令和2年-問12 行政法 行政手続法
Lv2
問題 更新:2023-01-28 11:23:41
行政手続法の規定する聴聞と弁明の機会の付与に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は代理人を選任することができる。
- 聴聞は許認可等の取消しの場合に行われる手続であり、弁明の機会の付与は許認可等の拒否処分の場合に行われる手続である。
- 聴聞が口頭で行われるのに対し、弁明の機会の付与の手続は、書面で行われるのが原則であるが、当事者から求めがあったときは、口頭により弁明する機会を与えなければならない。
- 聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当該処分について利害関係を有する者がこれに参加することは、認められていない。
- 聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は処分の原因に関するすべての文書を閲覧する権利を有する。
正解 1
解説
聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は代理人を選任することができる。 1.正しい
聴聞に関しては、「前条第1項の通知を受けた者は、代理人を選任することができる」(行政手続法16条1項)。
また、「第16条の規定は、弁明の機会の付与について準用」(行政手続法31条)されているため、聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合も、代理人を選任することができる。
聴聞は許認可等の取消しの場合に行われる手続であり、弁明の機会の付与は許認可等の拒否処分の場合に行われる手続である。 2.誤り
行政庁が不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならず、「当該各号」には「許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき」があげられている(行政手続法13条1項1号イ)。
しかし、「申請により求められた許認可等を拒否する処分」は不利益処分から除外されており(行政手続法2条4号ロ)、聴聞や弁明の機会の付与の義務はない。
聴聞が口頭で行われるのに対し、弁明の機会の付与の手続は、書面で行われるのが原則であるが、当事者から求めがあったときは、口頭により弁明する機会を与えなければならない。 3.誤り
弁明は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、弁明を記載した書面を提出してするものとされているため(行政手続法29条1項)、口頭での弁明の機会の付与は義務ではない。
聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当該処分について利害関係を有する者がこれに参加することは、認められていない。 4.誤り
聴聞を主宰する者は、必要があると認めるときは、当事者以外の者であって当該不利益処分の根拠となる法令に照らし当該不利益処分につき利害関係を有するものと認められる者に対し、当該聴聞に関する手続に参加することを求め、又は当該聴聞に関する手続に参加することを許可することができる(行政手続法17条1項)。
しかし、この規定は弁明の機会の付与には準用されていない。そのため、聴聞では利害関係を有する者の参加が認められるが、弁明の機会の付与では認められない。
聴聞、弁明の機会の付与のいずれの場合についても、当事者は処分の原因に関するすべての文書を閲覧する権利を有する。 5.誤り
当事者は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる(行政手続法18条1項)。
しかし、この規定は弁明の機会の付与には準用されておらず、処分の原因に関する文書を閲覧する権利がない。