地方自治法改正の理由
地方公共団体等における適正な事務処理等の確保並びに組織及び運営の合理化を図るため、地方制度調査会の答申にのっとり、地方公共団体の財務に関する事務等の適正な管理及び執行を確保するための方針の策定等、監査の充実強化、地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し等を行うことを理由に改正された。
改正の多くは2020年4月1日に施行されるが、以下に取り上げている条文については2018年4月1日に施行されており、本年度の試験範囲に該当されることから受験生は注意願いたい。
監査体制の見直し
- 地方自治法第196条
- 監査委員は、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者(議員である者を除く。以下この款において「識見を有する者」という。)及び議員のうちから、これを選任する。ただし、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができる。
- 条例を制定することで、議員の中から監査委員を選任しないことができるようになった。(第196条1項但書)
- 地方自治法第200条の2
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監査委員に常設又は臨時の監査専門委員を置くことができる。
2 監査専門委員は、専門の学識経験を有する者の中から、代表監査委員が、代表監査委員以外の監査委員の意見を聴いて、これを選任する。
3 監査専門委員は、監査委員の委託を受け、その権限に属する事務に関し必要な事項を調査する。
4 監査専門委員は、非常勤とする。
- 監査委員に常設又は臨時の監査専門委員を置くことができるようになった。(第200条の2第1項)
- 監査専門委員を選任するとき、専門の学識経験を有する者の中から、代表監査委員が、代表監査委員以外の監査委員の意見を聴いて、選任すること。(第200条の2第2項)
- 監査専門委員は、監査委員の委託を受けて、その権限に属する事務に関して必要な事項を調査すること。(第200条の2第3項)
- 監査専門委員は、非常勤であること。(第200条の2第4項)
決算不認定の場合における地方公共団体の長から議会への報告規定の整備
- 地方自治法第233条第7項
- 普通地方公共団体の長は、第3項(普通地方公共団体の長は、監査委員の審査に付した決算を監査委員の意見を付けて次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付さなければならない。)の規定による決算の認定に関する議案が否決された場合において、当該議決を踏まえて必要と認める措置を講じたときは、速やかに、当該措置の内容を議会に報告するとともに、これを公表しなければならない。
- 普通地方公共団体の長は、決算の認定に関する議案が否決された場合は、当該不認定を踏まえて必要と認める措置を講じたときは、その内容を議会に報告及び公表しなければならない。(第233条7項)
条例により包括外部監査を実施する地方公共団体の実施頻度の緩和
- 地方自治法第252条の36第2項
- 前項第二号(政令で定める市)に掲げる市以外の市又は町村で、契約に基づく監査を受けることを条例により定めたものの長は、同項の政令で定めるところにより、条例で定める会計年度において、当該会計年度に係る包括外部監査契約を、速やかに、一の者と締結しなければならない。この場合においては、あらかじめ監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
- 政令指定都市以外の市町村で、契約に基づく監査を受けることを条例で定めた市町村長は、条例で定める会計年度において、包括外部監査契約を速やかに、知識のある者と締結しなければならない。この場合、事前に監査委員の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。(第252条の36第2項)
参照:総務省ホームページ