会員登録で大量のオリジナル練習問題、一問一答、各種テストなどが使えます。問題数3000超。「道場生受験体験記」は必見です!

  1. 過去問
  2. 年度別
  3. 平成29年
  4. 問30

平成29年-問30 民法 総則

Lv2

問題 更新:2023-01-30 16:15:15

Aは、甲不動産をその占有者Bから購入し引渡しを受けていたが、実は甲不動産はC所有の不動産であった。BおよびAの占有の態様および期間に関する次の場合のうち、民法の規定および判例に照らし、Aが、自己の占有、または自己の占有にBの占有を併せた占有を主張しても甲不動産を時効取得できないものはどれか。

  1. Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間
  2. Bが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間
  3. Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間
  4. Bが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間
  5. Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間
  解答&解説

正解 3

解説

民法162条

20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2項 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

民法187条

占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。

2項 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

Aが時効取得するためには、自己の占有で民法162条の要件を満たすか、あるいは自己の占有と前占有者であるBの占有をあわせて(つまり民法187条を用いて)民法162条の要件を満たすか、いずれかである必要がある。

なお、時効による取得をするためには占有期間以外にも「所有の意思」等の要件が必要であるが、本問ではそれは問われていないので割愛する。

Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で10年間 1.時効取得できる。

Aは自己の占有のみを主張することができる(民法187条1項)から、Aが占有開始の時に善意無過失であり、10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有すれば、甲不動産を時効取得できる(民法162条2項)。

Bが悪意で18年間、Aが善意無過失で2年間 2.時効取得できる。

Aは自己の占有のみならず、前占有者の占有をも併せて主張することができるが、その場合には前占有者の瑕疵をも承継してしまう(民法187条1項2項)。

Bが悪意なのであるから、甲不動産の時効取得のためにBの占有を併せて主張する場合は、20年間の占有が必要である(民法187条1項・2項、民法162条1項)。

AとBの占有を併せれば、ちょうど20年ある。

Bが悪意で5年間、Aが善意無過失で5年間 3.時効取得できない。

本肢の場面では、A自身の占有は5年しかなく、Bの占有と併せても10年しかない。

Aが自らの占有のみを主張して甲不動産を時効取得するためには、10年間の占有が必要である(民法187条1項、民法162条2項)。

Aが前占有者であるBの占有を併せて主張して甲不動産を時効取得するためには、20年間の占有が必要である(民法187条1項・2項、民法162条1項)。

Bが善意無過失で7年間、Aが悪意で3年間 4.時効取得できる。

Aは自己の占有のみならず、前占有者の占有をも併せて主張することができるが、その場合には前占有者の瑕疵をも承継する(民法187条1項・2項)。

問題になるのは、前占有者の占有が善意無過失によるものであった場合に、悪意であるAは「善意無過失」による占有を承継し、10年で時効取得が認められるのであろうか(民法162条2項参照)という点である。

条文は「前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する」とある。その瑕疵を「も」承継するのであるから、瑕疵がないのであれば「瑕疵がない」という占有を承継する。

Bが善意無過失で3年間その後悪意となり2年間、Aが善意無過失で3年間その後悪意となり3年間 5.時効取得できる。

Aは自己の占有のみならず、前占有者の占有をも併せて主張することができるが、その場合には、前占有者の瑕疵の有無を承継する(民法187条1項・2項、肢4解説参照)。

Bが占有開始時に善意無過失なのであるから、甲不動産の時効取得のためにBの占有を併せて主張する場合は、10年間の占有で足りる(民法187条1項・2項、民法162条2項参照)。
そしてAとBの占有の期間を併せれば11年である。

  1. 過去問
  2. 年度別
  3. 平成29年
  4. 問30

ページ上部へ