令和3年-問6 憲法 国会
Lv2
問題 更新:2023-11-20 16:59:04
次の文章の空欄[ ア ]・[ イ ]に当てはまる語句の組合せとして、妥当なものはどれか。
憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例外を除き、[ ア ]、かつ、[ イ ]を意味すると解されている。
ア | イ | ||
---|---|---|---|
1. | 内閣の法案提出権を否定し (国会中心立法の原則) |
議員立法の活性化を求めること (国会単独立法の原則) |
|
2. | 国権の最高機関は国会であり (国会中心立法の原則) |
内閣の独立命令は禁止されること (国会単独立法の原則) |
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3. | 法律は国会の議決のみで成立し (国会単独立法の原則) |
天皇による公布を要しないこと (国会中心立法の原則) |
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4. | 国会が立法権を独占し (国会中心立法の原則) |
法律は国会の議決のみで成立すること (国会単独立法の原則) |
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5. | 国権の最高機関は国会であり (国会中心立法の原則) |
立法権の委任は禁止されること (国会単独立法の原則) |
正解 4
解説
ア:国会が立法権を独占し(国会中心立法の原則)
イ:法律は国会の議決のみで成立すること(国会単独立法の原則)
空欄を補充した文章は以下のとおり。
憲法で、国会が国の「唯一の」立法機関であるとされるのは、憲法自身が定める例外を除き、[ア:国会が立法権を独占し(国会中心立法の原則)]、かつ、[イ:法律は国会の議決のみで成立すること(国会単独立法の原則)]を意味すると解されている。
国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である(憲法41条)。
憲法41条の「唯一」について、学説は「国会中心立法の原則」と「国会単独立法の原則」であるとしている。
国会中心立法の原則 | 憲法によって特別定められたものを除いて、立法は全て国会を通し、国会を中心に行われなければならない |
---|---|
例外※ 両議院の規則制定権、内閣の政令権、裁判所の規則制定権、条例制定権 |
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国会単独立法の原則 | 立法は国会だけで行い、国会の議決だけで法律が成立する |
例外※ 内閣の法案提出権、地方特別法の住民投票、憲法改正の国民投票 |
※一部争いがある
ア:内閣の法案提出権を否定し(国会中心立法の原則)
イ:議員立法の活性化を求めること(国会単独立法の原則)
1.妥当でない
アについて、内閣の法案提出権は、国会単独立法原則の例外であり、否定されていない。
イについて、国会単独立法の原則には、議院立法の活性化を求めることは入っていない。
ア:国権の最高機関は国会であり(国会中心立法の原則)
イ:内閣の独立命令は禁止されること(国会単独立法の原則)
2.妥当でない
アについて、憲法41条にある「国会は、国権の最高機関であって」の「最高機関」について通説は、法的意義はないとする、いわゆる政治的美称説で、国民を直接代表する国会こそが価値的に国政の中心的地位にあるべきことを強調するため、政治的・権威的に美称したものであって、法的な意味での最高機関ではないとされている。
イについて、現行憲法下では内閣の独立命令は認められないが、国会単独立法の原則ではない。
ア:法律は国会の議決のみで成立し(国会単独立法の原則)
イ:天皇による公布を要しないこと(国会中心立法の原則)
3.妥当でない
アについて、法律は国会の議決のみで成立するが、イは、天皇による公布を要しないわけではない。
ア:国会が立法権を独占し(国会中心立法の原則)
イ:法律は国会の議決のみで成立すること(国会単独立法の原則)
4.妥当である
国会が立法権を独占し、法律は、国会の議決のみで成立する。
ア:国権の最高機関は国会であり(国会中心立法の原則)
イ:立法権の委任は禁止されること(国会単独立法の原則)
5.妥当でない
アについて、肢2解説参照。
イについて、立法権の委任は禁止されているわけではない。