平成30年-問45 記述式 民法
Lv3
問題 更新:2019-08-03 15:05:39
画家Aは、BからAの絵画(以下「本件絵画」といい、評価額は500万円~600万円であるとする。)を購入したい旨の申込みがあったため、500万円で売却することにした。ところが、A・B間で同売買契約(本問では、「本件契約」とする。)を締結したときに、Bは、成年被後見人であったことが判明したため(成年後見人はCであり、その状況は現在も変わらない。)、Aは、本件契約が維持されるか否かについて懸念していたところ、Dから本件絵画を気に入っているため600万円ですぐにでも購入したい旨の申込みがあった。Aは、本件契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したいと思っている。Aが本件絵画をDに売却する前提として、Aは、誰に対し、1ヵ月以上の期間を定めてどのような催告をし、その期間内にどのような結果を得る必要があるか。なお、AおよびDは、制限行為能力者ではない。
「Aは、」に続け、下線部分につき40字程度で記述しなさい。記述に当たっては、「本件契約」を入れることとし、他方、「1ヵ月以上の期間を定めて」および「その期間内に」の記述は省略すること。
Aは、
正解例
例①
Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、追認拒絶の結果を得る。(40字)
例②
Cに対し、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、取消し又は追認拒絶の結果を得る。(45字)
解説
誰を相手方とするか | 4点 |
本件契約を追認するか否かを確答すべき旨の催告 | 8点 |
追認拒絶の結果を得る 取消し又は追認拒絶の結果を得る |
8点 |
- C以外の相手方を書いた場合は0点
[解説]
本問において、AはAB間の売買契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したい意思を持っている。したがってAは、誰に対し、どのような催告をし、どのような結果を得る必要があるか問われている。
AB間の売買契約では、Bが成年被後見人でCが成年後見人となっており、その状況は現在も変わらないとのことから、民法20条2項が適用される。条文は、「制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をした場合において、これらの者が期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす」としている。しかし、AはAB間の売買契約が維持されない場合には、本件絵画をDに売却したい意思を持っているため、追認を得るのではなく、売買契約の取消し又は追認拒絶の結果を得る必要がある。これらの要件をあてはめると、Aは成年後見人であるCに対して、1ヵ月以上の期間を定めて、本件契約を追認するか否か確答すべき旨の催告をし、取消し又は追認拒絶の結果を得る必要がある。