平成30年-問14 行政法 行政不服審査法
Lv3
問題 更新:2023-01-30 14:01:48
行政不服審査法の定める不作為についての審査請求に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。
- 不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。
- 不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。
- 不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。
- 不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。
正解 5
解説
不作為に対する審査請求に関する問題である。
不作為についての審査請求は、当該処分についての申請をした者だけではなく、当該処分がなされることにつき法律上の利益を有する者がなすことができる。 1.妥当でない。
「法律上の利益を有するものができる」としている本肢は妥当ではない。
法令に基づき行政庁に対して処分についての申請をした者は、当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず、行政庁の不作為がある場合には、当該不作為についての審査請求をすることができる(行政不服審査法3条)。
不作為についての審査請求は、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにも、なすことができる。 2.妥当でない。
不作為についての審査請求とは、行政庁が法令に基づく申請に対して当該申請から相当の期間が経過したにもかかわらず何らの処分をもしない場合にすることができる(行政不服審査法3条)。
そのため、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分がなされていないときにはすることができない。
不作為についての審査請求の審査請求期間は、申請がなされてから「相当の期間」が経過した時点から起算される。 3.妥当でない。
処分についての審査請求の場合、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月以内(正当な理由がある場合を除く)という審査請求期間が設けられている(行政不服審査法18条1項)。
しかし、不作為についての審査請求にはこのような審査請求期間の規定はなく、不作為状態が続く限り、審査請求をすることができる。
不作為についての審査請求の審理中に申請拒否処分がなされた場合については、当該審査請求は、拒否処分に対する審査請求とみなされる。 4.妥当でない。
行政不服審査法には、本肢のような規定は存在しない。
不作為についての審査請求がなされた場合においても、審査庁は、原則として、その審理のために、その職員のうちから審理員を指名しなければならない。 5.妥当である。
審査庁(審査請求がされた行政庁)は、同庁に所属する職員のうちから審理手続を行う者を指名するとともに、その旨を審査請求人及び処分庁等に通知しなければならない(行政不服審査法9条1項)。
この審査請求には、処分に対する審査請求だけでなく、不作為に対する審査請求も含まれる。