平成29年-問14 行政法 行政不服審査法
Lv2
問題 更新:2023-01-30 15:38:44
行政不服審査法の定める審査請求の対象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。
- 地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。
- 地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。
- 行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。
- 個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。
正解 1
解説
全ての行政庁の処分は、行政不服審査法または個別の法律に特別の定めがない限り、行政不服審査法に基づく審査請求の対象となる。 1.正しい
行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為に関する不服申立てについては、他の法律に定めがある場合を除くほか、この法律に定めるところによる(行政不服審査法1条2項)。
行政不服審査法は、行政上の不服申し立ての一般法であり、他の法律に特別の定めがある場合には他の法律の特別の定めが特別法として本法に優先して適用されることになる。
地方公共団体の機関がする処分(その根拠となる規定が条例または規則に置かれているものに限る。)についての審査請求には、当該地方公共団体の定める行政不服審査条例が適用され、行政不服審査法は適用されない。 2.誤り
地方公共団体の機関として「処分その他公権力の行使」を行う権限を有するものは、行政不服審査法における行政庁にあたる。
行政庁の処分その他公権力の行使にあたる行為に関する不服申立てについては、他の法律に定めがある場合を除くほか、この法律に定めるところによる(行政不服審査法1条2項)。
地方公共団体は、自己に対する処分でその固有の資格において処分の相手方となるものに不服がある場合、行政不服審査法に基づく審査請求をした後でなければ当該処分の取消訴訟を提起することができない。 3.誤り
国の機関又は地方公共団体その他の公共団体若しくはその機関に対する処分で、これらの機関又は団体がその固有の資格において当該処分の相手方となるもの及びその不作為については、この法律の規定は適用しない(行政不服審査法7条2項)。
行政指導の相手方は、当該行政指導が違法だと思料するときは、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることができる。 4.誤り
行政指導はあくまでも任意の協力によってなされるもので、法的拘束力はないことから法律上認められる処分に該当せず、原則として行政不服審査法における不服申立ての対象にならない(行政不服審査法1条2項)。
平成26年の行政手続法改正によって新設された行政指導の中止等の求めに関しては、「法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる(行政手続法36条の2第1項本文)と規定されている。
行政不服審査法は、行政上の不服申し立ての一般法であり、他の法律に特別の定めがある場合には、他の法律の特別の定めが特別法として本法に優先して適用されることになり、行政不服審査法に基づく審査請求によって当該行政指導の中止を求めることはできない。
個別の法律により再調査の請求の対象とされている処分は、行政不服審査法に基づく審査請求の対象とはならない。 5.誤り
法律に再調査の請求をすることができるとされている場合であっても、再調査の請求を選択しなければならないわけではなく、審査請求を選択することもでき(行政不服審査法5条1項)、再調査の請求と審査請求のいずれを行うかは不服申立人の選択に委ねられている。
不服申立人が審査請求を選択したときは、再調査の請求をすることはできない(行政不服審査法5条1項ただし書き)。