平成26年-問11 行政法 行政手続法
Lv3
問題 更新:2023-01-30 20:51:36
不利益処分に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政手続法は、不利益処分について、処分庁が処分をするかどうかを判断するために必要な処分基準を定めたときは、これを相手方の求めにより開示しなければならない旨を規定している。
- 行政手続法は、不利益処分について、処分と同時に理由を提示すべきこととしているが、不服申立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる旨を規定している。
- 行政手続法は、処分庁が金銭の納付を命じ、または金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするときは、聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続もとる必要がない旨を規定している。
- 行政手続法は、処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる旨を規定している。
- 行政手続法は、原則として聴聞の主宰者は処分庁の上級行政庁が指名する処分庁以外の職員に担当させるものとし、処分庁の職員が主宰者となること、および処分庁自身が主宰者を指名することはできない旨を規定している。
正解 3
解説
行政手続法は、不利益処分について、処分庁が処分をするかどうかを判断するために必要な処分基準を定めたときは、これを相手方の求めにより開示しなければならない旨を規定している。 1.誤り。
行政手続法12条1項は「行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。」旨は規定しているが、本肢のように「不利益処分について、処分庁が処分をするかどうかを判断するために必要な処分基準を定めたときは、これを相手方の求めにより開示しなければならない旨」は規定していない。
なお、行政手続法12条2項は、「行政庁は、処分基準を定めるにあたっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。」と規定している。
行政手続法は、不利益処分について、処分と同時に理由を提示すべきこととしているが、不服申立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる旨を規定している。 2.誤り。
行政手続法14条1項、2項は、「行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。」「行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。」と規定している。
しかし、行政手続法は、「不服申立ての審理の時点で処分庁が当該処分の理由を変更できる旨」を規定していない。
行政手続法は、処分庁が金銭の納付を命じ、または金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするときは、聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続もとる必要がない旨を規定している。 3.正しい。
行政手続法13条2項4号は、「納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき」は、聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続をとる必要がない旨を規定している。
なお、それ以外の場合も「聴聞の手続も弁明の機会の付与の手続をとる必要がない」ことを覚えておきたい。
行政手続法は、処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる旨を規定している。 4.誤り。
行政手続法には、「処分庁が意見陳述のための手続をとることなく不利益処分をした場合、処分の名あて人は処分後に当該手続をとることを求めることができる」旨を規定していない。
なお、本肢のような場合は、行政事件訴訟で争うことになる。
行政手続法は、原則として聴聞の主宰者は処分庁の上級行政庁が指名する処分庁以外の職員に担当させるものとし、処分庁の職員が主宰者となること、および処分庁自身が主宰者を指名することはできない旨を規定している。 5.誤り。
行政手続法19条1項は、「聴聞は、行政庁が指名する職員その他政令で定める者が主宰する。」と規定している。