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令和2年-問24 行政法 地方自治法

Lv4

問題 更新:2023-11-21 14:38:23

地方自治法に基づく住民訴訟に関する次の記述のうち、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

  1. 住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。
  2. 住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。
  3. 住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。
  4. 普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。
  5. 住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。
  解答&解説

正解 5

解説

住民訴訟を提起した者が当該訴訟の係属中に死亡したとき、その相続人は、当該地方公共団体の住民である場合に限り、訴訟を承継することができる。 1.誤り

住民訴訟は、選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するものであり、客観訴訟のうち民衆訴訟にあたる(行政事件訴訟法5条)。

また、住民訴訟を提起する権利は、一身専属的であり、原告の死亡により、その地位を承継することはできないと解されている。

「地方自治法242条の2に規定する住民訴訟は、原告が死亡した場合においては、その訴訟を承継するに由なく、当然に終了するものと解すべきである」(最判昭和55年2月22日、最判昭和57年7月13日)

住民訴訟を提起する者は、その対象となる財務会計行為が行われた時点において当該普通地方公共団体の住民であることが必要である。 2.誤り

住民訴訟をするには、事前に住民監査請求(事務監査ではない)をしていることが要件となる(地方自治法242条の2第1項)。
また、住民監査請求の主体は「普通地方公共団体の住民」であるため、選挙権を有さない者でも、納税者でなくても、日本人でなくても、法人であっても、住民監査請求をした当該地方公共団体の住民であり、かつ法律上の行為能力が認められている限り、住民訴訟を提起することができる(地方自治法242条1項)。

住民訴訟の前提となる住民監査請求は、条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署により、これをする必要がある。 3.誤り

「条例で定める一定数の当該地方公共団体の住民の連署」は、誤りである。

住民監査請求とは、普通地方公共団体の住民が監査委員に対して、必要な措置を講じるよう求める請求であり(地方自治法242条)、地方公共団体の住民であれば1人でもできる。

事務監査請求と類似する点もあるが、連署などがなく1人でもできる点、監査の対象が財務に限定されている点に相違がある。

普通地方公共団体の議会は、住民訴訟の対象とされた当該普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判において確定したのちは、当該請求権に関する権利放棄の議決をすることはできない。 4.誤り

普通地方公共団体の議会は、第1項の規定による請求があった後に、当該請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない(地方自治法242条10項)。

住民訴訟を提起した者は、当該住民訴訟に勝訴した場合、弁護士に支払う報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払いを当該普通地方公共団体に対して請求することができる。 5.正しい

住民訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる(地方自治法242条の2第12項)。

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