令和5年-問15 行政法 行政不服審査法
Lv3
問題 更新:2024-01-07 20:59:12
行政不服審査法が定める審査請求の裁決に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
- 審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない。
- 不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる。
- 事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更する。
- 審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない。
- 審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされる。
正解 3
解説
審査庁が不利益処分を取り消す裁決をした場合、処分庁は、当該裁決の趣旨に従い当該不利益処分を取り消さなければならない。 1.妥当でない
本肢の場合に不利益処分を取り消すのは審査庁であり、処分庁が当該不利益処分を改めて取り消す必要はない。
処分(事実上の行為を除く)についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない(行政不服審査法46条1項)。
不利益処分につき、その根拠となった事実がないとしてこれを取り消す裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことができる。 2.妥当でない
「裁決を受けた処分庁は、事実を再調査した上で、同一の事実を根拠として同一の不利益処分を再び行うことは」できない。
裁決は、関係行政庁を拘束するので(行政不服審査法52条1項)、取消しの裁決を受けた処分庁は、同一の事実関係の下、同一の理由では同一の処分を反復することができない。
事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為を撤廃又は変更する。 3.妥当である
事実上の行為についての審査請求に理由がある場合には、処分庁である審査庁は、当該事実上の行為が違法又は不当である旨を裁決で宣言し、当該事実上の行為の全部若しくは一部を撤廃し、又は変更する(行政不服審査法47条2号)。
審査庁は、処分庁の上級行政庁または処分庁でなくとも、審査請求に対する認容裁決によって処分を変更することができるが、審査請求人の不利益に処分を変更することは許されない。 4.妥当でない
審査庁が処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合には、当該処分を変更することはできない(行政不服審査法46条1項ただし書き、肢1参照)。
審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請に対する許認可処分とみなされる。 5.妥当でない
審査庁が処分庁である場合、許認可の申請に対する拒否処分を取り消す裁決は、当該申請がされることとなったに過ぎず、許認可処分ではない。
処分(事実上の行為を除く)についての審査請求が理由がある場合には、審査庁は、裁決で、当該処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する(行政不服審査法46条1項本文、肢1参照)。
法令に基づく申請を却下し、又は棄却する処分の全部又は一部を取り消す場合において、処分庁である審査庁は、当該申請に対して一定の処分をすべきものと認めるときは、当該処分をする(行政不服審査法46条2項2号)。
そして、申請拒否処分を取り消す裁決がされた場合、処分庁は裁決の趣旨に従って改めて申請に対する処分をしなければならない(行政不服審査法52条2項)。