令和5年-問12 行政法 行政手続法
Lv2
問題 更新:2024-01-07 20:55:34
行政手続法の定める聴聞に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 聴聞の当事者または参加人は、聴聞の終結後であっても、聴聞の審理の経過を記載した調書の閲覧を求めることができる。
- 聴聞の当事者および参加人は、聴聞が終結するまでは、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。
- 当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。
- 当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができる。
- 当事者または参加人が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書等を提出しない場合、主宰者は、当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない。
正解 5
解説
聴聞の当事者または参加人は、聴聞の終結後であっても、聴聞の審理の経過を記載した調書の閲覧を求めることができる。 1.正しい
聴聞の当事者または参加人は、聴聞の期日ごとに作成される調書と、聴聞の終結後に作成される報告書の閲覧を求めることができる(行政手続法24条4項)。
聴聞調書及び聴聞報告書における内容の適正さを確保し、当事者・参加人の聴聞における手続き的権利の保障や事後の争訟での便宜に資するために閲覧の期限は特になく、当事者や参加人が訴訟中であるなど、閲覧の必要性がある限り、いつでも閲覧することができる。
聴聞の当事者および参加人は、聴聞が終結するまでは、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。 2.正しい
聴聞の当事者および当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(当事者等)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる(行政手続法18条1項前段)。
なお、聴聞手続きには、当事者のほかに、当該不利益処分につき利害関係を持つ第三者が参加人として関与することができる。しかし、問題文では参加人とのみ記載されているが、正確には当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人に文書閲覧請求権が認められている。参加人の中でも不利益を被るおそれのある者については、当事者なみに防御権を保障する必要があると考えられるからである。したがって、当該肢は、正確性に欠け疑義が残る問題文である。
当事者または参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、証拠書類等を提出し、主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる。 3.正しい
当事者又は参加人は、聴聞の期日に出頭して、意見を述べ、及び証拠書類等を提出し、並びに主宰者の許可を得て行政庁の職員に対し質問を発することができる(行政手続法20条2項)。
当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができる。 4.正しい
当事者または参加人は、聴聞の期日への出頭に代えて、主宰者に対し、聴聞の期日までに陳述書および証拠書類等を提出することができる(行政手続法21条1項)。
当事者または参加人が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、陳述書等を提出しない場合、主宰者は、当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を与えなければならない。 5.誤り
当事者に対し改めて意見を述べ、証拠書類等を提出する機会を「与えなければならない」ではなく、「与えることなく、聴聞を終結することができる」としている。
主宰者は、当事者の全部若しくは一部が正当な理由なく聴聞の期日に出頭せず、かつ、陳述書若しくは証拠書類等を提出しない場合、又は参加人の全部若しくは一部が聴聞の期日に出頭しない場合には、これらの者に対し改めて意見を述べ、及び証拠書類等を提出する機会を与えることなく、聴聞を終結することができる(行政手続法23条1項)。