令和4年-問15 行政法 行政不服審査法
Lv2
問題 更新:2023-01-17 10:06:06
審理員に関する行政不服審査法の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 審理員は、審査請求がされた行政庁が、審査請求の対象とされた処分の処分庁または不作為庁に所属する職員から指名する。
- 審理員は、職権により、物件の所持人に対し物件の提出を求めた上で、提出された当該物件を留め置くことができる。
- 審理員は、審査請求人または参加人の申立てがなければ、必要な場所についての検証をすることはできない。
- 審理員は、審査請求人または参加人の申立てがなければ、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することはできない。
- 審理員は、数個の審査請求に係る審理手続を併合することはできるが、ひとたび併合された審査請求に係る審理手続を分離することはできない。
正解 2
解説
審理員は、審査請求がされた行政庁が、審査請求の対象とされた処分の処分庁または不作為庁に所属する職員から指名する。 1.妥当でない
審理員は、審査庁に所属する職員から指名される(行政不服審査法9条1項、2項参照)。
そして、審査庁となるべき行政庁は、審理員となるべき者の名簿を作成するよう努めるとともに、これを作成したときは、当該審査庁となるべき行政庁及び関係処分庁の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない(行政不服審査法17条)。
審理員は、職権により、物件の所持人に対し物件の提出を求めた上で、提出された当該物件を留め置くことができる。 2.妥当である
審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審理員は、その提出された物件を留め置くことができる(行政不服審査法33条)。
審理員には職権で物件の提出を求めるかどうかを判断する裁量がある。審理のために提出された物件を留め置く必要がある場合、その留置権限を審理員に付与している。
審理員は、審査請求人または参加人の申立てがなければ、必要な場所についての検証をすることはできない。 3.妥当でない
「審査請求人または参加人の申立てがなければ」としている点が妥当でない。
審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる(行政不服審査法35条)。
審理員には、審査請求人若しくは参加人による検証の申し立ての採否の判断、職権で検証を行う権限が付与されている。
審理員は、審査請求人または参加人の申立てがなければ、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することはできない。 4.妥当でない
「審査請求人若しくは参加人の申立てがなければ」としている点が妥当でない。
審理員は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる(行政不服審査法36条)。
審理員は、職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問する権限が付与されている。
審理員は、数個の審査請求に係る審理手続を併合することはできるが、ひとたび併合された審査請求に係る審理手続を分離することはできない。 5.妥当でない
「ひとたび併合された審査請求に係る審理手続を分離することはできない」としているので妥当でない。
審理員は、必要があると認める場合には、数個の審査請求に係る審理手続を併合し、又は併合された数個の審査請求に係る審理手続を分離することができる(行政不服審査法39条)。
審理員には、審理を迅速かつ円滑に進行させるため審理手続の併合・分離を判断する権限が付与されている。
審理手続の併合・分離は、審理手続の間に行われるので、審査請求を主宰する審理員が手続の進行状況に応じて判断することが妥当と考えられ、審査庁ではなく、審理員に審理手続の併合・分離の是非を判断させることにしている。