「もう90日もない」としっかり認識すべき
夏休みが明けると、行政書士試験の受験生にとっては正真正銘の「直前期」に突入します。平成29年度の試験日は11月12日であり、もう90日もありません。
直前期の勉強が合格に直結する……。これについては異論ないはずです。これからのおよそ90日間、どこまで一所懸命勉強できるかが、あなたの来年を変えることになります。
ここで一つ大事なことを明らかにしましょう。それは「本試験まで、あと〇〇日しかない」としっかり認識することです。タイムリミットを明確にして、自分自身を本試験モードに駆り立てるのです。
残りの日数で、合格のためにしたい勉強を明らかに
「あと〇〇日しかない」としっかり認識した後は、残りの日数でしたい勉強を確認しましょう。
- 過去問をあと〇回はこなしたい。
- 資格スクールで〇回は模試を受けたい。
- 市販の教材で、取り組みたい教材がある。
このように、残りの日数でこなしていきたい勉強を明確にしていくのです。ここは多めにピックアップしてください。実際にできるかどうかではなく、今の自分自身の学力を合格水準に引き上げるために必要な学習量を見積り、何を勉強するべきなのかを考えて取り組みたい勉強量を推し量るのです。
できる勉強、できない勉強を選別
直前期はとにもかくにも時間がない時期ですから、勉強対象は意図的に絞っていかなければいけません。
勉強の守備範囲をひろげにひろげ、何でもかんでも手を出していると、ほとんどの知識があやふやになってしまいます。過去問も、合格道場の練習問題も、市販の教材も……、となってしまうと、どれもが中途半端な知識で終わってしまうのです。
中途半端な知識であれば、試験会場で使い物になりません。試験の出題者は作問する際に、中途半端にしか勉強していない受験生をふるい落とすために、最後の2肢までは絞りこめるように問題をつくります。しっかりした知識を持っている受験生なら2肢のうちから正解肢を選択できますが、中途半端な知識しかない受験生は、ここで見事にひっかかり、失点を重ねてあえなく不合格。結局、1000のあやふやな知識よりも、100のしっかりした知識の方が得点には結びつくのです。
あなたの知識が1000のあやふやな知識にならないようにするために、勉強対象を明確にして、絞り込んでいきましょう。やらないことをはっきりさせるのです。たとえば市販の教材まで手がまわらないことが目に見えているのなら、はじめから手をつけないことにします。
絞り込む基準は「合計でその教材に3回取り組めるか」を目安にすることをおすすめします。これまでの勉強とこれからの勉強であわせて3回こなすことができる教材であれば、今後も手をつけてもよいでしょう。逆に1回しか触れることができないものであれば、その教材から入手する知識は「あやふやな知識」になることが目に見えているといえます。
勉強の量を増やす努力を
合格のために勉強したいことを明らかにして、そのなかで「3回はできる」を基準に勉強対象を絞っていく際に、気が付くことがあります。合格のために勉強したいことはたくさんあるのに、実際に勉強できることはさほどない、ということです。あるいは「3回はできる」という基準で絞り込んだ結果、とても合格に近づけない学習量になってしまうということ。
このように気付いた方は、勉強の絶対量が足らないと認識してください。行政書士試験は決して簡単な試験ではないため、いくら効率的に勉強したとしても、勉強の絶対量が足りなければ合格することはできません。
勉強の量を確保するために、生活を見直し、「3回はできる」という勉強対象を増やす努力をしましょう。ここからの数十日で、あなたのこれからは変わります。
碓井 孝介
- 碓井 孝介(うすい こうすけ)
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札幌出身、『司法書士平成事務所』代表。元大手資格スクール講師。勉強法、相続等の書籍出版なども手掛ける。個人サイトは『平成相続相談室』。
著書:試験は暗記が9割(朝日新聞出版)