平成26年-問1 基礎法学 その他
Lv3
問題 更新:2023-01-30 20:32:19
第二次世界大戦後の日本の法制度に関する次のア~オの出来事を年代順に並べたものとして正しいものはどれか。
ア.行政事件訴訟特例法にかわって、新たに行政事件訴訟法が制定され、その際、無効等確認訴訟や不作為の違法確認訴訟に関する規定が新設された。
イ.それまでの家事審判所と少年審判所が統合され、裁判所法の規定に基づき、家庭裁判所が創設された。
ウ.環境の保全について、基本理念を定め、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることなどを目的とする環境基本法が制定された。
エ.民法の改正により、従来の禁治産・準禁治産の制度にかわって、成年後見制度が創設された。
オ.裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が制定され、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与する裁判員制度が導入された。
- ア→エ→イ→オ→ウ
- ア→イ→エ→ウ→オ
- ア→イ→ウ→エ→オ
- イ→ア→ウ→エ→オ
- イ→エ→オ→ア→ウ
正解 4
解説
行政事件訴訟特例法にかわって、新たに行政事件訴訟法が制定され、その際、無効等確認訴訟や不作為の違法確認訴訟に関する規定が新設された。 ア.行政事件訴訟法の創設は、1962年(昭和37年)である。
明治憲法では行政事件に特化した行政事件裁判所が設けられ、行政事件の任にあたっていた。
しかし、日本国憲法においては、全ての裁判を最高裁判所の傘下におき、行政事件裁判所を特化することを禁止した。
なお、行政裁判所が最高裁の傘下にあれば、違憲ではない。
旧憲法下では、民事訴訟法と同様の処置を行っていたが、戦後、行政事件訴訟法が設けられた。
それまでの家事審判所と少年審判所が統合され、裁判所法の規定に基づき、家庭裁判所が創設された。 イ.家庭裁判所の創設は、1949(昭和24年)である。
明治憲法下では家事に関する審判を主に裁く家庭裁判所は設けられていなかった。
上記アで述べたように、最高裁判所の傘下にあれば、これも認められることになる。
なお、最大判昭和31年5月30日は「家庭裁判所は一般的に司法権を行う通常裁判所であって、憲法76条2項にいわゆる特別裁判所ではない」旨を判示している。
環境の保全について、基本理念を定め、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることなどを目的とする環境基本法が制定された。 ウ.環境基本法の制定は、1993年(平成5年)である。
戦後しばらくして、環境についても目が配られはじめ、その環境政策の根幹を定める基本法が必要となった。
なお、この法律の多くはプログラム規定であり、具体的な施策等は環境基本法の趣旨に基づく個別の法律等によって実施されている点に注意が必要である。
民法の改正により、従来の禁治産・準禁治産の制度にかわって、成年後見制度が創設された。 エ.民法における成年後見制度の創設は、1999年(平成11年)である。
明治憲法における禁治産制度等は家制度を元に作成されていた。
そこで、近代、家制度の崩壊とともに、この制度も見直すことになり、成年後見制度が創設された。
これには、介護保険制度の発足が大きな役割を果たしている。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律が制定され、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与する裁判員制度が導入された。 オ.裁判員裁判法の制定、裁判員制度の導入は、2004年に制定され、2009年(平成21年)に施行された。
司法は自由・民主のうち、自由の風潮が高かった。裁判官は国民に選ばれるわけではない。
そこで、民主主義の要素も入れようとしたのが裁判員制度である。
これを導入することにより、国民の持つ日常感覚や常識といったものを裁判に反映することができる。