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令和2年-問26 行政法 その他

Lv3

問題 更新:2023-01-28 11:48:52

自動車の運転免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。
  2. 道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。
  3. 運転免許証の「〇年○月○日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。
  4. 自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。
  5. 都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。
  解答&解説

正解 1

解説

自動車の運転免許の交付事務を担当する都道府県公安委員会は合議制の機関であることから、免許の交付の権限は都道府県公安委員会の委員長ではなく、都道府県公安委員会が有する。 1.正しい

道路交通法には、「自動車等を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許を受けなければならない」と規定されている(道路交通法84条1項)。

都道府県公安委員会は、自動車の運転免許の交付事務を担当する合議制の機関であるが、実際の交付事務は、警視庁及び各道府県警察本部交通部に委任されている。

道路交通法に違反した行為を理由として運転免許停止処分を受けた者が、その取消しを求めて取消訴訟を提起したところ、訴訟係属中に免許停止期間が終了した場合、当該違反行為を理由とする違反点数の効力が残っていたとしても、当該訴訟の訴えの利益は消滅する。 2.誤り

判例によれば、「免停の期間及び期間の経過により違反点数が消滅した場合は、道路交通法上の不利益を受ける恐れがなくなったことになり、取消の訴によって回復すべき法律上の利益はない」(最判昭和55年11月25日)としている。
しかし、免許停止期間が経過しても、違反点数が残っていることから再度処分を受けたときの加重要件となるため、訴えの利益を有するといえる。

運転免許証の「〇年○月○日まで有効」という記載は、行政行為に付される附款の一種で、行政法学上は「条件」と呼ばれるものである。 3.誤り

行政行為の付款理論でいうところの「期限」とは、行政行為の効果を将来の確実な事実にかからしめる意思表示をいう。
そして、自動車の運転免許証に記載されている日付は、ここにいう「期限」に該当する。

「条件」とは、法律行為の効力の発生・消滅を、将来の発生が不確定な事実にかからせる付款またはその事実である。条件が実現することを条件の成就という。

自動車の運転免許は、免許を受けた者に対し、公道上で自動車を運転できるという権利を付与するものであるから、行政法学上の「特許」に当たる。 4.誤り

自動車の運転免許は、「特許」には該当しない。

本来国民が有している権利(自由)について、一般的に禁止しておき、一定の技能や知識を有する特定の者等に対して解除するものは許可にあたる。

この点、車が最初に日本に入ってきた頃は(明治36年頃)、自由に運転できたが、交通の秩序の必要性から免許(許可)制にされたものであるから、自動車の運転免許は、行政行為の分類理論の「許可」に該当する。

なお、行政行為の分類理論において、「特許」とは、特定人のために、新たな権利を設定し、又は法律上の地位を付与する行為である。

都道府県公安委員会は国家公安委員会の地方支分部局に当たるため、内閣総理大臣は、閣議にかけた方針に基づき都道府県公安委員会の運転免許交付事務を指揮監督することができる。 5.誤り

都道府県公安委員会は、国家公安委員会の地方支分部局ではなく、警察法38条1項に規定された都道府県知事の所轄の下に置かれた機関であり、同条6項には、国家公安委員会及び他の都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならないとある。

また、国家公安委員会は、内閣総理大臣の所轄の下に置かれた機関であり(警察法4条1項)、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならないと定められている(警察法5条7項)。

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