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令和3年-問14 行政法 行政不服審査法

Lv3

問題 更新:2023-01-27 20:33:17

行政不服審査法が定める執行停止に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。
  2. 審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。
  3. 審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
  4. 再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。
  5. 審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。
  解答&解説

正解 3

解説

審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない(行政不服審査法25条1項)。これを「執行不停止の原則」という。
とはいえ執行停止すべき場合もあり、例外的に審査庁が必要あると認めるときに執行停止がなされるが、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁であるか、そのいずれでもないかによって、執行停止の内容に違いがある。

処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査(行政不服審査法25条2項)
審査請求人の申立てにより又は職権で
処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(「執行停止」)をとることができる
処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁(行政不服審査法25条3項)
審査請求人の申立てにより
処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。
ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない

審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、本案について理由がないとみえるときでも、審査庁は、執行停止をしなければならない。 1.誤り

本案について理由がないとみえるときは、執行停止をする必要はない。

審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。
ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない(行政不服審査法25条4項)。

審査庁は、いったんその必要性を認めて執行停止をした以上、その後の事情の変更を理由として、当該執行停止を取り消すことはできない。 2.誤り

執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる(行政不服審査法26条)。

審理員は執行停止をすべき旨の意見書を審査庁に提出することができ、提出を受けた当該審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。 3.正しい

執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない(行政不服審査法25条7項)。

審理員は、必要があると認める場合には、審査庁に対し、執行停止をすべき旨の意見書を提出することができる(行政不服審査法40条)。

再調査の請求は、処分庁自身が簡易な手続で事実関係の調査をする手続であるから、再調査の請求において、請求人は執行停止を申し立てることはできない。 4.誤り

再調査の請求においても請求人は執行停止を申し立てることができる。したがって誤り。

再調査の請求では、行政不服審査法25条の執行停止の規定について、同条3項(処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁に関する規定)を除いて準用されている(行政不服審査法61条)。

行政不服審査法25条2項を再調査の請求について準用し読み替えると次のようになる。

「処分庁」は、必要があると認める場合には、「再調査の請求人」の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(執行停止)をとることができる(行政不服審査法 別表第二(61条関係))。

審査庁が処分庁または処分庁の上級行政庁のいずれでもない場合には、審査庁は、審査請求人の申立てにより執行停止を行うことはできない。 5.誤り

処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる(行政不服審査法25条3項本文)。上記表参照。

処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、当該審査請求に関する権限を法律によって付与されているにすぎず、一般的な指揮監督権を有しているわけではない。
したがって職権による執行停止はできず、審査請求人の申立てがあることが要件とされ、かつ、処分庁の意見を聴取した上でなければ執行停止をすることはできない。

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