榊原 直人さん(2024年合格)

行政書士を目指した理由は?

私は数年前に国内大手IT企業を退職しました。サラリーマン時代に財務会計システムのコンサルタントであった経験を活かし、創業や成長を目指す企業のお手伝いをすることを念頭として士業を志しました。そして、中小企業診断士の資格を取得した後に、診断士の先輩から、補助金申請で行政書士と競合することがある、と聞かされたことが行政書士を知るきっかけとなりました。コロナの影響で制度を利用した代理申請が多く寄せられたため、審査が厳しくなり、士業間での補助金申請業務の奪い合いの状況になったことが背景にあるようです。中小企業の場合、コンサルティング(相談)は診断士、申請は行政書士に任せるという資金的余裕がある企業は少ないです。そこでワンストップで業務を請け負えるビジネスモデルを考え、診断士だけではなく、行政書士も取得しようと思いました。
合格した瞬間どのように感じましたか?

診断士取得にかかった時間を合わせると、勉強期間は3年越えとなっていたこともあり、合格を知った時は長い苦労がやっと実った充実感に満たされました。しかし、知り合いに診断士として開業を成し遂げている者もいたため、早く追い付きたいという焦りも湧いてきました。自分で決めた目標を資格取得という基準で一つずつクリアしてきたという達成感がある一方で、今後どのようにビジネスに結び付けていくか、不安や迷いも多々あります。
数ある講座の中で、合格道場を選んだ決め手は何ですか?
当初はネットでのうわさを信じて肢別だけを高速回転すれば、半年程度で行政書士の取得は可能なのではないかと気楽に考えていました。診断士の他に宅建士も持っていたので借地借家法や商法等で初学者の方と比較すれば、受験生としてむしろ優位だと高を括ってさえいました。ところが実際勉強してみると、行政法や債権は想像以上にボリュームも多くしかも難解で、1年目は実際、択一問題で過去問を解いても毎回半分も得点できませんでした。がっかりし、受験自体をやめようか、と思っていた時に、偶然見た宮城彩奈先生のYouTubeで「合格道場」を知ったのでした。
診断士取得後に半年あると思っていた勉強期間はあっという間に過ぎ去り、精神的・時間的な余裕もないことも原因ですが、それまで私は肢別を回すことで、問題を理解することをせず、正解を暗記するような勉強方法をしていたことに気が付きました。道場で五肢択一を解いて初めて、正答肢がなぜ正答肢なのか、誤答肢がなぜ誤答肢なのかを判断できるようになり、またそもそもこの問題は一体受験者に何を問いたいのかという作問者の意図を探ることもできるようになりました。これは本当に道場のおかげだと言って過言はないです。こう書くと私が肢別を否定しているように聞こえると思いますが、決してそういう訳ではありません。効率的に記憶するにはむしろ肢別は最適なツールです。そして、年度によってはそれだけでも180点を取ることは可能だとも思います。事実私自身も不合格だった1年目は170点台でした。しかし、基礎力を付け、問題の正答率を上げるには五肢択一の方が効果的であると確信しています。
【道場の特徴】
① なんといっても解答解説が丁寧な点です。肢別問題集などではページ数の都合もあり、解答解説に不十分さを感じるところがありましたが、道場では平易な言葉で書かれている問題解説が多く、問題の趣旨を把握することに役立ちました。
② テーマ別に過去問を並べているため、前の問題では正答肢として使われていた事項が次の問題では誤答肢として使われていたりするために、二つの問題を比べてどの様に正答肢、誤答肢又は引掛け肢を作るのか、作問者の意図を想像できるようになりました。これが出来るようになったと感じた時に自分でも成長した実感が湧いてきました。
③ これがテーマ別五肢択一の醍醐味でもあるのですが、同じテーマが2、3問続いた後、パタッと出題されなくなり、次の章でまた出てくるという感じです。例えば、制限行為能力で未成年の問題が続いた後、物権が終わった後にまた債権で「相手が未成年だったら」と忘れたころに選択肢の一つとして現れると冷や水を浴びせられたようにドキッとします。そして再度制限行為能力に戻って確認することで、自分の知識の穴を埋めることができたということを度々経験いたしました。
合格道場をどのように利用されましたか?
PCでもケータイでもタブレットでも見られるというのは、本当にありがたいです。問題を解く以外にも、何かにつけて辞書代わりに参照していました。2度目の受験に際しては、肢別の解答解説が良く解らないときにも、道場の解説を見て初めて解ったという経験も多々ありました。要するに解答に関するセカンド・オピニオンとして利用させていただきました。
合格道場が提供するサービスの中で特によかったものはなんですか?

大きく2つのメリットがあります。
① 自分の解答の記録を残せるところです。特に間違った問題だけを繰り返しやりたいとき(すなわち勉強の中盤)に効果がありました。肢別では問題の正誤はExcelで表を作って管理しなければなりませんでしたが、その手間が大幅に削減されました。


② 自分はノートを作る派なのですが、AmazonのKindleでの市販本や予備校の教科書などは不正複製防止のためにテキストの各ページはグラフィックで作成されておりコピー&ペーストはできません。ところが、道場の解説はテキストですので、簡単にコピーができます(※運営注:個人利用の範囲内で可能)。条文検索用の「E-Government」という公のサービスも、同じくテキストですので、それまで自分でタイピングしていた重要な解説や条文をコピー&ペーストでパワーポイントに貼り付け、そこに自分自身のコメントを加えていくことで、かなり詳しいオリジナルノートを簡単に作成することができました。私はそのパワーポイントを直前期には繰り返しスライドショーにして見ていましたが、記憶定着には大いに役立ちました。
今後の予定について
① 行政書士の受験動機である補助金申請のサポート業務を行いたいと思っています。申請は行政書士の独占業務のようですが、事業計画は診断士として作成するつもりです。診断士の中にはマーケティングやICTを専門にされ、財務諸表やキャッシュフローを苦手とされる方もいらっしゃいます。自分は、サラリーマン時代の経験と米国公認会計士取得時の知識を活かし、その分野に取り組むことで、クライアントのワンストップ化と自分自身の差別化を図りたいと思っています。
② 米国公認会計士となるために習得した語学力と、行政書士としてのライセンスを活かして外国人の入管業務をサポートしてみたいと思っています。
これから受験される人にアドバイスをお願いします

① 人間ですから誰にでも得手不得手はあります。行政書士でも、中小企業診断士でも、受験に際しては「自分の能力」を活かせる資格を選ぶことが重要になると思いますので、まずは自分の能力を精査することが何かの試験に合格するための近道だと思います。これについては別表1をご参照ください。
② 行政書士は簡単に取得できる資格ではありませんが、診断士と補助金申請で競合していることからしても取るだけで絶対安泰な資格でもないと思います。ご自分の現在の仕事との相乗効果が期待できるかどうかをもう一度検討して、受験に際しては覚悟を決めて臨んだ方が良いと自分自身の反省も込めて申し上げます。
その他、質問以外でお話いただけることがあれば
行政書士の勉強期間が1000時間と言われます。私が今まで取得した他の資格と合格のために必要となる能力を比較してみました。宅建士からのレベルアップで受験される方も多いと思いますので、こちらも記載しました。参考にしていただければ幸いです。
(別表1)行政書士を基準に5点満点で評価。米国公認会計士の記述式のボリュームは行政書士と同等ですが、英語である点を考慮して文章力を評価致しました。
行政書士 | 中小企業診断士 | 米国公認会計士 | 宅地建物取引士 | ||
---|---|---|---|---|---|
勉強総時間 | 約1000時間 | 約1000時間 | 約1000時間 | 約600時間 | |
必要となる能力 | 暗記力 | 5 | 4 | 4 | 3 |
計算力 | 3 | 4 | 5 | 2 | |
読解力 | 5 | 5 | 5 | 3 | |
文章力 | 4 | 5 | 5 | 1 | |
応用力 | 4 | 5 | 4 | 2 | |
合計 | 21 | 23 | 23 | 11 |
行政書士 | 中小企業 診断士 |
米国公認 会計士 |
宅地建物 取引士 |
|
---|---|---|---|---|
勉強 総時間 |
約1000 時間 |
約1000 時間 |
約1000 時間 |
約600 時間 |
暗記力 | 5 | 4 | 4 | 3 |
計算力 | 3 | 4 | 5 | 2 |
読解力 | 5 | 5 | 5 | 3 |
文章力 | 4 | 5 | 5 | 1 |
応用力 | 4 | 5 | 4 | 2 |
合計 | 21 | 23 | 23 | 11 |
各種能力については一度に向上させるのは大変ですが、今回は計算力が必要な資格に挑戦し、次回は暗記が必要な資格に挑戦するというように区切っていけば、何とか合格レベルに達することができると思われます。(体験談です)