平成29年-問41 多肢選択式 憲法
Lv3
問題 更新:2023-11-16 19:26:49
次の文章の空欄[ ア ]~[ エ ]に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1~20)から選びなさい。
その保障の根拠に照らして考えるならば、表現の自由といっても、そこにやはり一定の限界があることを否定し難い。[ ア ]が真実に反する場合、そのすべての言論を保護する必要性・有益性のないこともまた認めざるをえないのである。特に、その[ ア ]が真実に反するものであって、他人の[ イ ]としての名誉を侵害・毀損する場合においては、[ イ ]の保護の観点からも、この点の考慮が要請されるわけである。私は、その限界は以下のところにあると考える。すなわち、表現の事前規制は、事後規制の場合に比して格段の慎重さが求められるのであり、名誉の侵害・毀損の被害者が公務員、公選による公職の候補者等の[ ウ ]人物であって、その[ ア ]が[ ウ ]問題に関する場合には、表現にかかる事実が真実に反していてもたやすく規制の対象とすべきではない。しかし、その表現行為がいわゆる[ エ ]をもってされた場合、換言すれば、表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切った場合には、表現の自由の優越的保障は後退し、その保護を主張しえないものと考える。けだし、右の場合には、故意に虚偽の情報を流すか、[ ア ]の真実性に無関心であったものというべく、表現の自由の優越を保障した憲法二一条の根拠に鑑み、かかる表現行為を保護する必要性・有益性はないと考えられるからである。
(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁・裁判官谷口正孝の補足意見)
- 差別的表現
- 不公正な論評
- 私的領域
- 相当な誤信
- 公益的
- 社会的
- 人物評価
- 自己決定権
- 公的
- 誹謗中傷
- 表現手段
- ダブル・スタンダード
- 公的領域
- 公知の
- 自己実現
- 明白かつ現在の危険
- 人格権
- 論争的
- 現実の悪意
- 表現内容
- ア
-
- イ
-
- ウ
-
- エ
-
正解
- ア20
- イ17
- ウ9
- エ19
解説
ア:20(表現内容)、イ:17(人格権)、ウ:9(公的)、エ:19(現実の悪意)
空欄に補充した文章は以下のとおり。
その保障の根拠に照らして考えるならば、表現の自由といっても、そこにやはり一定の限界があることを否定し難い。[ア:表現内容]が真実に反する場合、そのすべての言論を保護する必要性・有益性のないこともまた認めざるをえないのである。特に、その[ア:表現内容]が真実に反するものであって、他人の[イ:人格権]としての名誉を侵害・毀損する場合においては、[イ:人格権]の保護の観点からも、この点の考慮が要請されるわけである。私は、その限界は以下のところにあると考える。すなわち、表現の事前規制は、事後規制の場合に比して格段の慎重さが求められるのであり、名誉の侵害・毀損の被害者が公務員、公選による公職の候補者等の[ウ:公的]人物であって、その[ア:表現内容]が[ウ:公的]問題に関する場合には、表現にかかる事実が真実に反していてもたやすく規制の対象とすべきではない。しかし、その表現行為がいわゆる[エ:現実の悪意]をもってされた場合、換言すれば、表現にかかる事実が真実に反し虚偽であることを知りながらその行為に及んだとき又は虚偽であるか否かを無謀にも無視して表現行為に踏み切った場合には、表現の自由の優越的保障は後退し、その保護を主張しえないものと考える。けだし、右の場合には、故意に虚偽の情報を流すか、[ア:表現内容]の真実性に無関心であったものというべく、表現の自由の優越を保障した憲法二一条の根拠に鑑み、かかる表現行為を保護する必要性・有益性はないと考えられるからである。
(最大判昭和61年6月11日民集40巻4号872頁・裁判官谷口正孝の補足意見)
ア.表現内容
内容が嘘(真実に反する場合)であれば、保護の必要性がないことはお分かりであろう。
イ.人格権
表現の内容が嘘(真実に反するもの)でも他人の人格権を傷つけることはあり、それは保護の対象となる。
ウ.公的
人は公的人物と私的人物に分けることができる。本問にある公務員、公選による公職の候補者は明らかに(公的)人物である。
エ.現実の悪意
これは、本問判例の谷口裁判官の補足意見のタームであり、この判例を知らなければ、少し難しかったかもしれない。しかし、他に適当なタームはない。