令和2年-問44 記述式 行政法
Lv3
問題 更新:2021-01-11 12:20:48
A県内の一定区域において、土地区画整理事業(これを「本件事業」という。)が計画された。それを施行するため、土地区画整理法に基づくA県知事の認可(これを「本件認可処分」という。)を受けて、土地区画整理組合(これを「本件組合」という。)が設立され、あわせて本件事業にかかる事業計画も確定された。これを受けて本件事業が施行され、工事の完了などを経て、最終的に、本件組合は、換地処分(これを「本件換地処分」という。)を行った。
Xは、本件事業の区域内の宅地につき所有権を有し、本件組合の組合員であるところ、本件換地処分は換地の配分につき違法なものであるとして、その取消しの訴えを提起しようと考えたが、同訴訟の出訴期間がすでに経過していることが判明した。
この時点において、本件換地処分の効力を争い、換地のやり直しを求めるため、Xは、誰を被告として、どのような行為を対象とする、どのような訴訟(行政事件訴訟法に定められている抗告訴訟に限る。)を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。
正解例 Xは、本件組合を被告として、本件換地処分を対象とする無効等確認の訴えを提起すべきである。(44字)
解説
近年行政法の記述式において多く出題される「誰を被告として、どの処分に対して、どのような訴えを提起するか」という問題である。
まず被告をA県とするか、組合とするか迷うところである。
認可処分に対して訴えを起こす場合は、被告をA県とし、換地処分に対して訴えを起こす場合は、当該組合を被告とすべきである。
本問では換地処分につき違法性を訴えようとしているので、被告は当該組合となる。
土地区画整理法において土地区画整理組合は換地処分を行う主体となっており、被告適格を規定する行政事件訴訟法11条2項の「国又は公共団体に所属しない行政庁」にあたるとされている。
その他、国又は公共団体に所属しない行政庁としては、指定確認検査機関や弁護士会などがある。
また、出訴期間内であれば取消訴訟を提起して争うのが一般的であるが、本問の様に取消訴訟の出訴期間が過ぎている場合は、補充的に出訴期限のない無効等確認の訴えを提起することになる。