「1回」で覚えられるわけがない
行政書士試験の勉強を始めたら、覚えることばかりで驚くはずです。民法・行政法に始まり一般知識まで、ありとあらゆることを覚えなければいけません。
この「暗記の大会」ともいえる行政書士試験の勉強している受験生から、このような言葉が聞こえてきます。
- 勉強したのに、まったく覚えられない
- 勉強したはずなのに、すぐに忘れてしまう
このような悩みを持っている方に申し上げましょう。覚えられないとお悩みのほとんどの方は、まずもって「反復」が足りません。
勉強は何度も何度も繰り返して覚えていくものです。たったの一度や二度テキストに目を通しただけで覚えられるのなら、資格スクールや予備校などは世の中には存在しないはずです。
「効率的な暗記法」を駆使して様々な試験に合格できた私だって、何度も繰り返し勉強して覚えました。忘れたら思い出すために復習し、また忘れたら復習をしました。何度も何度も情報に触れているうちに記憶が強化され、ついには忘れない記憶になるのです。
この連載では、効率的な暗記法を伝授しますが、勘違いしないで欲しいことがあります。それは「効率的な暗記法」だけでは覚えられないということ。効率的な暗記法を使って、何度も繰り返し勉強することが大切です。反復学習が勉強の王道だと思ってください。
「3回」で覚えられないなら「5回」
あなたが気になるのは、どのくらい繰り返せばいいのかということのはずです。
端的に言えば、覚えられるまで繰り返す必要があります。3回で覚えられるのならば3回、覚えるのに5回の反復が必要であれば5回、そして10回勉強しなければ頭に入らないのであれば10回、このくらいの学習が必要なのです。
ところで「覚える」とは、どの程度の水準をいうのでしょうか。定義を明らかにしなければ、話は前に進みません。
ここでいう「覚える」とは、短時間で消えてしまう短期記憶の状態ではなくて、時間の間隔があいても思い出せる長期記憶の状態を意味します。長期記憶の水準に到達したら、試験会場でも知識として使い物になるためです。
問題は、反復の仕方です。ただやみくもに繰り返していては、時間との兼ね合いから、5回も10回も教材には取り組めないためです。
反復学習を効率的にする「サンドイッチ学習」
ここでオススメしたいのは、反復学習を効率的にこなすための「サンドイッチ学習」です。これは、繰り返し勉強するべき情報には何度も接し、そうではない情報は復習頻度を減らす勉強法です。
以下の手順で勉強しましょう。
- 問題を解く上で、できる問題にはマル、できない問題にはバツをつける
- 復習の際は、バツのものだけ復習し、できたらマルにする
- 再度の復習では、全部を復習し、またマルとバツをつける
- これ以後は、2と3の繰り返し
このように勉強することで、触れなければいけない知識にはたくさん触れることができて、そうではない知識は最低限の復習で済ますことができます。
上記のなかで注目して欲しいのは、「3」です。よく見かけるのは、できる問題は復習しなくなる人ですが、それはいただけません。できるからといって、その問題は未来永劫できるわけではありません。人間は忘れる生き物なので、できる問題も忘れない程度に触れておかなければいけないのです。
反復学習を徹底して、合格を目指しましょう!
碓井 孝介
- 碓井 孝介(うすい こうすけ)
-
札幌出身、『司法書士平成事務所』代表。元大手資格スクール講師。勉強法、相続等の書籍出版なども手掛ける。個人サイトは『平成相続相談室』。
著書:試験は暗記が9割(朝日新聞出版)