるものであって、その性質上、法令の適用によって終局的に解決し得るものというべきである」(最大判令和2年11月25日)とし、法律上の争訟にあたると判断している。

記述式

令和6年本試験 合格道場掲載
問44 練習問題>行政法>行政事件訴訟法>2-26
総務大臣Yは、新たなテレビ放送局の開設を目的として、電波法に基づく無線局開設免許を1社のみに付与することを表明した。これを受けて、テレビ放送局を開設しようとする会社XがYに開設免許の申請をしたところ、Yは、その他の競願者の申請を含めて審査を実施し、会社Aに対しては免許を付与する処分(免許処分)をし、Xに対しては申請を棄却する処分(拒否処分)をした。
これに対し、Xは取消訴訟を提起して裁判上の救済を求めたいと考えている。競願関係をめぐる最高裁判所の判例の考え方に照らし、Xは誰を被告として、どのような処分に対する取消訴訟を提起できるか。なお、現行の電波法は、審査請求前置や裁決主義の規定を置いているが、それらは度外視して、直接に処分取消訴訟ができるものとして考え、40字程度で記述しなさい。
問題肢1
B社へのテレビ免許を付与する処分において、同一周波をめぐって競願関係にあるA社が、B社への免許を付与する処分の取消しを求める取消訴訟。
解説肢1
甲および乙が競願関係(申請等の競合関係)にある場合において、甲の免許申請が拒否され、乙に免許が付与されたときは、甲は、乙に対する免許処分の取消訴訟を提起することができるほか、自己に対する拒否処分のみの取消訴訟を提起することができる」(最判昭和43年12月24日)
問45 練習問題>民法>物権>11-14
Aは、海外からコーヒー豆を輸入して国内の卸売業者に販売する事業を営んでいる。Aは、卸売業者Bにコーヒー豆1トン(以下「甲」という)を販売し、甲は、B所有の倉庫内に第三者に転売されることなくそのまま保管されている。Aは、Bに対し、甲の売買代金について、その支払期限経過後、支払って欲しい旨を伝えたが、Bは、経営不振を理由に、いまだAに支払っていない。BにはA以外にも一般債権者がいる。この場合に、Aは、甲についていかなる権利に基づき、どのような形で売買代金を確保することができるか。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。 解説肢ア
Bから売買代金の支払いを受けていないとしても、甲は既にBからCに引き渡されているため、Aは先取特権を行使することはできない。
動産の売買の先取特権は、動産の代価及びその利息に関し、その動産について存在する(民法321条)。
Bから甲(動産)の売買代金の支払いを受けていないときは、甲につき先取特権を行使できそうであるが、先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない(民法333条)。
問46 練習問題>民法>債権>18-1
Aは、Bとの間で、BがCから購入した甲土地(以下「甲」という)を買い受ける契約を締結し、Bに対して代金全額を支払ったが、甲の登記名義はいまだCのままである。BC間の売買において、CがBへの移転登記を拒む理由は存在せず、また、BがCに対して移転登記手続をすべきことを請求している事実もない。一方、Aは、早期に甲の所有権取得の対抗要件として登記を具備したい。
このような場合、Aは、何のために、誰の誰に対するいかなる権利を、どのように行使できるか。40字程度で記述しなさい。
問題肢3
土地がAからB、BからCへと譲渡された場合において、登記がいまだAにあるときは、Cは、BのAに対する登記請求権を代位行使することができる。
解説肢3
登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産を譲り受けた者は、その譲渡人が第三者に対して有する登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を行使しないときは、その権利を行使することができる。この場合においては、前三条の規定を準用する(民法423条の7)。
しかし、AからCへ直接所有権移転登記をすることは、中間省略登記を認めてしまうことになるため認められていない。
なお、特定債権の代位権行使の場合は債務者が無資力というのは要件とならない。

基礎知識

令和6年本試験 合格道場掲載
問47 練習問題>基礎知識>一般知識>1-27
肢1
政党助成法は、衆議院または参議院に一定数以上の議席を有するか、議席を有して一定の国政選挙で有効投票総数の一定割合以上の得票があった政党に対して、政党交付金による助成を行う旨を規定している。
問題肢2
政党交付金は、所属する国会議員が5人以上、または直近の国政選挙の得票率2%以上があれば法人格を取得していない政党にも交付される。
解説肢2
政党交付金の交付の対象となる政党は、次のいずれかに該当するものとされている。
国会議員5人以上を有する政治団体
国会議員を有し、かつ、前回の衆議院議員総選挙の小選挙区選挙若しくは比例代表選挙又は前回若しくは前々回の参議院議員通常選挙の選挙区選挙若しくは比例代表選挙で得票率が2%以上の政治団体
ただし、法人格を取得していない政党には交付されない。
なお、政党交付金は、受給資格のある政党のうち、日本共産党を除く政党が受給している。
問49 一問一答>一般知識等>経済102
肢2
1949 年に 1 ドル= 360 円の単一為替レートが設定されたが、ニクソンショックを受けて、1971 年には 1 ドル= 308 円に変更された。
戦後1ドルを360円に固定されていた円相場は、ニクソンショックをきっかけに変動相場に移った。
解説
ニクソンショックとは、1971年にアメリカのニクソン大統領が金とアメリカドルの交換停止を含む一連の経済政策を電撃的に発表した出来事である。
それまでの世界経済はアメリカドルを基軸とする金本位制の固定相場制で、日本円も1ドル360円に固定されていた。しかしベトナム戦争による軍事費拡大などが原因でアメリカ財政が悪化し金が国外へ流出、ドルとの交換ができなくなったことから金とアメリカドルの兌換停止宣言が発表され、これ以降日本を含め世界経済は変動相場制となった。
問50 練習問題>憲法>法の下の平等>6
肢ウ
徴税など、いわゆる公権力の行使にあたる業務を含め、外国籍の者も全国の全ての自治体で公務員として就労することができる。
問題肢5
法の下の平等は、すべての人間の平等を保障する趣旨であり、基本的人権の保障については、外国人も日本人と同様に取り扱われる。
解説肢5
外国人の基本的人権の保障について、・・・
なお、選挙権の保障、入国の自由以外で外国人に関して、憲法14条1項について、示された重要判例としては以下がある。
普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で、日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは、合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり、上記の措置は、労働基準法3条にも、憲法14条1項にも違反するものではない」(外国人管理職選考拒否事件:最大判平成17年1月26日)・・・
問52 練習問題>基礎知識>行政書士法>2-1
肢1
行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない。
問題肢1
行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を提示しなければならない。
解説肢1
行政書士は、その事務所の見やすい場所に、その業務に関し受ける報酬の額を掲示しなければならない(行政書士法10条の2第1項)。
問52 練習問題>基礎知識>行政書士法>12-3
肢3
国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して 2 年以上になる者は、行政書士となる資格を有する。
問題肢オ
国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間がこれを通算して20年以上の者は、行政書士となる資格を有する。
解説肢オ
国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間・行政執行法人または特定地方独立行政法人の役員または職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(学校教育法による高等学校を卒業した者などは17年以上)になる者は行政書士となる資格を有する(行政書士法2条6号)。
問52 練習問題>基礎知識>行政書士法>10-2
肢4
破産手続開始の決定を受けた場合、復権をした後においても行政書士となる資格を有しない。
解説肢2
行政書士の欠格事由(行政書士法2条の2)
①未成年者
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
問52 練習問題>基礎知識>行政書士法>10-2
肢5
地方公務員が懲戒免職の処分を受けた場合、無期限に行政書士となる資格を有しない。
解説肢2
行政書士の欠格事由(行政書士法2条の2)
①未成年者
②破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
③禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者
公務員(行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員を含む)で懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から3年を経過しない者
問53 総合テスト>VOL4>問53
肢5
世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
解説
住民票の記載事項(住民基本台帳法7条)
1号*氏名
2号*出生の年月日
3号*男女の別
4号*世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名・世帯主との続柄
・・・
問56 練習問題>基礎知識>一般知識等>1-33
肢1
デジタル庁は、総務省に置かれている。
問題肢エ
内閣府にデジタル庁が置かれている。
解説肢エ
内閣府に置かれたという点が誤り。
デジタル庁は、2021年に成立したデジタル改革関連法に基づき、内閣の直下に発足した。
デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指すとしている。
問56 練習問題>基礎知識>一般知識等>1-29
肢4
デジタル庁は、官民データ活用推進基本計画の作成及び推進に関する事務を行っている。
解説肢ウ
デジタル庁は、総務省の下ではなく内閣に、平成13年(2001年)の省庁再編時ではなく令和3年(2021年)に設置された。
令和3年(2021年)9月1日に施行されたデジタル庁設置法(令和3年法律第36号)によると、内閣に、デジタル庁を置く(デジタル庁設置法2条)と規定されている。
デジタル庁のサイトによると、デジタル庁とは、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを目指し、徹底的な国民目線でのサービス創出やデータ資源の利活用、社会全体のDXの推進を通じ、全ての国民にデジタル化の恩恵が行き渡る社会を実現すべく、取組を進めるとされている
また、内閣総理大臣を助け、デジタル庁の事務を統括するデジタル大臣を置き、デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針に関する企画立案・総合調整の事務を円滑に遂行するため、関係行政機関の長に対する勧告権が規定されている。
問56 練習問題>基礎知識>一般知識等>3-32
肢5
デジタル庁の所掌事務には、マイナンバーとマイナンバーカードに関する事務は含まれていない。
解説肢1
マイナンバー制度を所管しているのは内閣府ではなくデジタル庁である
2015年10月から、マイナンバーが国民に付与されることになったが、2021年9月よりデジタル庁の発足にともないマイナンバー制度はデジタル庁が所管することとなった。
問57 練習問題>基礎知識>個人情報保護法>17
肢1
個人情報取扱事業者は、個人データの漏えい等が発生し、個人の権利利益を害するおそれが大きい場合には、個人情報保護委員会への報告を行わなければならない。
問題肢2
個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データが漏えい、滅失、毀損した場合は必ず、その旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。
解説肢2
個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損その他の個人データの安全の確保に係る事態であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない(個人情報保護法26条1項本文)。
個人情報保護法は、個人データの安全確保に係る事態が生じた全ての場合を報告対象とはしておらず、個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めた一定の類型に該当する場合に報告を義務付けている。
問57 練習問題>基礎知識>個人情報保護法>17
肢2
個人情報取扱事業者は、違法または不当な行為を助長し、または誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
問題肢1
個人情報取扱事業者は、個人情報保護法に違反しない利用方法であっても、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発されるおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
解説肢1
個人情報取扱事業者は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない(個人情報保護法19条)。
問57 練習問題>基礎知識>個人情報保護法>10
肢3
個人情報取扱事業者は、個人データの第三者提供をした場合には、原則として、当該個人データを提供した年月日、当該第三者の氏名または名称その他の個人情報保護委員会規則で定める事項を記録しければならない。
問題肢オ
開示請求対象となる保有個人データについて次のア~カの記述のうち、妥当なものの組合せはどれか。
個人データを第三者に提供を行う際の記録
解説肢オ
当該本人が識別される個人データに係る29条1項及び30条3項の記録(その存否が明らかになることにより公益その他の利益が害されるものとして政令で定めるものを除く。37条2項において「第三者提供記録」という。)について準用する(個人情報保護法33条5項)。
問57 練習問題>基礎知識>個人情報保護法>6
肢4
学術研究機関が学術研究目的で個人情報を取り扱う場合には、個人情報取扱事業者の義務に関する規定は適用されない。
解説肢3
金融分野については、個人情報保護法は適用される(個人情報保護法57条)。
個人情報取扱事業者等及び個人関連情報取扱事業者のうち次に掲げる者については、その個人情報等及び個人関連情報を取り扱う目的の全部又は一部がそれぞれ規定する目的であるときは適用しない(個人情報保護法57条1項)。
①放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む。) 報道の用に供する目的
②著述を業として行う者 著述の用に供する目的
③宗教団体 宗教活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
④政治団体 政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的
なお、2021年の改正により、「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者、学術研究の用に供する目的」が削除され、個人情報保護法が適用されることとなった。
ただし、学術研究分野の適用除外について一律の適用除外ではなく、義務ごとの例外規定として精緻化されている。”
問57 練習問題>基礎知識>個人情報保護法>1
肢5
国の行政機関や地方公共団体の機関にも、個人情報保護法の規定は適用される。
問題肢3
個人情報保護法は、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定めているが、国及び地方公共団体の責務等も明らかにしている。
解説肢3
個人情報保護法1条でその旨が規定されている。
その具体的な規定として4条で国の責務について「国は、この法律の趣旨にのっとり、国の機関、地方公共団体の機関、独立行政法人及び事業者等による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を総合的に策定し、及びこれを実施する責務を有する。」としており、5条で地方公共団体の責務について「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、国の施策との整合性に配慮しつつ、その地方公共団体の区域の特性に応じて、地方公共団体の機関、地方独立行政法人及び当該区域内の事業者等による個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。」としている。

※合格道場の問題番号・タイトル・内容は2024年11月時のものです。
修正等により変更されている場合があります。