令和5年-問16 行政法 行政不服審査法
Lv2
問題 更新:2024-01-07 21:00:24
行政不服審査法が定める審査請求の手続に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。
- 審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。
- 審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。
- 審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。
- 審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。
正解 4
解説
審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合、審査請求人は処分庁を経由して審査請求を行うこともできる。 1.正しい
審査請求をすべき行政庁が処分庁と異なる場合における審査請求は、処分庁を経由して審査請求を行うこともできる(行政不服審査法21条1項前段)。審査請求人に処分庁を経由してする審査請求権を与えることで、審査請求人の便宜を図るためである。
審査請求は書面により行わなければならないが、行政不服審査法以外の法律や条例に口頭ですることができる旨の規定のある場合には、審査請求人は審査請求を口頭で行うことができる。 2.正しい
審査請求は書面によってするのが原則であるが、法律(条例に基づく処分については、条例)に口頭ですることができる旨の定めがある場合には、口頭で行うことができる(行政不服審査法19条1項)。
審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができ、取下げの理由に特に制限は設けられていない。 3.正しい
審査請求人は、裁決があるまでは、いつでも審査請求の取下げをすることができる(行政不服審査法27条1項)。取下げの理由に特に制限は設けられていない。
審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合でも審理員を指名し、審理手続を開始しなければならず、直ちに審査請求を却下することはできない。 4.誤り
審査請求書に形式上の不備がある場合は、「審理員を指名し、審理手続を開始しなければならない」のは妥当でない。
審査請求を受けた審査庁は、審査請求書に形式上の不備がある場合、審査庁は、相当の期間を定め、その期間内に不備を補正すべきことを命じなければならない(行政不服審査法23条)。
審査請求人が期間内に不備を補正しない場合、審査庁は、審理手続を経ないで、裁決で、当該審査請求を却下することができる(行政不服審査法24条1項)。
審査請求人から申立てがあった場合には、審理員は原則として口頭意見陳述の機会を与えなければならず、口頭意見陳述には参加人だけでなく、審理員の許可を得て補佐人も参加することができる。 5.正しい
審査請求は書面審理を原則とするが、審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審理員は、申立人に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない(行政不服審査法31条1項)。
この場合において、審査請求人又は参加人は、審理員の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる(行政不服審査法31条3項)。