令和3年-問45 記述式 民法
Lv3
問題 更新:2022-01-08 01:54:43
Aは、Bに対して100万円の売掛代金債権(以下「本件代金債権」といい、解答にあたっても、この語を用いて解答すること。)を有し、本件代金債権については、A・B間において、第三者への譲渡を禁止することが約されていた。しかし、Aは、緊急に資金が必要になったため、本件代金債権をCに譲渡し、Cから譲渡代金90万円を受領するとともに、同譲渡について、Bに通知し、同通知は、Bに到達した。そこで、Cは、Bに対して、本件代金債権の履行期後に本件代金債権の履行を請求した。Bが本件代金債権に係る債務の履行を拒むことができるのは、どのような場合か。民法の規定に照らし、40字程度で記述しなさい。
なお、BのAに対する弁済その他の本件代金債権に係る債務の消滅事由はなく、また、Bの本件代金債権に係る債務の供託はないものとする。
正解例 Cが、本件代金債権の譲渡制限の意思表示を知り、又は重大な過失により知らなかった場合。(42字)
解説
いわゆる譲渡禁止の特約に関する問題である。
原則として、債権者は自由に債権譲渡をすることができる(民法466条1項)ところ、「当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。」(民法466条2項)として、一定の制限について規定している。
AB間の代金債権は、第三者への譲渡を禁止する特約がされているが、AはCに当該債権を譲渡しており、当該債権の譲渡そのものは、有効である。
ただし、「前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ」ることとなっているため(民法466条3項)、Cが本件債権の譲渡禁止の特約について悪意又は善意重過失であれば、BはCからの請求に対して、その履行を拒むことができる。