平成30年-問19 行政法 行政事件訴訟法
Lv3
問題 更新:2023-11-20 12:22:26
次の文章は、行政事件訴訟法の定める差止訴訟に関する最高裁判所判決の一節である。空欄[ A ]~[ D ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[ A ]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分された後に[ B ]等を提起して[ C ]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[ D ]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。また、上記騒音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを[ D ]受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う[ B ]等による救済になじまない性質のものということができる。
(最一小判平成28年12月8日民集70巻8号1833頁)
A. | ア 重大な損害 | イ 回復の困難な損害 |
---|---|---|
B. | ア 民事訴訟 | イ 取消訴訟 |
C. | ア 仮処分 | イ 執行停止 |
D. | ア 一時的にせよ | イ 反復継続的に |
A | B | C | D | |
1. | ア | ア | ア | ア |
---|---|---|---|---|
2. | ア | ア | イ | ア |
3. | ア | イ | イ | イ |
4. | イ | ア | ア | イ |
5. | イ | イ | イ | イ |
正解 3
解説
A:ア(重大な損害)、B:イ(取消訴訟)、C:イ(執行停止)、D:イ(反復継続的に)
空欄に補充した文章は次のとおり。
行政事件訴訟法37条の4第1項の差止めの訴えの訴訟要件である、処分がされることにより『[A:重大な損害]を生ずるおそれ』があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分された後に[B:取消訴訟]等を提起して[C:執行停止]の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要すると解するのが相当である。・・・(中略)・・・。
・・・第1審原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害及び精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を[D:反復継続的に]受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定し難い。また、上記騒音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生するものであり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを[D:反復継続的に]受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う[B:取消訴訟]等による救済になじまない性質のものということができる。
(最一小判平成28年12月8日民集70巻8号1833頁)