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令和4年-問37 商法 会社法

Lv3

問題 更新:2023-11-20 18:51:46

株式会社の設立における発行可能株式総数の定め等に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア.発起設立において、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、発起人は、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

イ.発起設立においては、発行可能株式総数を定款で定めている場合であっても、発起人は、株式会社の成立の時までに、その過半数の同意によって、発行可能株式総数についての定款を変更することができる。

ウ.募集設立において、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、発起人は、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。

エ.募集設立においては、発行可能株式総数を定款で定めている場合であっても、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、発行可能株式総数についての定款を変更することができる。

オ.設立時発行株式の総数は、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。

  1. ア・ウ
  2. ア・エ
  3. イ・ウ
  4. イ・オ
  5. エ・オ
  解答&解説

正解 3

解説

イ、ウが誤り。

株式会社の設立には、発起設立と募集設立がある。
発起設立とは、会社設立の際に発行される株式の全部を発起人が引き受ける方法により会社を設立するもので、募集設立とは、会社設立の際に発行される株式の一部を発起人が引受け、残りの株式については引受人を募集して会社を設立するというものである。

発起設立において、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、発起人は、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。 ア.正しい

発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(発行可能株式総数)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない(会社法37条1項)。

なお、発行可能株式総数は定款に記載しなければいけないという意味においては「絶対的記載事項」である。しかしながら「絶対的記載事項」は、会社法27条にまとめられている。

発行可能株式総数と会社法27条の各事項の違いであるが、会社法27条の各事項は原始定款に記載し、公証人の認証を受けなればいけない。一方で発行可能株式総数は公証人の認証を受けなくともよい。これが違いである。

発起設立においては、発行可能株式総数を定款で定めている場合であっても、発起人は、株式会社の成立の時までに、その過半数の同意によって、発行可能株式総数についての定款を変更することができる。 イ.誤り

「過半数の同意によって」としている点が誤り。全員の同意が必要である。

発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる(会社法37条2項)。

募集設立において、発行可能株式総数を定款で定めていない場合には、発起人は、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。 ウ.誤り

「その全員の同意によって」としている点が誤り。「創立総会の決議」によらなければならない。

募集設立をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。(会社法98条)。

なお、募集設立において発起人は一部の株式を引き受けるにすぎないので、その他の株式引受人が払込によって確定する払込期間初日以後は、発起人全員の同意があっても定款を変更することはできない。(会社法95条)

募集設立においては、発行可能株式総数を定款で定めている場合であっても、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、発行可能株式総数についての定款を変更することができる。 エ.正しい

募集設立においては、創立総会の決議によって、定款の変更をすることができる(会社法96条)。

なお、募集設立において、発行可能株式総数を定款で定めている場合について、払込期日又は払込期間の初日のうち最も早い日以降(誰かが出資した状態の時)については、創立総会の決議によって定款変更になるが、誰も出資していない状態の時は、発起人全員の同意によって、発行株式総数についての定款変更が可能である(会社法37条2項)。

設立時発行株式の総数は、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合を除いて、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。 オ.正しい

会社法にいう公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社を指し(会社法2条5号)、公開会社の設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の1/4を下ることができない(会社法37条3項)。これを公開会社の4倍規制(4倍ルール)という。

公開会社では、募集株式発行は取締役会の決議事項である。募集株式による資金調達は経営面からも重要だからである。
しかし、公開会社で4倍規制がなかったら、取締役会が恣意的に株主比率を変更することができ、発行済総株式に対する株主の影響力が薄くなってしまうので、このようなルールがある。

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