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令和2年-問37 商法 会社法

Lv3

問題 更新:2023-11-20 15:51:32

株式会社の設立等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、正しいものの組合せはどれか。

ア.発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。

イ.株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。

ウ.現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。

エ.株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。

オ.発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・エ
  4. イ・オ
  5. ウ・オ
  解答&解説

正解 1

解説

ア、ウが正しい。

発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、各発起人は、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。 ア.正しい

各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない(会社法25条2項)。

設立時株式を一株も引き受けていない発起人がいると会社の設立無効事由となる。

株式会社の設立に際して作成される定款について、公証人の認証がない場合には、株主、取締役、監査役、執行役または清算人は、訴えの方法をもって、当該株式会社の設立の取消しを請求することができる。 イ.誤り

設立に際して作成された定款に公証人の認証がない場合に提起できるのは「設立無効の訴え」であり、株主等が訴えを提起することが可能である(会社法828条1項2項参照)。

設立の取消しの訴えを提起できるのは持分会社のみで(会社法832条参照)、株式会社には設立取消の規定はない。

設立が無効となる一例
  • 定款の絶対的記載事項が欠けている
  • 設立時株式を一株も引き受けていない発起人がいる
  • 公証人による定款認証がない
  • 定款で定める出資がなされていない
  • 募集設立での創立総会が適法に開催されていない
  • 株式発行事項につき発起人全員の同意がない
  • 設立登記が無資格者の申請に基づくなどの理由である場合

現物出資財産等について定款に記載または記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士または税理士法人の証明(現物出資財産等が不動産である場合は、当該証明および不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合には、現物出資財産等については検査役による調査を要しない。 ウ.正しい

現物出資財産等で検査役の調査を必要としないケースは以下のとおり(会社法33条10項)。

①現物出資・財産引受の定款記載価額の総額が500万円を超えない場合。
②市場価格のある有価証券で、定款記載の価額がその市場価格を超えない場合。
③弁護士、公認会計士、税理士等の証明を受けている場合。(不動産については不動産鑑定士)

株式会社が成立しなかったときは、発起人および設立時役員等は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為について、その責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する。 エ.誤り

株式会社が成立しなかったときは、発起人は、連帯して、株式会社の設立に関してした行為についてその責任を負い、株式会社の設立に関して支出した費用を負担する(会社法56条)。

本肢の「発起人及び設立時役員等」は、会社法52条(出資された財産等の価額が不足する場合の責任)と混同させるような記述となっている。

会社法52条
株式会社の成立の時における現物出資財産等の価額が当該現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額に著しく不足するときは、発起人及び設立時取締役は、当該株式会社に対し、連帯して、当該不足額を支払う義務を負う。

発起設立または募集設立のいずれの場合であっても、発起人は、設立時発行株式を引き受けた発起人または設立時募集株式の引受人による払込みの取扱いをした銀行等に対して、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。 オ.誤り

発起設立についても払込金保管証明の制度があるとする点が誤り。

募集設立の場合には、発起人は、払込みの取扱いをした銀行等に対し、払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる(会社法64条1項)。

つまり払込金保管証明書の制度が適用されるのは、発起設立ではなく募集設立である。
募集設立においては、発起人以外の引受人がいるため、当該引受人を保護するために、払込金保管証明の制度がある。

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