令和5年-問11 行政法 行政手続法
Lv2
問題 更新:2024-01-07 20:41:57
行政手続法(以下「法」という。)の規定に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 法の規定において用いられる「法令」とは、法律及び法律に基づく命令のみを意味し、条例及び地方公共団体の執行機関の規則はそこに含まれない。
- 特定の者を名あて人として直接にその権利を制限する処分であっても、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、法にいう不利益処分とはされない。
- 法の規定が適用される行政指導には、特定の者に一定の作為または不作為を求めるものに限らず、不特定の者に対して一般的に行われる情報提供も含まれる。
- 行政指導に携わる者が、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならないのは、法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られる。
- 行政機関が、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ行政上特別の支障がない限りこれを公表しなければならないのは、根拠となる規定が法律に置かれている行政指導をしようとする場合に限られる。
正解 2
解説
法の規定において用いられる「法令」とは、法律及び法律に基づく命令のみを意味し、条例及び地方公共団体の執行機関の規則はそこに含まれない。 1.妥当でない
行政手続法における「法令」とは、法律、法律に基づく命令(告示を含む)、条例及び地方公共団体の執行機関の規則(規程を含む)をいう(行政手続法2条1号)。
特定の者を名あて人として直接にその権利を制限する処分であっても、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、法にいう不利益処分とはされない。 2.妥当である
名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、不利益処分から除外される。
不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、又はその権利を制限する処分をいうが、名あて人となるべき者の同意の下にすることとされている処分は、不利益処分とはされない(行政手続法2条4号ハ)。
名あて人に不利益を与える処分であっても、同意があれば手続きの保障は必要ではないとされており、不利益処分から除外されている。
法の規定が適用される行政指導には、特定の者に一定の作為または不作為を求めるものに限らず、不特定の者に対して一般的に行われる情報提供も含まれる。 3.妥当でない
行政指導には、不特定の者に対して一般的に行われる情報提供は含まれない。
行政指導とは、行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう(行政手続法2条6号)。
行政指導に携わる者が、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならないのは、法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られる。 4.妥当でない
「法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られる」としている点が誤り。
行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならないが(行政手続法35条1項)、法令に違反する行為の是正を求める行政指導をする場合に限られない。
行政機関が、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ行政上特別の支障がない限りこれを公表しなければならないのは、根拠となる規定が法律に置かれている行政指導をしようとする場合に限られる。 5.妥当でない
「根拠となる規定が法律に置かれている行政指導をしようとする場合に限られる」としている点が誤り。
「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするとき」は、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない(行政手続法36条)。