平成28年-問40 商法 会社法
Lv3
問題 更新:2024-01-07 12:37:17
合名会社および合資会社(以下、本問において併せて「会社」という。)に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。なお、定款には別段の定めがないものとする。
ア.会社は、定款に資本金の額を記載し、これを登記する。
イ.会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。
ウ.会社の持分は、社員たる地位を細分化したものであり、均一化された割合的単位で示される。
エ.会社の社員は、会社に対し、既に出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。
オ.会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。
- ア・ウ
- ア・オ
- イ・ウ
- ウ・エ
- エ・オ
正解 1
解説
会社は、定款に資本金の額を記載し、これを登記する。 ア.誤り。
合名会社及び合資会社で資本金の額を登記するとしている本肢は誤り。
合名会社及び合資会社では、資本金の額は登記事項ではない(会社法912条、会社法913条参照)。
なお、合同会社では資本金の額が登記されることには注意を要する(会社法914条参照)。
合同会社の登記事項は、株式会社のそれに類似しているため、会社法911条3項と会社法914条を比較するとよい。類似している理由は、両者とも社員の責任が有限責任であるという点で一致しているところによる。
会社がその財産をもってその債務を完済することができない場合、社員は、それぞれの責任の範囲で連帯して会社の債務を弁済する責任を負う。 イ.正しい。
社員は、当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う(会社法580条1項1号)。
また、有限責任社員は、その出資の価額を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う(会社法580条2項)。
会社法580条1項1号について、あくまで社員と法人は別人格者であり、会社債務については、法人(持分会社)が第一義的な責任を有する。
会社の持分は、社員たる地位を細分化したものであり、均一化された割合的単位で示される。 ウ.誤り。
社員たる地位を細分化したもので、均一化された割合的単位で示されるのは株式である。
会社の社員は、会社に対し、既に出資として払込みまたは給付した金銭等の払戻しを請求することができる。 エ.正しい。
合名会社及び合資会社の社員は、持分会社に対し、既に出資として払込又は給付をした金銭等の払戻し(出資の払戻し)を請求することができる(会社法624条1項)。
合名会社及び合資会社には無限責任社員がおり、債権者にとっては、会社内に財産があろうが、社員に財産があろうが、いずれも差はないからである。
なお、合同会社の出資の払い戻しについては会社法632条を参照のこと。
会社の社員は、会社の業務を執行し、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。 オ.正しい。
持分会社の社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する(会社法590条1項)。
「所有と経営が一致」しているのが持分会社である。
また、業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う(会社法593条1項)。