平成27年-問1 基礎法学 その他
Lv4
問題 更新:2023-01-30 18:23:07
第二次世界大戦後に日本で生じた法変動に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。
- 労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。
- 公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法* が制定された。
- 地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。
- 英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。
(注)* 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
正解 1
解説
敗戦後の住宅難に対応するため借地法と借家法が制定された。 1.誤り。
戦前に日本で起きた法変動である。
借地法、借家法が制定されたのは1921年(大正10年)である。
なお、現行の借地借家法は、建物保護に関する法律・借家法・借地法をまとめて平成3年に成立したものである。
労働者の権利を拡張するものとして労働組合法が制定された。 2.正しい。
労働組合法は、1945年(昭和20年)12月22日に制定され、1949年(昭和24年)に改正された。
日本国憲法28条を受けて労働組合の結成の保証や使用者との団体交渉とストライキなど労働争議に対する刑事上・民事上の免責要件などが制定された。
いわゆる労働三法の一つである。
公正で自由な経済的競争を促進する目的で独占禁止法* が制定された。 3.正しい。
独占禁止法が制定されたのは1947年(昭和22年)である。
その目的は、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進すること(独占禁止法1条)」である。
地方自治を強化するものとして地方自治法が制定された。 4.正しい。
地方自治法が制定されたのは1947年(昭和22年)である。
日本国憲法が地方自治を制度的保障として認め、その結果地方自治強化のため制定されたのが地方自治法である。
地方自治法1条には「地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発達を保障することを」目的とする旨の規定があるから、これは地方自治の強化に繋がる。
英米法的な観点を加えた新しい刑事訴訟法が制定された。 5.正しい。
新しい刑事訴訟法が制定されたのは1948年(昭和23年)である。
また、第二次世界大戦後は、英米法が多く輸入されており、同法は、新憲法に見られる英米法的な刑事手続上の指針に沿って制定されたものである。