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令和2年-問2 基礎法学 裁判制度

Lv4

問題 更新:2023-01-28 11:02:13

簡易裁判所に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.簡易裁判所は、禁固刑および懲役刑を科すことができず、これらを科す必要を認めたときは、事件を地方裁判所へ移送しなければならない。

イ.簡易裁判所における一部の民事事件の訴訟代理業務は、法務大臣の認定を受けた司法書士および行政書士にも認められている。

ウ.簡易裁判所で行う民事訴訟では、訴えは口頭でも提起することができる。

エ.少額訴訟による審理および裁判には、同一人が同一の簡易裁判所において同一の年に一定の回数を超えて求めることができないとする制限がある。

オ.簡易裁判所判事は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。

  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・オ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ
  解答&解説

正解 4

解説

簡易裁判所は、禁固刑および懲役刑を科すことができず、これらを科す必要を認めたときは、事件を地方裁判所へ移送しなければならない。 ア.誤り

懲役刑を科すことはできるので、誤りとなる。

簡易裁判所は、禁錮以上の刑を科することができない。
ただし、刑法130条(住居侵入等)の罪若しくはその未遂罪、同法186条(常習賭博及び賭博場開張等図利)の罪、同法235条(窃盗)の罪若しくはその未遂罪、同法252条(横領)、254条(遺失物等横領)若しくは256条(盗品譲受け等)の罪、古物営業法31条から33条までの罪若しくは質屋営業法30条から32条までの罪に係る事件又はこれらの罪と他の罪とにつき刑法54条1項の規定によりこれらの罪の刑をもって処断すべき事件においては、3年以下の懲役を科することができる(裁判所法33条2項)。

簡易裁判所における一部の民事事件の訴訟代理業務は、法務大臣の認定を受けた司法書士および行政書士にも認められている。 イ.誤り

「行政書士にも認められている」という点が誤り。

簡裁訴訟代理等関係業務は、簡裁訴訟代理等関係業務について法務省令で定める法人が実施する研修であって法務大臣が指定するものの課程を修了し、かつ申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定した司法書士会の会員ができるが(司法書士法3条2項)、行政書士には認められていない。

簡易裁判所で行う民事訴訟では、訴えは口頭でも提起することができる。 ウ.正しい

簡易裁判所の訴訟手続に関する特則で、訴えは、口頭で提起することができると規定されている(民事訴訟法271条)。

少額訴訟による審理および裁判には、同一人が同一の簡易裁判所において同一の年に一定の回数を超えて求めることができないとする制限がある。 エ.正しい

少額訴訟に関する特則で、簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。
ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数(10回)を超えてこれを求めることができないと規定されている(民事訴訟法368条)。

簡易裁判所判事は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。 オ.誤り

「簡易裁判所判事」としている点が誤り。

金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる(民事訴訟法382条本文)。

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