平成26年-問13 行政法 行政手続法
Lv3
問題 更新:2023-01-30 20:54:23
行政手続法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず、国の機関がする行政指導のみに適用される。
- 地方公共団体の機関が命令等を定める行為について、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されないが、地方公共団体の機関がする処分については、その根拠となる規定が条例に定められているものであっても、同法の処分手続に関する規定が適用される。
- 申請に対する処分であっても、処分をするか否かに行政庁の裁量が認められないと考えられる処分については、行政庁が審査をする余地がないため、届出の手続に関する規定が適用される。
- 行政庁が不利益処分をしようとする場合、処分の名あて人となるべき者でなくても、当該処分について法律上の利益を有する者に対しては、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用される。
- 行政手続法の規定が適用除外される事項は、同法に定められているので、個別の法律により適用除外とされるものはなく、個別の法律に同法と異なる定めがあっても同法の規定が優先して適用される。
正解 1
解説
行政手続法の行政指導に関する規定は、地方公共団体の機関がする行政指導については、それが国の法令の執行に関わるものであっても適用されず、国の機関がする行政指導のみに適用される。 1.正しい。
地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)及び行政指導、地方公共団体の機関に対する届出(前条7号の通知の根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものに限る。)並びに地方公共団体の機関が命令等を定める行為については、次章(第2章)から第6章までの規定は、適用しない(行政手続法3条3項)。
地方公共団体の機関がする行政指導は、国の法令の執行に関わるものであっても、行政手続法の行政指導に関する規定は適用されない。
行政手続法3条3項 | |
---|---|
地方公共団体の行政指導・命令 | 行政手続法は適用除外 |
地方公共団体の処分、地方公共団体に対する届出 |
根拠規定が条例又は規則に置かれているのであれば、行政手続法は適用除外。 ※根拠規定が法律の場合は、行政手続法の適用あり |
地方公共団体の機関が命令等を定める行為について、行政手続法の意見公募手続に関する規定は適用されないが、地方公共団体の機関がする処分については、その根拠となる規定が条例に定められているものであっても、同法の処分手続に関する規定が適用される。 2.誤り。
肢1解説参照。
地方公共団体の機関がする処分は、根拠規定が条例又は規則に置かれているのであれば、行政手続法は適用除外になる。
申請に対する処分であっても、処分をするか否かに行政庁の裁量が認められないと考えられる処分については、行政庁が審査をする余地がないため、届出の手続に関する規定が適用される。 3.誤り。
申請に対する処分のうち、処分をするか否かに行政庁の裁量が認められないと考えられる処分に、届出の手続に関する規定が適用される、ということはない。
届出とは、行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう(行政手続法2条7号)。
つまり届出と申請は、明確に区別されているのである。
行政庁が不利益処分をしようとする場合、処分の名あて人となるべき者でなくても、当該処分について法律上の利益を有する者に対しては、弁明の機会の付与の手続に関する規定が適用される。 4.誤り。
行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、各号に定める意見陳述のための手続(聴聞、弁明の機会の付与)を執らなければならない(行政手続法13条1項)。
この規定は法律上の利益を有する者については適用されない。
行政手続法の規定が適用除外される事項は、同法に定められているので、個別の法律により適用除外とされるものはなく、個別の法律に同法と異なる定めがあっても同法の規定が優先して適用される。 5.誤り。
行政手続法は一般法的位置づけにあり、他の法律に特別の定めがある場合の他の法律が、特別法的位置づけにある。そして特別法は一般法に優先する。
処分、行政指導及び届出に関する手続並びに命令等を定める手続に関しこの法律に規定する事項について、他の法律に特別の定めがある場合は、その定めるところによる(行政手続法1条2項)。