平成29年-問40 商法 会社法
Lv1
問題 更新:2023-01-30 16:47:55
次の記述のうち、全ての株式会社に共通する内容として、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。
ア.株主の責任の上限は、その有する株式の引受価額である。
イ.株主は、その有する株式を譲渡することができる。
ウ.募集株式の発行に係る募集事項は、株主総会の決議により決定する。
エ.株主総会は、その決議によって取締役を1人以上選任する。
オ.株式会社の最低資本金は、300万円である。
- ア・イ
- イ・ウ
- ウ・エ
- ウ・オ
- エ・オ
正解 4
解説
株主の責任の上限は、その有する株式の引受価額である。 ア.正しい。
株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする(会社法104条)。
有限責任と呼ばれるものであり、株主には会社債務に関する責任はもちろんのこと、追加の出資義務もない。
株主は、その有する株式を譲渡することができる。 イ.正しい。
株主は、その有する株式を譲渡することができる(会社法127条)。
株主には退社の自由がないため譲渡という投下資本の回収手段が必要であり、さらには株主には個性がないことから譲渡という投下資本の回収手段が許容されるのである。
募集株式の発行に係る募集事項は、株主総会の決議により決定する。 ウ.誤り。
募集株式の発行に係る募集事項は、株主総会の決議により決定することが原則であるが、公開会社では、有利発行である場合をのぞき、募集株式の発行にかかる募集事項の決定は「取締役会」で行う(会社法199条1項2項3項、会社法201条1項)。
公開会社では、既存株主の持株比率の維持よりも、迅速な資金調達の要請を重視すべきだからである。
株主総会は、その決議によって取締役を1人以上選任する。 エ.正しい。
株式会社には、1人又は2人以上の取締役を置かなければならない(会社法326条1項)。
そして「役員(取締役、会計参与及び監査役)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する」と規定されている(会社法329条1項)。
株式会社では所有と経営は分離されており、その「経営」を担う者として取締役を1人以上置かなければならない。
取締役を選ぶのは、会社の「所有者」である株主(総会)である。
株式会社の最低資本金は、300万円である。 オ.誤り。
株式会社の最低資本金が300万円であるという条文はない。
現在では最低資本金制度はない。「最低資本金300万円」といえば、旧有限会社法における有限会社であった。また旧商法における株式会社の最低資本金は1,000万円であった。これらの昔の知識と混同しないように注意。