会員登録で大量のオリジナル練習問題、一問一答、各種テストなどが使えます。問題数3000超。「道場生受験体験記」は必見です!

  1. 過去問
  2. 年度別
  3. 平成26年
  4. 問40改題

平成26年-問40改題 商法 会社法

Lv4

問題 更新:2023-01-30 22:00:06

株式会社(指名委員会等設置会社を除く。)の次に掲げる事項のうち、会社法の規定に照らし、その事項について定款の定めを必要としないものはどれか。

  1. 公開会社でない株式会社が、余剰金の配当を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行うこと
  2. 譲渡制限株式を発行する株式会社が、相続その他の一般承継により当該会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該会社に売り渡すことを請求すること
  3. 株券を発行していない株式会社が、その発行する全部の株式につき、株券を新たに発行すること
  4. 取締役の数が6人以上であって、そのうち1人以上が社外取締役である株式会社において、当該会社の代表取締役が当該会社を代表して多額の借財を行う場合に、当該行為についての取締役会の決議については、特別取締役による議決を持って行うこと
  5. 監査役会設置会社の取締役がその職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該取締役の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときに、当該会社の取締役がその決議によって、当該取締役の損害賠償責任額から最低責任限度額を控除した額の限度で当該損害賠償責任を免除すること
  解答&解説

正解 4

解説

公開会社でない株式会社が、余剰金の配当を受ける権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行うこと 1.必要とする。

株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない(会社法109条1項)。
前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、105条1項各号(①剰余金の配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利、③株主総会における議決権)に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる(会社法109条2項)。

本肢は、会社法109条2項の定めを設ける場合に定款の定めが必要か否かを問うているが、必要なのである。

株主平等原則を定めている会社法109条1項は、株主を「その有する株式の内容及び数に応じて」平等に扱うことを要求していて、会社法の大原則の一つである。
一方で会社法109条2項は株主を「その有する株式の内容や数」ではなく、「その個性」に着目して扱っている。これは会社法の原則から離れるため、定款の定めが必要になるのである。

譲渡制限株式を発行する株式会社が、相続その他の一般承継により当該会社の譲渡制限株式を取得した者に対し、当該株式を当該会社に売り渡すことを請求すること 2.必要とする。

株式会社は、相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる(会社法174条)。

そもそも譲渡制限株式の趣旨は、会社にとって好ましくない者を排除することにある。
しかし譲渡制限規定を株式に付すことで阻止できるのは、「好ましくない者が譲渡(つまり特定承継)によって株式を取得すること」である。譲渡制限規定によって「好ましくない者が相続等の一般承継によって株式を取得すること」を防ぐことはできない。
そこで会社法174条の規定を設けることで、相続等によって会社の株式を取得してしまった「好ましくない者」を追い出すことができるようになるのである。

株券を発行していない株式会社が、その発行する全部の株式につき、株券を新たに発行すること 3.必要とする。

株式会社は、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨を定款で定めることができる(会社法214条)。
株式会社は原則として株券不発行であり、株券発行会社になるためには定款の定めが必要なのである。

取締役の数が6人以上であって、そのうち1人以上が社外取締役である株式会社において、当該会社の代表取締役が当該会社を代表して多額の借財を行う場合に、当該行為についての取締役会の決議については、特別取締役による議決を持って行うこと 4.必要としない。

取締役の数が6人以上であり、取締役のうち1人以上が社外取締役である取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)においては、362条4項2号(多額の借財)についての取締役会の決議については、あらかじめ選定した3人以上の取締役(「特別取締役」)のうち、議決に加わることができるものの過半数が出席し、その過半数をもって行うことができる旨を、取締役会で定めることができる(会社法373条参照)。

監査役会設置会社の取締役がその職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該取締役の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときに、当該会社の取締役がその決議によって、当該取締役の損害賠償責任額から最低責任限度額を控除した額の限度で当該損害賠償責任を免除すること 5.必要とする。

監査役設置会社(取締役が2人以上ある場合に限る。)、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社は、423条1項の責任(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)について、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合において、責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して特に必要と認めるときは、前条1項の規定(責任の一部免除の規定)により免除することができる額を限度として取締役(当該責任を負う取締役を除く。)の過半数の同意(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)によって免除することができる旨を定款で定めることができる(会社法426条1項)。
取締役が会社に及ぼした損害を、取締役たちの話し合いでその責任を一部免除できる場面なのだから、定款の定めは必要である。

  1. 過去問
  2. 年度別
  3. 平成26年
  4. 問40改題

ページ上部へ