令和5年-問7 憲法 財政
Lv2
問題 更新:2024-01-07 20:29:26
財政に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 国会が議決した予算の公布は、法律、政令、条約などの公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。
- 国会による予算の修正をめぐっては、内閣の予算提出権を侵すので予算を増額する修正は許されないとする見解もあるが、現行法には、予算の増額修正を予想した規定が置かれている。
- 予算が成立したにもかかわらず、予算が予定する支出の根拠となる法律が制定されていないような場合、法律が可決されるまでの間、内閣は暫定的に予算を執行することができる。
- 皇室の費用はすべて、予算に計上して国会の議決を経なければならないが、皇室が財産を譲り受けたり、賜与したりするような場合には、国会の議決に基く必要はない。
- 国の収入支出の決算は、内閣が、毎年そのすべてについて国会の承認の議決を得たうえで、会計検査院に提出し、その審査を受けなければならない。
正解 2
解説
国会が議決した予算の公布は、法律、政令、条約などの公布と同様に、憲法上、天皇の国事行為とされている。 1.妥当でない
憲法7条1号は、天皇の国事行為として「憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること」を定めており、予算の公布については規定されていない。
国会による予算の修正をめぐっては、内閣の予算提出権を侵すので予算を増額する修正は許されないとする見解もあるが、現行法には、予算の増額修正を予想した規定が置かれている。 2.妥当である
憲法87条では、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができるとしており、予備費制度は予算の事前議決の原則(憲法86条)の例外として予算の増額修正を想定している(国会法57条、国会法57条の3)。
予算が成立したにもかかわらず、予算が予定する支出の根拠となる法律が制定されていないような場合、法律が可決されるまでの間、内閣は暫定的に予算を執行することができる。 3.妥当でない
このような状況を予算と法律の不一致というが、内閣が暫定的に予算執行をすることはできるという規定はない。
内閣は、法律案を提出し国会の議決を求めるしかない(ただし、国会には法律制定の義務はない)。
皇室の費用はすべて、予算に計上して国会の議決を経なければならないが、皇室が財産を譲り受けたり、賜与したりするような場合には、国会の議決に基く必要はない。 4.妥当でない
すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経る必要があり(憲法88条後段)、また、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない(憲法8条)。
国の収入支出の決算は、内閣が、毎年そのすべてについて国会の承認の議決を得たうえで、会計検査院に提出し、その審査を受けなければならない。 5.妥当でない
国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない(憲法90条1項)。