令和2年-問5 憲法 その他
Lv3
問題 更新:2023-01-28 11:14:42
次の文章の下線部の趣旨に、最も適合しないものはどれか。
議院が独立的機関であるなら、みずからの権能について、行使・不行使をみずから決定しえなければならない。議院の権能行使は、議院の自律にまかせられるを要する。けれども、憲法典は、通常、議院が、このような自律権を有することを明文で規定しない。独立の地位をもつことの、当然の帰結だからである。これに比べれば制度上の意味の限定的な議員の不逮捕特権や免責特権がかえって憲法典に規定されるのは、それが、独立的機関の構成員とされることからする当然の帰結とは考ええないことによる。憲法典に規定されなくても、議院の自律権は、議院の存在理由を確保するために不可欠で、議員特権などより重い意味をもっている。
しかし、日本国憲法典をじっくり味読するなら、議院に自律権あることを前提とし、これあることを指示する規定がある。
(出典 小嶋和司「憲法学講話」1982年から)
- 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。
- 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。
- 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。
- 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。
- 両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。
正解 2
解説
問題文を要約すると、「憲法典は、議院に自律権を有することをはっきりと条文で規定していない。これは、独立の地位を持つことが当然との結論だからである。しかし、憲法典をきちんと読んでみると、議院に自律権があることを前提として、これを指示する規定があるが、この規定に適合しないものはどれか」という問題である。
議院の権能は、①議院自律権②国政調査権の2つに分類できる。さらに、議院自律権は、①内部組織に関する自律権②運営に関する自律権に分類できる。
憲法テキスト2《議院の権能》 参照
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定めることができる。 1.適合する
運営に関する自律権につき、議院自律権に適合する。
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる(憲法58条2項本文)。
両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。 2.適合しない
国政調査権につき、議院自律権に適合しない。
両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる(憲法62条)。
両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。 3.適合する
内部組織に関する自律権につき、議院自律権に適合する。
両議院は、各々その議長その他の役員を選任する(憲法58条1項)。
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。 4.適合する
内部組織に関する自律権につき、議院自律権に適合する。
両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する(憲法55条本文)。
両議院は、各々院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。 5.適合する
運営に関する自律権につき、議院自律権に適合する。
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる(憲法58条2項本文)。