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令和2年-問6 憲法 国会

Lv4

問題 更新:2023-01-28 11:15:58

衆議院の解散に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。
  2. 内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。
  3. 最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。
  4. 衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。
  5. 天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。
  解答&解説

正解 5

解説

衆議院議員総選挙は、衆議院議員の任期が満了した場合と衆議院が解散された場合に行われるが、実際の運用では、任期満了による総選挙が過半数を占め、解散による総選挙は例外となっている。 1.妥当でない

衆議院のホームページによると、任期満了の場合の総選挙は、昭和51年12月5日に実施された1回のみで、あとは解散の場合の総選挙となっており、任期満了の場合の総選挙が例外である。

内閣による衆議院の解散は、高度の政治性を有する国家行為であるから、解散が憲法の明文規定に反して行われるなど、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合を除き、司法審査は及ばないとするのが判例である。 2.妥当でない

内閣による衆議院の解散について判例は、「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為であって、かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべきことは既に前段説示するところによってあきらかである。
そして、この理は、本件のごとく、当該衆議院の解散が訴訟の前提問題として主張されている場合においても同様であって、ひとしく裁判所の審査権の外にありといわなければならない(最大判昭和35年6月8日)」としている。

本肢で問われている、一見極めて明白に違憲無効と認められる場合については、日米安全保障条約の違憲判断を求めた判例で述べられており、「一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない(最判昭和34年12月16日)」としている。

最高裁判所が衆議院議員選挙における投票価値の不均衡について憲法違反の状態にあると判断した場合にも、内閣の解散権は制約されないとするのが政府見解であるが、実際には、不均衡を是正しないまま衆議院が解散された例はない。 3.妥当でない

不均衡を是正しないまま衆議院が解散した例はあるので、妥当でない。

最大判昭和58年11月7日の判例では、中選挙区制度に関し、議員1人あたりの選挙区間での有権者数の較差が最大で3.94対1であった昭和55年選挙時の定数配分規定を違憲状態とした。
その後、是正されないまま昭和58年11月28日に衆議院が解散し、昭和58年12月18日に総選挙が実施された。

衆議院が内閣不信任案を可決し、または信任案を否決したとき、内閣は衆議院を解散できるが、この場合には、内閣によりすでに解散が決定されているので、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことができると解される。 4.妥当でない

天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負い(憲法3条)、天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために国会議員の総選挙の施行を公示することを行う(憲法7条4号)と規定していることから、憲法69条に基づき、衆議院が内閣によりすでに解散が決定されているとしても、天皇は、内閣の助言と承認を経ず、国事行為として衆議院議員選挙の公示を行うことはできない。

天皇の国事行為は本来、厳密に形式的儀礼的性格のものにすぎない、と考えるならば、国事行為としての衆議院の解散の宣言について内閣が助言と承認の権能を有しているからといって、内閣が憲法上当然に解散権を有していると決めつけることはできない、という結論が導かれる。 5.妥当である

天皇の国事行為は本来全て形式的儀礼的行為であり、内閣の助言と承認はそのような形式的行為に対して行うことが要求されているから助言と承認には実質的決定権を含まないとされる。

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