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  4. 問14

令和元年-問14 行政法 行政不服審査法

Lv3

問題 更新:2023-01-28 12:47:23

裁決および決定についての行政不服審査法の規定に関する次のア~オの記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア.審査請求人は、処分についての審査請求をした日(審査請求書につき不備の補正を命じられた場合は、当該不備を補正した日)から、行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないときは、当該審査請求が審査庁により棄却されたものとみなすことができる。

イ.審査請求については、裁決は関係行政庁を拘束する旨の規定が置かれており、この規定は、再審査請求の裁決についても準用されているが、再調査の請求に対する決定については、準用されていない。

ウ.審査請求および再審査請求に対する裁決については、認容、棄却、却下の3つの類型があるが、再調査の請求については請求期間の定めがないので、これに対する決定は、認容と棄却の2つの類型のみである。

エ.審査請求においては、処分その他公権力の行使に当たる行為が違法または不当であるにもかかわらず、例外的にこれを認容せず、裁決主文で違法または不当を宣言し、棄却裁決をする制度(いわゆる事情裁決)があるが、再調査の請求に対する決定についても、類似の制度が規定されている。

オ.事実上の行為のうち、処分庁である審査庁に審査請求をすべきとされているものについて、審査請求に理由がある場合には、審査庁は、事情裁決の場合を除き、裁決で、当該事実上の行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 4

解説

審査請求人は、処分についての審査請求をした日(審査請求書につき不備の補正を命じられた場合は、当該不備を補正した日)から、行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないときは、当該審査請求が審査庁により棄却されたものとみなすことができる。 ア.誤り。

「行政不服審査法に定められた期間内に裁決がないときは、審査請求が審査庁により棄却されたものとみなすことができる」は誤りである。

審査請求人が、相当な期間内に不備を補正しない場合または審査請求が不適法であって補正することが明らかな場合には審理手続を経ないで、審査請求を却下することができる(行政不服審査法24条)。

また、裁決の時期は、審査庁が、行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき、または行政不服審査会等へ諮問しない場合に、審理員意見書が提出されたときは、遅滞なく、裁決をしなければならないとされ(行政不服審査法44条)、処分についての審査請求に理由がない場合には、審査庁は、裁決で当該審査請求を棄却する(行政不服審査法45条2項)。

審査請求については、裁決は関係行政庁を拘束する旨の規定が置かれており、この規定は、再審査請求の裁決についても準用されているが、再調査の請求に対する決定については、準用されていない。 イ.正しい。

裁決は、関係行政庁を拘束する(行政不服審査法52条1項)。
この規定は、再審査請求の裁決について準用されているが(行政不服審査法66条)、再調査の請求に対する決定については準用されていない(行政不服審査法61条)。

旧行政不服審査法において、異議申立てに対する決定には、裁決の拘束力の規定は準用されていなかった。異議申立て以上に簡略な手続きとなる再調査の請求では、処分庁自身が原処分を見直す手続きであるため裁決の拘束力に関する規定は準用されていない。

審査請求および再審査請求に対する裁決については、認容、棄却、却下の3つの類型があるが、再調査の請求については請求期間の定めがないので、これに対する決定は、認容と棄却の2つの類型のみである。 ウ.誤り。

後半の「再調査の請求については請求期間の定めがないので、これに対する決定は、認容と棄却の2つの類型のみである。」としているのは誤りである。

再調査の請求の請求期間は、主観的請求期間(処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月)、客観的請求期間(処分があった日の翌日から起算して1年)の原則と例外が定められている(行政不服審査法54条)。
再調査の請求の決定には、再調査の請求が不適当である場合の却下決定、理由がない場合の棄却決定(行政不服審査法58条)、再調査の請求に理由がある場合の認容決定(行政不服審査法59条)となり、却下、棄却、認容の3つの類型がある。

一方、審査請求および再審査請求に対する裁決には、審査請求および再審査請求が不適法である場合の却下裁決、審査請求および再審査請求に理由がない場合の棄却裁決、審査請求および再審査請求に理由があり認容する場合の取消裁決(行政不服審査法46条、行政不服審査法65条)といった3つの類型がある。

審査請求においては、処分その他公権力の行使に当たる行為が違法または不当であるにもかかわらず、例外的にこれを認容せず、裁決主文で違法または不当を宣言し、棄却裁決をする制度(いわゆる事情裁決)があるが、再調査の請求に対する決定についても、類似の制度が規定されている。 エ.誤り。

再調査の請求に対する決定では、事情決定についての規定は設けてられていない(行政不服審査法58条)。

一方、処分についての審査請求において、処分が違法または不当ではあるが、これを取り消し、または撤廃することにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、審査請求人のうける損害の程度、その損害の賠償または防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮した上、処分を取り消し、または撤廃することが公共の福祉に適合しないと認めるときは、審査庁は、裁決で当該審査請求を棄却することができるとする、いわゆる事情裁決がある(行政不服審査法45条3項)。

事実上の行為のうち、処分庁である審査庁に審査請求をすべきとされているものについて、審査請求に理由がある場合には、審査庁は、事情裁決の場合を除き、裁決で、当該事実上の行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する。 オ.正しい。

事実上の行為のうち、処分庁である審査庁に審査請求をすべきとされているものについて、審査請求に理由がある場合には、審査庁は、事情裁決の場合を除き、裁決で、当該事実上の行為が違法または不当である旨を宣言するとともに、当該事実上の行為の全部もしくは一部を撤廃し、またはこれを変更する(行政不服審査法47条)。

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