令和5年-問26 行政法 行政総論
Lv4
問題 更新:2024-01-07 21:11:29
地方公共団体に対する法律の適用に関する次の説明のうち、妥当なものはどれか。
- 行政手続法は、地方公共団体の機関がする処分に関して、その根拠が条例に置かれているものについても行政手続法が適用されると定めている。
- 行政不服審査法は、地方公共団体には、それぞれ常設の不服審査機関(行政不服審査会等)を置かなければならないと定めている。
- 公文書管理法 *1は、地方公共団体が保有する公文書の管理および公開等に関して、各地方公共団体は条例を定めなければならないとしている。
- 行政代執行法は、条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならないとしている。
- 行政機関情報公開法 *2は、地方公共団体は、同法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関して必要な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならないと定めている。
(注)*1 公文書等の管理に関する法律
*2 行政機関の保有する情報の公開に関する法律
正解 5
解説
行政手続法は、地方公共団体の機関がする処分に関して、その根拠が条例に置かれているものについても行政手続法が適用されると定めている。 1.妥当でない
行政手続法は、地方公共団体の「処分」「届出」については、根拠となる規定が条例又は規則に置かれているものは適用除外である(行政手続法3条3項)。
換言すれば、地方公共団体の「処分」「届出」については、国の法律に基づくものは、行政手続法が適用される。憲法で要求されている地方自治を尊重する趣旨から、このように規定されている。
ただし、行政手続法46条では、各地方自治体が、行政手続条例を制定するなどの措置をとり、行政手続法の目的を達するよう努めることを要求している。
行政不服審査法は、地方公共団体には、それぞれ常設の不服審査機関(行政不服審査会等)を置かなければならないと定めている。 2.妥当でない
「常設の不服審査機関」ではなく、「事件ごとに、執行機関の附属機関として」とされている。
行政不服審査法は、地方公共団体の執行機関の付属機関として、行政不服審査会に相当する機関を設けることを義務付けているが(行政不服審査法81条1項)、地方公共団体の実情に鑑みて、機関を置くことが不適当又は困難であるときは、条例で定めるところにより、事件ごとに、執行機関の附属機関として、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理するための機関を置くこととすることができるとしている(行政不服審査法81条2項)。
公文書管理法 *1は、地方公共団体が保有する公文書の管理および公開等に関して、各地方公共団体は条例を定めなければならないとしている。 3.妥当でない
地方公共団体は公文書の管理・公開について、「条例を定めなければならない」とは規定されていない。
地方公共団体は、公文書管理法の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない(公文書管理法34条)。
行政代執行法は、条例により直接に命ぜられた行為についての履行の確保に関しては、各地方公共団体が条例により定めなければならないとしている。 4.妥当でない
「地方公共団体が条例により定められなければならない」とは規定されていない。「行政代執行法の定めるところによる」である。
行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、行政代執行法の定めるところによる(行政代執行法1条)。
そして、法律(法律の委任に基づく命令、規則及び条例を含む)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代ってなすことのできる行為に限る)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる(行政代執行法2条)。
行政機関情報公開法 *2は、地方公共団体は、同法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関して必要な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならないと定めている。 5.妥当である
地方公共団体は、行政機関情報公開法の趣旨にのっとり、その保有する情報の公開に関し必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない(行政機関の保有する情報の公開に関する法律25条)。