繰り返せば繰り返すほど覚えられる

勉強のコツは、とにもかくにも反復することであり、繰り返せば繰り返した分だけ記憶は定着していきます。逆にいえば、反復学習なくして成績の上昇はない!これは断言できることです。

問題は、いかに効率的に繰り返すか――。これが多くの受験生を悩ませる、永遠のテーマだといえます。

ここでは、「即反復」という学習方法をお伝えしましょう。反復学習といえば、ほとんどの場合は適度に間隔をおき、頭に記憶を刷り込んでいく作業をいいますが、いま勉強したことを「いま」繰り返す方法があり、ぜひとも知って欲しいと思います。

授業の「間」を利用

まずは授業などを受けることがあれば、その「間」を活用してください。

授業には、「間」があります。説明している先生だって人間なのですから、授業時間ずっと喋りっぱなしということはないでしょう。話がひと段落したら一呼吸置くでしょうし、ページをめくるときに数秒の間隔だって生じるはずです。これらのちょっとした時間が、授業の「間」です。

この授業の「間」を、ぼーっと過ごしていては休憩しているのと一緒であり勉強時間とはいえません。脳ミソを働かせて、記憶を強化するのが勉強なのですから、そのちょっとした時間も脳ミソを働かせてください。

授業の「間」に、いま勉強した内容を頭のなかで反すうしましょう。「善意無過失なら時効は10年」という内容を先生が説明していたのであれば、「善意無過失なら10年、善意無過失なら10年……」というように、頭のなかで何度も何度も唱えるのです。

問題演習をしていても「即反復」は可能

問題演習をしているときだって「間」は必ずあります。

いま解いている問題が解き終わったら、次の問題に移りますが、その一瞬の時間が、問題演習の「間」です。次の問題にうつるときにページをめくるでしょうが、これも「間」です。

この「間」においても、なるべく頭を働かせる努力をします。頭を働かせて、問題演習中に触れた知識をもう一度思い起こします。間違えたときは特に、頭のなかで何度か間違えてしまった情報を反すうしてから、次の問題にうつるのです。

合格道場で勉強しているときも、同様の工夫をしてください。次の問題に向かう前に一度立ち止まり、いま勉強したことはどのような知識だったのか、頭のなかで整理してから次に進むようにしましょう。

あくまで「触れること」が目的

即反復をしていれば、自ずと繰り返す回数が増え、記憶は定着していくものです。

この「即反復」の学習において、注意点があります。

即反復の目的は、知識に触れる回数を増やすことであって、その場で確実に覚えることではありません。知識に触れる回数が増えていけば、自然と覚えることが可能ですから、ここで目くじら立てて覚えようとしてはいけないのです。

だからこそ即反復は、時間をかけずに行いましょう。授業であれば先生が強調していたこと、問題演習であれば正解になった知識のキーワード、これらだけを反すうする、と決めてしまっても構いません。頭のなかで今勉強していることに時間をかけすぎると、次の単元に進むことができなくなってしまいます。あくまで「触れる回数が増えればいい」程度に考えて、普段の勉強に取り入れていただきたいと思います。

碓井 孝介(うすい こうすけ)
札幌出身、『司法書士平成事務所』代表。元大手資格スクール講師。勉強法、相続等の書籍出版なども手掛ける。個人サイトは『平成相続相談室』
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