平成29年-問38 商法 会社法
Lv3
問題 更新:2023-01-30 16:46:15
発行済株式の総数の増減に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものはどれか。
- 発行済株式の総数は、会社が反対株主の株式買取請求に応じることにより減少する。
- 発行済株式の総数は、会社が自己株式を消却することにより減少する。
- 発行済株式の総数は、会社が単元株式数を定款に定めることにより減少する。
- 発行済株式の総数は、会社が自己株式を処分することにより増加する。
- 発行済株式の総数は、会社が募集新株予約権を発行することにより増加する。
正解 2
解説
発行済株式の総数は、会社が反対株主の株式買取請求に応じることにより減少する。 1.誤り。
会社が反対株主の株式買取請求に応じて自己の株式を取得したとしても、発行済株式の総数は減少しない。
会社の「自己株式」が増えるだけであり、発行済株式の総数は変動しないのである。
発行済株式の総数は、会社が自己株式を消却することにより減少する。 2.正しい。
株式会社は、自己株式を消却することができる(会社法178条1項)。
この「消却」は絶対的な消却を意味するため、自己株式の消却で発行済株式の総数は減少することになる。
発行済株式の総数は、会社が単元株式数を定款に定めることにより減少する。 3.誤り。
単元株式数を定款に定めても、発行済株式の総数は減少しない。
単元株式数を定款に定めて減少するのは議決権数である(会社法189条)。
発行済株式の総数は、会社が自己株式を処分することにより増加する。 4.誤り。
会社が自己株式を処分しても、発行済株式の総数は増加しない。
そもそも肢1にあるように、会社が自己の株式の取得をしたからといって発行可能株式の総数には何らの影響はないのだから、会社が自己株式の処分をしたとしても、発行済株式の総数には影響はない。
発行済株式の総数は、会社が募集新株予約権を発行することにより増加する。 5.誤り。
募集新株予約権を発行したとしても、それはあくまで「新株予約権」の発行であり、「株式」の発行ではないのだから、発行済株式の総数は増加しない。