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令和2年-問35 民法 親族

Lv3

問題 更新:2023-11-20 15:49:03

特別養子制度に関する次のア~オの記述のうち、民法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.特別養子は、実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることによって成立する。

イ.特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。

ウ.すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない。

エ.特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。

オ.特別養子縁組の解消は原則として認められないが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または、実父母が相当の監護をすることができる場合には、家庭裁判所が離縁の審判を下すことができる。

  1. ア・ウ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. イ・エ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 4

解説

イ、エが正しい。

特別養子は、実父母と養父母の間の合意を家庭裁判所に届け出ることによって成立する。 ア.誤り

特別養子縁組は、裁判所において審判の確定により成立し、効力を生ずるため、実父母と養父母の合意を届け出るだけでは成立しない。

家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組を成立させることができる(民法817条の2)。

特別養子縁組において養親となる者は、配偶者のある者であって、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならない。 イ.正しい

養親となる者の要件は、「配偶者のある者」である(民法817条の3)。

年齢については、原則的には25歳に達しない者は、養親となることができないが、養親となる夫婦の一方が25歳に達していなくても、その者が20歳に達しているときは例外を認めている(民法817条の4)。

つまり、夫婦いずれもが20歳以上であり、かつ、そのいずれかは25歳以上でなければならないということである。

すべての特別養子縁組の成立には、特別養子となる者の同意が要件であり、同意のない特別養子縁組は認められない。 ウ.誤り

「すべての特別養子縁組」としている点が誤りである。

養子となる者が15歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない(民法817条の5第3項)が、15歳に達していない場合には、その者の同意は不要である。

特別養子縁組が成立した場合、実父母及びその血族との親族関係は原則として終了し、特別養子は実父母の相続人となる資格を失う。 エ.正しい

養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する(民法817条の9)。

特別養子縁組は、その成立により、従前の親子関係等を終了させる縁組である。
そのため、特別養子縁組成立後は、実父母の相続人となる資格も当然に失われる。

特別養子縁組の解消は原則として認められないが、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、または、実父母が相当の監護をすることができる場合には、家庭裁判所が離縁の審判を下すことができる。 オ.誤り

本肢の要件は両方とも満たす必要がある。「または」としている点が誤り。

特別養子縁組の離縁には、子の福祉のために厳格な要件を定めている。
養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる(民法817条の10第1項柱書き)。

①養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
②実父母が相当の監護をすることができること。

①②の両方を満たしていない場合は、することができない(民法817条の10第2項)。

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