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令和5年-問35 民法 相続

Lv2

問題 更新:2024-01-07 21:17:44

遺言に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア.重度の認知症により成年被後見人となった高齢者は、事理弁識能力を一時的に回復した場合であっても、後見開始の審判が取り消されない限り、遺言をすることができない。

イ.自筆証書遺言の作成に際し、カーボン紙を用いて複写の方法で作成が行われた場合であっても、自書の要件を満たし、当該遺言は有効である。

ウ.夫婦は、同一の証書によって遺言をすることはできない。

エ.遺言において受遺者として指定された者が、遺言者の死亡以前に死亡した場合には、受遺者の相続人が受遺者の地位を承継する。

オ.遺言は、遺言者が死亡して効力を生じるまでは、いつでも撤回することができるが、公正証書遺言を撤回するには公正証書遺言により、自筆証書遺言を撤回するには自筆証書遺言により行わなければならない。

  1. ア・エ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 3

解説

妥当なものはイ、ウである。

重度の認知症により成年被後見人となった高齢者は、事理弁識能力を一時的に回復した場合であっても、後見開始の審判が取り消されない限り、遺言をすることができない。 ア.妥当でない

制限行為能力の規定は、遺言には適用されない(民法962条)。「後見開始の審判が取り消されない限り」という制限はないので、妥当でない。

なお、成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師2人以上の立会いがなければならない(民法973条1項)。

自筆証書遺言の作成に際し、カーボン紙を用いて複写の方法で作成が行われた場合であっても、自書の要件を満たし、当該遺言は有効である。 イ.妥当である

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないが(民法968条1項)、カーボン複写の方法によって記載された自筆の遺言であっても「自書」の要件を満たすとされている(最判平成5年10月19日)。

夫婦は、同一の証書によって遺言をすることはできない。 ウ.妥当である

遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができない(民法975条)。

これは夫婦であっても同様である。

遺言において受遺者として指定された者が、遺言者の死亡以前に死亡した場合には、受遺者の相続人が受遺者の地位を承継する。 エ.妥当でない

遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない(民法994条1項)。

遺言は、遺言者が死亡して効力を生じるまでは、いつでも撤回することができるが、公正証書遺言を撤回するには公正証書遺言により、自筆証書遺言を撤回するには自筆証書遺言により行わなければならない。 オ.妥当でない

遺言を撤回する場合、かならずしも前回と同じ方法で撤回しなければならないというわけではない。

遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる(民法1022条)。
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす(民法1023条1項)。
前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する(民法1023条2項)。

しかし撤回の方法の規定はなく、遺言の方式に従ってさえいればよい。

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